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登り桟橋の規定を整理する【勾配・踊り場・踏さん】

けんせつる

けんせつる

「登り桟橋ってはしごと何が違うの?勾配の数字がいくつかあってごちゃごちゃする…」

この記事の要点

登り桟橋の勾配は30度以下が上限。勾配が15度を超える場合は踏さんの設置が必要になります。

高さ8m以上の場合は7m以内ごとに踊り場を設ける必要があり、作業床幅は40cm以上、手すりは85cm以上が基本ルールです(労働安全衛生規則第552条)。

工事現場で登り桟橋が必要になる場面はどこか

建築工事の現場では、作業員が上の階へ移動するだけでなく、資材を手で運びながら斜面を上り下りする場面が頻繁にあります。

はしごでは両手がふさがってしまうため、重い材料を抱えたまま安全に移動できません。そこで使われるのが登り桟橋(のぼりさんばし)です。

ザックリ言えば、「傾斜のついた通路」のことです。はしごより角度がゆるく、材料を持ちながら歩いて通れるように設計されています。

例えば、RC造の建物を建てているとき、型枠材や鉄筋の小束を上の作業階に運ぶ際に、登り桟橋を仮設として設けます。はしごと違って、ある程度幅があるので2人がすれ違いながら使うこともできますね。

勾配の上限はなぜ30度に設定されているか

労働安全衛生規則第552条では、登り桟橋(架設通路)の勾配は30度以下と定められています。

この数字、「35度以下」と混同されることが多いのですが、正解は30度です。30度を超えると、人が荷物を持ちながら安定して歩くことが難しくなるためです。

要は、急すぎる角度では足を踏み外すリスクが上がるので、上限を設けることで転落事故を防いでいる、ということです。

踏さんはどのタイミングで必要になるか

勾配が15度を超える場合は、踏さん(ふみさん)の設置が義務付けられます。

踏さんとは、桟橋の床面に一定間隔で取り付ける横木のことです。滑り止めの役割があり、急な角度でも足がずれずに登れるようにします。

20度を超えたら必要」と覚えている人がいますが、それは誤りです。正しくは15度超えで踏さんが必要になります。

例えば、勾配が18度の登り桟橋を計画したとすると、15度を超えているので踏さんを設けなければなりません。逆に勾配10度のなだらかな桟橋なら、踏さんなしでも規定を満たせます。

踊り場はいつ、どのくらいの間隔で設けるか

高さが8mを超える登り桟橋には、高さ7m以内ごとに踊り場を設置しなければなりません。

踊り場とは、斜面の途中に設ける水平な休憩スペースのことです。長い斜面を一気に登り続けると疲れますし、転落したときの距離も長くなります。

踊り場があることで、万一転んでも途中で止まれますし、作業員が安全に一息つける場所にもなりますね。

「8m以上」ではなく「8mを超える」に注意

条文の表現は「高さ8mを超える」です。ちょうど8mのときは義務の対象外になります。

実際の現場では細かい高さのぴったりが出ることは少ないですが、試験では「8m以上」と「8mを超える」の表記の違いが問われることがあるので注意が必要です。

管理人より

「7m以内ごと」という表現も引っかかりやすいポイントです。「7m以上おきに」と読み間違えると正反対の意味になります。

7mを超えないように踊り場を設ける、つまり7mに1回は必ず設けるイメージで覚えると混乱しにくいですよ。

作業床の幅と手すりの規定

登り桟橋の作業床(床板部分)の幅は40cm以上が必要です。

これは大人が荷物を持って歩けるだけの最低限の幅です。狭すぎると側面から転落する危険があるため、40cmという下限が設けられています。

手すりの高さと中桟の設置

登り桟橋に取り付ける手すりの高さは85cm以上です。

さらに、手すりと床の間には中桟(なかざん)を設ける必要があり、中桟の高さは35cm以上50cm以下の範囲に収めます。

ザックリ説明すると、上に85cm以上の手すり、その中間あたりに中桟が1本入るイメージです。中桟がないと、子どもや小柄な作業員が手すりの下をくぐり抜けて転落するリスクがあるからです。

手すり高さ85cm以上・中桟・幅木の設置規定は、滋賀労働局の資料(下図)に示されています。

先行手すり足場・枠組足場の手すり高さ85cm以上・中桟・幅木の設置規定(滋賀労働局)
出所:滋賀労働局「足場に関する労働安全衛生法上の規定について」p.2 手すり高さ85cm以上・中桟・幅木の設置規定

架設通路・はしご道と登り桟橋はどう違うか

「架設通路」「はしご道」「登り桟橋」の3つは、いずれも労働安全衛生規則に規定された仮設の上下移動手段ですが、それぞれ用途と形状が異なります。

架設通路との関係

架設通路は上下移動に限らず、工事現場内を水平・斜めに移動するための仮設通路全般を指す、より広い概念です。登り桟橋は架設通路の一種と位置づけられており、勾配30度以下・踏さん・踊り場などの規定は架設通路全体に共通するルールです。

つまり、登り桟橋の規定=架設通路の規定として労働安全衛生規則第552条に定められています。

はしご道との違い

はしご道は角度がほぼ垂直に近く、手足を交互に使って昇降するものです。勾配が急で荷物を持っての移動には不向きですが、設置スペースが小さくて済むという利点があります。

登り桟橋は歩いて通れる緩やかな傾斜なので、荷物運搬に向いています。一方、設置に必要な水平距離が長くなるため、敷地に余裕がないと設けにくいという現実もありますね。

混同しやすい用語の整理

勾配30度 vs 35度

登り桟橋(架設通路)の勾配上限は30度以下です。35度は誤りなので注意してください。

踏さん:勾配15度超 vs 20度超

踏さんの設置義務が生じるのは勾配15度を超えた場合です。20度超というのは誤りです。

踊り場:高さ8mを超える場合 vs 8m以上

踊り場の設置義務は「高さ8mを超える」場合に生じます。ちょうど8mは義務の対象外になります。

架設通路・登り桟橋に関する労働安全衛生規則の規定(抜粋)は、滋賀労働局の資料(下図)に示されています。

足場関係法令(抜粋):労働安全衛生規則 架設通路・登り桟橋の規定(滋賀労働局)
出所:滋賀労働局「足場に関する労働安全衛生法上の規定について」p.6 足場関係法令(抜粋)労働安全衛生規則

一問一答

Q. 登り桟橋の勾配の上限は何度か。

A. 30度以下35度以下ではない。(労働安全衛生規則第552条)

(出題例:二級建築士令和5年 問5)

Q. 踏さんを設置しなければならないのは、勾配が何度を超えた場合か。

A. 15度を超える場合。20度超えという誤りが多いので注意。

Q. 登り桟橋に踊り場を設けなければならないのはどのような場合で、間隔はどのくらいか。

A. 高さ8mを超える場合に、高さ7m以内ごとに踊り場を設ける。

まとめ

関連記事もあわせて確認しておきましょう。

架設通路の幅・勾配・踏桟・踊場の規定を確認する

仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。

参考資料

  • 労働安全衛生規則 第552条(架設通路)
  • 厚生労働省「足場等の安全基準に係る技術基準」
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建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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