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安全衛生管理体制とは?統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・安全衛生責任者の違い

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けんせつる

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統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・安全衛生責任者って何が違うの?

この記事の要点

安全衛生管理体制とは、元請けと複数の下請けが混在して作業する現場で、労働災害を防ぐために労働安全衛生法が義務付ける管理の仕組みのことです。

統括安全衛生責任者は元請けが選任(建設業:常時50人以上で義務)。元方安全衛生管理者は統括安全衛生責任者を補佐する技術管理者。

安全衛生責任者は下請け業者が選任する連絡調整役です。

建設現場には元請け・一次下請け・二次下請けと多くの業者が入り交じります。

それぞれが別々に作業しているとどこかに「抜け」が生まれ、労働災害につながります。安全衛生管理体制とは、この混在作業を一元的に管理するための仕組みです。

施工管理の4管理のうち「安全管理」を現場全体で体制化したものが、この仕組みということです。

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安全衛生管理体制はなぜ必要なのか

建設現場では「特定元方事業者(元請け)」の下に「関係請負人(下請け業者)」が複数入って作業します。

それぞれの会社が独立して安全管理をしていると、会社間の連絡が抜け落ちて事故が起きるリスクが高まります。業者の数が増えるほど、情報の「抜け」が出やすくなります。ここは混乱しやすいところですね。

そこで労働安全衛生法は、元請けが混在作業全体を統括管理し、下請け各社が元請けと連絡を取り合う体制を義務付けています。

3つの役職はどこが違うか

役職 誰が選任するのか 選任の条件 主な職務
統括安全衛生責任者(安衛法第15条)特定元方事業者(元請け)常時50人以上(建設業)※ずい道等は30人以上混在作業全体の統括・協議組織の設置・運営
元方安全衛生管理者(安衛法第15条の2)特定元方事業者(元請け)統括安全衛生責任者を選任した場合統括安全衛生責任者の補佐・技術的事項の管理
安全衛生責任者(安衛法第16条)関係請負人(下請け業者)統括安全衛生責任者が選任された現場で作業する下請け業者ごと統括安全衛生責任者との連絡・調整、自社作業員への指示

言い換えると、「元請けが統括、元請けが補佐役を配置、下請けが連絡担当を配置」という3段階の体制です。

安全衛生管理体制の組織図(元請の統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者と、下請の安全衛生責任者の関係)
図:安全衛生管理体制(模式図)。元請(特定元方事業者)が統括安全衛生責任者(常時50人以上/ずい道等30人)と元方安全衛生管理者(補佐)を選任、下請(関係請負人)が各社ごとに安全衛生責任者を選任して元請と連絡・調整する。

例えば、RC造マンションの現場で常時50名以上が入っている場合、元請け所長が統括安全衛生責任者に選任され、安全担当の技術者が元方安全衛生管理者を務め、各下請け業者の職長がそれぞれ安全衛生責任者を担う、という形になります。

統括安全衛生責任者はどんな職務を担うか

統括安全衛生責任者の職務は、混在作業全体にわたる安全衛生管理を一元的に行うことです。具体的には次のことが含まれます。

統括安全衛生責任者は、元請けの現場代理人や所長が兼任することが多いことになります。選任したら所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。

元方安全衛生管理者と安全衛生責任者はどんな役割を担うか

元方安全衛生管理者は統括安全衛生責任者が統括管理する事項のうち、技術的事項(機械・設備・施設の点検、安全設備の設置等)を管理します。建設業では一定の学歴・実務経験または資格が必要とされています。

安全衛生責任者は下請け業者側の連絡担当です。元請けの統括安全衛生責任者と情報を共有し、自社の作業員に安全指示を伝えます。

職長が兼任することが多いです。

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現場で確認する安全衛生管理体制のポイント

過去問でどう問われたか

安全衛生管理体制は、平成27年度から令和7年度まで1級・2級でほぼ毎年問われています。引っかけは大きく3つのパターンです。

年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和5年 No.68安全衛生責任者を元方が選任するとした → 選任するのは関係請負人(下請) ←①選任主体
2級 令和7年後期 No.48元方安全衛生管理者の選任を常時30人で必要とした → 常時50人以上(30人はずい道等・橋梁・圧気工法のみ) ←②人数基準
1級 令和6年 No.68安全衛生責任者は(安全管理者等の)資格を有する者でなければならない → 資格要件はない("責任者"と"管理者"の取り違え) ←③資格要件
1級 令和4年 No.68安全衛生責任者は安全管理者又は衛生管理者の資格を有する者に限る → 資格要件はない ←③資格要件
1級 令和3年 No.68衛生管理者の選任を常時30人以上とした → 常時50人以上(30人では義務なし) ←②人数基準
1級 令和2年 No.78安全衛生責任者は安全管理者又は衛生管理者の資格を有する者でなければならない → 資格要件はない ←③資格要件
1級 令和元年 No.78常時50人の事業場で安全衛生推進者を選任 → 安全衛生推進者は常時10人以上50人未満(50人以上は安全管理者等) ←②人数基準
1級 平成30年 No.78安全衛生責任者を特定元方事業者(元請)が選任するとした → 下請(関係請負人)が選任 ←①選任主体
1級 平成29年 No.78安全管理者の選任を常時30人以上とした → 常時50人以上 ←②人数基準
1級 平成27年 No.78安全衛生責任者に安全管理者・衛生管理者の資格要件が必要とした → 資格要件はない ←③資格要件
2級 平成29年後期 No.35元請(特定元方事業者)が行う事項として安全衛生責任者を選任するとした → 選任は下請。元請は協議組織の設置運営・連絡調整・巡視 ←①選任主体
2級 平成29年前期 No.23〔正しいものを選ぶ〕統括安全衛生責任者の選任は常時50人以上(30人は義務なし・ずい道等は30人) ←②人数基準

体制は「誰が選ぶか」「何人で要るか」が狙われます。安全衛生責任者は下請が選任(統括は元請)、元方安全衛生管理者は常時50人以上(特殊工事だけ30人)。選任主体と人数を取り違えさせるのが定番です。

「元請けが統括・補佐、下請けが連絡」の三者で覚える

統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・安全衛生責任者の三者連携が現場安全管理の基本構造です。協議組織(安全衛生協議会)を毎月1回以上開催し、議事録を保管してください。

選任した者の氏名・職務は現場の見やすい場所に掲示が必要です。

業種・規模別の安全衛生管理者等の選任義務は、京都労働局の資料(下図)に一覧化されています。

業種・規模別 安全衛生管理者等の選任義務一覧(京都労働局)
出所:京都労働局「安全衛生管理体制のあらまし」p.2 業種・規模別 安全衛生管理者等の選任一覧(統括安全衛生責任者・安全管理者・衛生管理者・産業医等)

混同しやすい用語の整理

統括安全衛生責任者 vs 安全衛生責任者

統括安全衛生責任者は元請け(特定元方事業者)が選任する管理者で、現場全体の統括を担います。安全衛生責任者は下請け業者(関係請負人)が選任する連絡担当で、元請けとの橋渡しを担います。

名前は似ていますが、統括安全衛生責任者は元請け、安全衛生責任者は下請けと、選任する立場がまったく違います。

特定元方事業者 vs 関係請負人

特定元方事業者は建設業または造船業の元請け事業者のことです。関係請負人は特定元方事業者から仕事を受注した下請け業者(一次・二次以降を含む)のことです。

安全衛生管理体制の義務の多くは特定元方事業者(元請け)に課されています。

特定元方事業者から関係請負人への連絡調整体制は、敦賀労働基準監督署の資料(下図)に改正前後の比較で示されています。

建設業における混在作業環境での連絡調整体制(特定元方事業者→関係請負人の情報伝達)(敦賀労働基準監督署)
出所:敦賀労働基準監督署「混在作業時の連絡調整体制等が強化されました!」p.1 建設業における特定元方事業者→関係請負人への連絡調整体制(改正前後の比較)

理解度チェック

Q.

建設業において統括安全衛生責任者の選任が義務付けられる労働者数の条件は?

元請けと下請けを合わせた常時労働者数が50人以上(ずい道建設・橋梁建設・圧気工法による作業は30人以上)。

Q.

安全衛生責任者は誰が選任するのか?

下請け業者(関係請負人)が各自選任する。統括安全衛生責任者が選任された現場で作業する下請けごとに選任する義務がある。

Q.

元方安全衛生管理者はどんな場合に必要か?

元請け(特定元方事業者)が統括安全衛生責任者を選任した場合に、あわせて選任する義務がある。技術的事項の管理が主な職務。

まとめ

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参考資料

・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)

・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)

・厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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