けんせつる
「乗入れ構台って何のために作るの?幅員の数字がいくつかあって、どれをどう使うかがわからない…」
この記事の要点
乗入れ構台は深い根切り工事でクレーンや重機を敷地に引き込むための仮設設備です。幅員は1車線4m以上・2車線6m以上・旋回重機使用時8m以上が目安。
スロープ勾配は1/10~1/6程度、構台上のクリアランスは大引下端から床スラブ上端まで20~30cm程度が標準です。荷受け構台の作業荷重は自重+積載荷重の合計に対して10%を加算します。
地下階がある建物を建てるとき、工事の最初に大規模な根切り(掘削)が必要になります。深さ数メートルの穴が開いた敷地に、クレーンやダンプカーをどうやって入れるか、ということが問題になります。
そのための仮設設備が乗入れ構台です。地上レベルから掘削底面のレベルへ、重機が走行できるスロープと平場を鉄骨や木材で組んで作ります。
簡単にいうと、地下に下りるための「仮設の坂道+作業デッキ」のことです。工事が完了すれば撤去しますが、根切り工事や地下躯体工事の全期間、重機の動線を確保するための重要な仮設物です。
例えば、地下2階建ての建物を施工する場面では、掘削深さが7~8mになることも珍しくありません。そこにコンクリートミキサー車やバックホーを下ろすための乗入れ構台を計画することになります。
乗入れ構台の幅員(通路の幅)は、そこを通行する重機の種類や車線数によって変わります。
まず、1車線の場合は4m以上が目安です。ダンプカーや生コン車が1台ずつ通行できる最小限の幅です。
2車線の場合は6m以上が必要になります。搬入と搬出を同時進行させたい現場では2車線にするのが一般的ですね。
そして、タワークレーンのような旋回重機を構台上で使用する場合は8m以上必要です。旋回アームが振れるスペースを確保しなければならないため、通常の走行車線よりも広い幅が求められます。
旋回重機が構台上を走行するだけなら4~6mで足りる場合もありますが、構台の上で実際に作業するときはブームが360度回転します。そのためアーム先端が構台端部から外に出ないよう、幅に余裕を持たせる必要があります。
例えば、オールケーシング掘削機を乗入れ構台に乗せて杭打ち作業をするケースでは、機械の旋回半径を計算して8m超の幅を確保した構台を計画することになります。
工事用仮設通路・乗入れ構台等の設置基準は、国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」(下図)の第24・25条に示されています。
地上から掘削レベルへ下りる斜路(スロープ)の勾配は、1/10~1/6程度が標準的な範囲です。
要は、水平距離10~6mで高さ1m分を下りるイメージです。これより急だと重機がスリップしたり転倒するリスクが高まります。
逆にゆるすぎると、スロープの水平距離が長くなって敷地を圧迫します。
実際の現場では、掘削深さと敷地の余裕から勾配を決めることになります。例えば掘削深さ5m・スロープ水平距離40mなら勾配1/8となり、この範囲内に収まりますね。
乗入れ構台では、構台の床組(大引など)の下部と、その下に施工する床スラブなどの構造物の上部との間に空間が必要です。これをクリアランスと呼びます。
大引下端から床スラブ上端までのクリアランスは20~30cm程度が標準とされています。
なぜクリアランスを設けるかというと、構台の上を重機が走行したときの荷重が、下のスラブに直接かかるのを防ぐためです。また、コンクリート打設の際の振動や変形の影響を互いに分離させる意味もあります。
クリアランスが小さすぎると、沈下や変形で接触する恐れがあります。逆に大きすぎると構台全体の高さが増し、スロープが急になってしまいますね。
乗入れ構台に設ける荷受け構台の設計荷重を計算するとき、作業荷重として自重と積載荷重の合計の10%を加算します。
「5%でいいのでは」という混同が起きやすいですが、正解は10%です。5%は別の荷重区分に用いられる数値なので、荷受け構台の作業荷重と混同しないよう注意が必要です。
ザックリ言えば、構台の上では資材の積み下ろしや重機の動きで予期しない衝撃力がかかります。その動的な影響を静的な荷重換算で10%分上乗せして安全を確保する、という考え方です。
乗入れ構台の支柱位置は、構造設計によって決定します。これは当たり前のように聞こえますが、「施工機械の配置に合わせて決める」という誤解が生じやすいポイントです。
実際には、支柱は根切り底面の地盤に直接立てます。そのため、支柱の位置によって根切り計画や山留め計画にも影響が出ます。
施工計画の早い段階で、構造計算と根切り計画を連携させながら支柱位置を決定することになります。
例えば、支柱を根切り底の中央付近に立てれば梁スパンが短くなって構台の強度は上がりますが、その分、地下躯体工事で支柱が邪魔になります。工程と構造のバランスを考えて計画するのが大切です。
混同しやすい用語の整理
幅員は車線数と機械の使用状況によって異なります。1車線は4m以上、2車線は6m以上、旋回重機を構台上で使用する場合は8m以上が目安です。
荷受け構台の作業荷重は自重+積載荷重の合計の10%を加算します。5%という数値は別の場面のものです。
混同しないように注意してください。
支柱位置は構造設計によって決定します。「施工機械の配置によって決める」は誤りです。
根切り計画や山留め計画と連動して決まるものです。
乗入れ構台を含む仮設設備の届出要件は、沖縄労働局「建設工事計画届のポイント」(下図)に示されています。
Q. 乗入れ構台を2車線で計画する場合、幅員はどのくらい必要か。
A. 6m以上が目安。旋回重機を使用する場合はさらに広く8m以上が必要になる。
Q. 荷受け構台の作業荷重は、自重と積載荷重の合計に対して何%を加算するのか。
A. 10%を加算する。5%は誤り。
Q. 乗入れ構台の支柱位置はどのように決定するのか。
A. 構造設計によって決定する。施工機械の配置で決めるのではなく、根切り計画・山留め計画と連携して構造計算をもとに決める。
(出題例:1級令和2年 問21)
関連記事もあわせて確認しておきましょう。
仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人より
「1車線4m」「2車線6m」「旋回重機8m」という3つのセットは、そのまま数字を丸暗記するより、「車線が増えれば2m追加、旋回が入ればさらに2m追加」というイメージで覚えると忘れにくいですよ。