けんせつる
コンクリートの性質と品質管理指標|スランプ・水セメント比・空気量って、どういうこと?
この記事の要点
コンクリートの品質管理で確認する主な指標はスランプ・水セメント比・空気量・塩化物含有量の4つです。これらは打設前の受入検査で現場の施工管理者が直接確認します。
指標の意味と管理値を理解していないと、不合格品をそのまま打設してしまうリスクがあります。それぞれの意味と基準を整理しましょう。
コンクリートは配合設計の段階で品質が決まりますが、現場では「打設前に受け入れたコンクリートが設計通りの品質かどうか」を確認しなければなりません。
この受入検査を省略したり形式的に通過させたりすると、後から不具合が出ても手遅れになります。
コンクリートには「フレッシュコンクリート(打設前の生の状態)」と「硬化コンクリート(固まった後)」の2段階で見るべき性質があります。
| 段階 | 主な性質 | 施工管理上の意味 |
|---|---|---|
| フレッシュコンクリート | ワーカビリティ・スランプ・空気量・単位水量 | 打設しやすいか、充填できるかを左右する |
| 硬化コンクリート | 圧縮強度・耐久性・水密性・中性化抵抗性 | 構造物としての性能を左右する |
施工管理者が現場で直接確認できるのは主にフレッシュコンクリートの性質です。硬化後の強度は供試体(テストピース)の圧縮試験で確認します。
スランプは、コンクリートの流動性(軟らかさ)を示す指標です。
スランプコーン(高さ30cmの円すい形の型)に生コンクリートを詰め、引き抜いた後にコンクリートが沈み込んだ量(cm)を測定します。
| スランプ値 | 状態 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 5cm以下 | 硬い(流動性低) | ダム・重力式構造物など締固め容易な部位 |
| 8~18cm | 標準的な軟らかさ | 一般建築・土木のRC工事 |
| 21cm以上 | 軟らかい | 高流動コンクリート・スランプフロー管理 |
ザックリ言えば、「スランプが大きいほど軟らかくて流れやすい」ということです。ただし軟らかすぎると水分が多すぎて強度不足になるため、設計で定めた許容範囲内に収まっているか確認します。
一般的な建築工事ではスランプ18cmを上限とすることが多く、受入検査では許容値(±2.5cmまたは±1cm)以内かどうかを確認します。
打込み箇所ごとのスランプ基準値は、公共建築工事標準仕様書(下図)に定められています。
水セメント比(W/C)とは、コンクリート中の水の重量をセメントの重量で割った比率です。
水が多いほどコンクリートは軟らかくなりますが、強度・耐久性は下がります。ここは混乱しやすいところですね。
「水を少なくすれば強い」という関係を覚えておきましょう。
| 水セメント比(W/C) | 強度・耐久性 | 施工性 |
|---|---|---|
| 低い(50%以下) | 高い | 硬くて打設しにくくなる |
| 高い(65%超) | 低下・耐久性低下 | 軟らかくて打設しやすい |
JASS5とJISでは、普通コンクリートの水セメント比の上限は65%とされています。耐久性が必要な部位(外壁・柱・梁など)ではさらに低い値(60%以下など)が設定されることが多いです。
ブリーディングとは、打設後のフレッシュコンクリートから水分が分離して表面に浮き上がる現象です。
単位水量とはコンクリート1m3に含まれる水の量で、JASS5では185 kg/m3以下を標準としています。単位水量が多いほどスランプは大きくなりますが、ブリーディングも増えて品質が下がります。
コンクリートに意図的に微細な気泡を連行させることで、凍結融解に対する耐久性が向上します。これをAE(Air Entrained)コンクリートといいます。
ただし空気量が多すぎると強度が下がるため、管理範囲が設けられています。
| コンクリートの種類 | 空気量の標準値 |
|---|---|
| 普通コンクリート(AEなし) | 1.0%程度 |
| AEコンクリート(普通環境) | 4.5%(許容差±1.5%) |
| AEコンクリート(寒冷地・凍結融解環境) | 5.0%以上 |
例えば、寒冷地の外壁や屋外の水槽などでは空気量を高めに設定して凍結融解抵抗性を確保します。現場受入検査では空気量計で測定して確認します。
コンクリート中に塩化物が多く含まれると、鉄筋が腐食して膨張し、コンクリートにひび割れや爆裂が生じます。これを塩害といいます。
JISでは、フレッシュコンクリートの塩化物含有量を塩化物イオン量として0.30 kg/m3以下と規定しています(発注者が承認した場合は0.60 kg/m3以下)。
要は、「塩を含む砂や海水が使われていないかを確認する指標」ということです。海砂や塩分を多く含む骨材を使うと塩化物が多くなるため、受入検査で必ず測定します。
空気量の許容差(±1.5%)および塩化物含有量の規定は、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。
生コン車が現場に搬入されたとき、荷卸し前に以下を確認します。
混同しやすい用語の整理
スランプはスランプコーンを引き抜いた後の「沈下量(高さの差)」で測る指標です。スランプフローは引き抜いた後にコンクリートが広がった「直径」で測る指標で、高流動コンクリートなど流動性が非常に高い場合に使います。
スランプが大きすぎてコーンを引き抜くだけで広がってしまうコンクリートはスランプフローで管理します。
設計基準強度(Fc)は設計で想定する強度です。調合管理強度はバラツキを考慮して実際に製造目標とする強度で、設計基準強度より高く設定されます。
現場で採取した供試体の圧縮試験結果は、調合管理強度を満足しているかで判定します。
水セメント比を低くするとコンクリートの性質はどう変わるか?
水セメント比を低くすると強度・耐久性が高まる。一方でコンクリートが硬くなり、ワーカビリティが低下して打設・締固めがしにくくなる。
減水剤などで対応することが多い。
フレッシュコンクリートの塩化物含有量の上限値は?
塩化物イオン量として0.30 kg/m3以下(発注者が承認した場合は0.60 kg/m3以下)。塩害防止のために規定されている。
(出題例:一級建築士令和元年 問111)
水セメント比が大きいほど圧縮強度は大きくなるか?
×。水セメント比が大きいほど(水が多いほど)組織が粗くなり圧縮強度は低下する。
強度を上げたい場合は水セメント比を小さくする。
JASS5における単位水量の標準上限値は何 kg/m3か?
185 kg/m3以下。単位水量が多いほどブリーディングが発生しやすく、コンクリート上部の強度が低下する。
(出題例:1級令和元年午前 問28)
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RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考資料
・JASS 5 鉄筋コンクリート工事(日本建築学会)
・JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
スランプと空気量は受入検査の第一確認事項です。設計図書に指定された範囲を外れたら受入拒否の判断が必要です。
水セメント比の確認はミルシート・配合計画書で行い、現場での加水は厳禁です。