けんせつる
遣り方ってどういう仮設なの?BMとKBMって何が違うの?
この記事の要点
遣り方は根切り前に設置する仮設物で、建物の位置(通り芯)と高さ(GL)の基準を地面に示す役割を持ちます。BM(ベンチマーク)はマンホール蓋や縁石などの動かない固定物を使う高さの絶対基準点で、KBM(仮ベンチマーク)はそのBMを現場内に移した仮の基準点です。
工事中は遣り方を移動・損傷させないことが鉄則です。
建物を建てるとき、最初にやることは何かというと「地面に建物の位置と高さを示す」作業です。
その作業の中心にあるのが、遣り方・BM・KBMという3つのキーワードです。
遣り方とは、建物の通り芯・高さ(GL)の基準を現場に示すために設置する仮設物のことです。
要は「ここに壁が来る」「床の高さはここ」という情報を地面に固定するための道具、ということです。
木製の板(貫板・ぬき板)と杭(水杭)を組み合わせ、そこに水糸を張って通り芯や高さを表示します。
建物の外周よりも少し外側に設けるのが基本で、根切り時に邪魔にならない位置に配置しますよ。
遣り方の設置タイミングは根切りを始める前です。
なぜかというと、根切りをする前に「どこをどの深さまで掘るか」の基準を示しておく必要があるからです。
例えば地下1階の建物を建てる場合、根切りの範囲と深さを現場で正確に指示するためには、遣り方がすでに設置されていなければ話になりません。
「遣り方は根切り後に設置する」という誤答パターンは試験でも頻出なので、順番をしっかり押さえましょう。
また、一度設置した遣り方は工事が完了するまで移動・損傷させてはいけません。
基準がずれると建物全体の位置や高さがずれてしまうため、工事車両が当たらないよう保護措置を施すことも管理のポイントです。
BM(ベンチマーク)とは、工事の高さ管理の絶対基準点のことです。
簡単にいうと「この現場での高さはすべてこの点を基準に決める」という起点です。
BMにはマンホール蓋・縁石・既存建物の基礎天端など、動かない固定物を使います。
なぜかというと、高さの基準点が工事中に動いてしまったら、それまでの高さ管理がすべて狂ってしまうからです。
例えば、BMに地面に打った仮の杭を使ったとします。
重機が当たって杭が動いた瞬間、「床の高さがどこを基準にしているかわからない」という事態になります。
だからこそBMは、絶対に移動しない固定物でなければならありません。
「BMは移動可能な杭でよい」という選択肢は誤りです。
KBM(仮ベンチマーク)とは、BMの高さを現場内の使いやすい位置に移した仮の基準点のことです。
要は「BMは現場の外や遠い場所にあることが多いので、日々の作業で使いやすいように現場内に写し取った基準点」ということです。
BMが遠くにあっても、KBMが現場内にあれば高さの確認作業がスムーズになりますよ。
関係性を整理すると、「BM → 高さを測量してKBMに転記 → 現場でKBMを基準に作業」という流れです。
BMとKBMの役割を逆に覚えてしまうケースが多いので注意してください。
遣り方は3つの要素で構成されています。
水杭(みずぐい)は地面に打ち込む木杭で、遣り方全体を支える脚にあたります。
貫板(ぬきいた)は水杭の上部に水平に取り付ける板材で、通り芯や高さの印をつける場所です。
水糸(みずいと)は貫板に張る糸で、通り芯の位置を空中に示します。
ザックリ言えば、「杭で立てて、板で固めて、糸で位置を示す」というシンプルな構造です。
水糸を張ることで、通り芯の真上に何があるかを上下の高さを変えながら確認できるようになります。
遣り方を設置した後、実際に建物の位置を地面に写す作業が墨出しです。
墨出しでは、遣り方の水糸が示す通り芯をもとに、コンクリートの打設範囲・基礎の位置・壁の位置などを床や地面に墨(線)で記します。
例えば基礎工事では、捨てコンクリートの上面に通り芯を墨出しし、そこを基準に型枠を組んでいきます。
遣り方はあくまで「仮設の基準」であり、墨出しで実際の施工基準線を地面に移すことで初めて作業に使える状態になります。
「遣り方は仕上げ工事でも使う」と思うかもしれませんが、遣り方自体は基礎・躯体工事の基準設定に使うものです。仕上げ工事では墨出しをもとに作業します。
仮囲い・出入口および工事用仮設通路の設置基準は、国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」(下図)の第23・24条に示されています。
混同しやすい用語の整理
BMは現場外のマンホール蓋・縁石などの動かない固定物を使った高さの絶対基準点です。KBMはそのBMの高さを測量で現場内に移した仮の基準点。
BM(外部・絶対)→ KBM(内部・仮)という方向性を覚えましょう。役割を逆に書いた選択肢は誤りです。
遣り方は「通り芯・高さを空中に糸で示す仮設物」、墨出しは「その基準をもとに床や型枠の面に線を記す作業」です。遣り方が先にあって、墨出しはその後に行います。
どちらも位置基準を示しますが、遣り方は仮設構造物、墨出しは作業のことです。
どちらも仮設工事に分類されますが、遣り方は建物の位置・高さを示す精度管理のための設備、仮囲いは現場外周を囲う安全管理のための設備です。目的がまったく異なります。
届出が必要な工事の種類と届出期限(足場・高さ10m以上等)は、沖縄労働局「建設工事計画届のポイント」(下図)に示されています。
問題1:遣り方は根切りが完了した後に設置する。〇か×か?
答え:×
遣り方は根切りの前に設置します。根切りの範囲と深さを現場で指示するために、作業開始前に遣り方で基準を示しておく必要があります。
問題2:BM(ベンチマーク)は、移動可能な木杭を使ってもよい。〇か×か?
答え:×
BMは工事の高さ管理の絶対基準点です。動いてしまうと高さ管理が崩れるため、マンホール蓋・縁石など移動しない固定物を使用します。
移動可能な杭は使えません。
問題3:KBM(仮ベンチマーク)とは、BMの高さを現場内に移した仮の基準点のことである。〇か×か?
答え:〇
KBMはBMの高さを測量で現場内の使いやすい位置に転記した仮の基準点です。BMが現場から遠い場合でも、KBMがあれば日々の高さ確認作業をスムーズに行えます。
仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
けんせつるの一言
遣り方の管理で現場が一番神経を使うのは「工事車両が当たらないようにすること」でしょう。杭が1本でも動いたら、そこから張っていた水糸の位置がズレて、最悪の場合は墨出しをやり直しになります。
根切り工事が始まると重機が動き回るので、遣り方の保護は着工直後から気を抜けない管理ポイントです。試験的には「根切り前に設置」「BM=動かない固定物」「KBM=現場内の仮基準点」という3点をセットで押さえておくと、選択肢を絞るのが楽になりますよ。