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架設通路の幅・勾配・踏桟・踊場の規定を整理する

けんせつる

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「架設通路の幅って75cmだっけ40cmだっけ?踊場の間隔も登り桟橋と数字が違うみたいで混乱してる…」

この記事の要点

架設通路の幅は75cm以上(足場の作業床40cmとは別)。勾配は30度以下が上限で、15度を超える場合は踏桟(滑り止め)の設置が必要です。

手すりは85cm以上、中桟は35~50cm。たて坑内または長さ15m以上の場合は10m以内ごとに踊場が必要で、登り桟橋の7m(高さ8m超)とは数値が異なります。

根拠は労働安全衛生規則第540条です。

架設通路はどこに設けるものか

建築工事の現場では、作業員や資材が移動するための「通路」を仮設で確保しなければなりません。

架設通路(かせつつうろ)とは、工事の進捗に合わせて設ける仮設の通路全般のことで、水平方向の移動はもちろん、斜めになった区間もこの名前で呼ばれます。作業床とは目的が異なる点に注意が必要です。

ザックリ言えば、現場内を人が安全に歩くために一時的に作った道のことです。

例えば、基礎工事の掘削面の脇に斜路を設けて作業員が降り上がりする場合や、躯体工事中に各階への移動ルートとして渡り廊下状の通路を設ける場合が該当します。永久的な構造物ではなく、工事の進行とともに撤去・移設が前提なのが特徴です。

登り桟橋・はしご道との位置づけの違い

架設通路と登り桟橋(のぼりさんばし)は別物と思われがちですが、実は登り桟橋は架設通路の一種です。

一方、はしご道は労働安全衛生規則の別の条文(第556条)で規定されており、ほぼ垂直に近い角度で昇降する設備なので、幅や勾配の基準が根本的に違います。

幅の規定はなぜ75cmなのか

架設通路の幅は75cm以上と定められています(労働安全衛生規則第540条)。

これが足場の作業床(40cm以上)と混同されやすいポイントです。作業床はその場で作業する人が立って使うスペース、架設通路は人が移動するための通路、という違いがあります。

移動する人同士がすれ違ったり、資材を持ちながら歩いたりすることを考えると、作業床より広い75cmが必要、ということです。

管理人より

75cm」という数字は試験でも問われやすいです。「40cmと覚えていたけど架設通路だった」というパターンが典型的な誤答なので、架設通路=75cm以上、足場の作業床=40cm以上、と対比でセットにして覚えておくのがいいですよ。

勾配30度以下と踏桟が必要になる角度

架設通路の勾配(傾き)は30度以下でなければなりません。

30度を超えると、人が足を踏み出したときにバランスを崩しやすくなるためです。特に重い荷物を持って移動する場面では、緩やかな傾斜が安全確保の基本になります。

踏桟が必要になるのは勾配15度超から

勾配が15度を超える場合は、床面に踏桟(ふみさん)を取り付けなければなりません。

踏桟とは、通路の床板に一定間隔で横向きに取り付ける木材や金具のことです。傾斜のある床では足が滑りやすくなるので、踏桟が引っかかりとなって滑り止めの役割を果たします。

要は、ある程度急な傾斜では足元が危ないので、物理的なグリップを設けるということです。

例えば、外部の仮設スロープを勾配18度で計画した場合、15度を超えているので踏桟を設ける義務が生じます。勾配12度のゆるいスロープであれば踏桟は必須ではありません。

手すりと中桟の高さ

架設通路には手すりを85cm以上の高さで設置し、手すりと床の間には中桟(35cm以上50cm以下を設けます。

「手すりは90cmでは?」という誤りが多いのですが、架設通路の手すりは85cm以上が正解です。

90cmというのは別の安全基準で登場する数字ですよ。

踊場の設置条件はどう覚えるか

架設通路では、一定の条件を満たす場合に踊場(おどりば)の設置が義務付けられます。

踊場とは、傾斜の途中に設ける水平な休憩スペースのことです。長い斜面を歩き続けると疲れるうえ、万一転倒した場合の落下距離が長くなってしまいます。

たて坑内と長さ15m以上のケース

架設通路の踊場が必要になる条件は次の2つです。

たて坑(縦に掘り下げた坑道のような場所)の内部は逃げ場が限られているため、特に安全基準が厳しく設定されています。

登り桟橋の踊場(高さ8m超・7m以内ごと)との違い

登り桟橋の場合は、高さが8mを超える7m以内ごとに踊場を設けます(労働安全衛生規則第552条)。

数字が紛らわしいので整理すると次のようになります。

設備の種類 踊場が必要になる条件 踊場の間隔
架設通路(たて坑内) 長さ15m以上 10m以内ごと
登り桟橋 高さ8mを超える 7m以内ごと

「たて坑は10m、登り桟橋は7m」という対比で覚えておくと混乱が防げますね。

工事用仮設通路の安全基準は、国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」(下図)の第24条に示されています。

建設工事公衆災害防止対策要綱 第24条 工事用仮設通路の安全基準
出所:国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」p.7 第24条 工事用仮設通路の安全基準

管理人より

試験では「たて坑内の踊場は7m以内ごと」という誤りの選択肢が出ることがあります。7mは登り桟橋の数字です。

たて坑内の架設通路では10m以内ごと、という正しい組み合わせをセットで押さえておいてください。

架設通路・登り桟橋・はしご道の規定比較

3つの設備の主要な数値を並べると、どこが混同しやすいか一目でわかります。

簡単にいうと、「角度が緩いほど幅が広く、急なほど幅は狭くなる」という傾向があります。

規定項目 架設通路 登り桟橋 はしご道
根拠条文 安衛則第540条 安衛則第552条 安衛則第556条
75cm以上 40cm以上 30cm以上
勾配上限 30度以下 30度以下 規定なし(急勾配)
踏桟が必要な勾配 15度超 15度超 踏桟(横さん)設置
踊場の間隔 10m以内ごと(たて坑・15m以上) 7m以内ごと(8m超) 踊場の設置義務なし

仮設通路に関連する関係法令(抜粋)は、滋賀労働局の資料(下図)に示されています。

足場に関する労働安全衛生法上の規定(関係法令の抜粋)
出所:滋賀労働局「足場に関する労働安全衛生法上の規定について」p.6 関係法令(抜粋)

混同しやすい用語の整理

架設通路の幅(75cm)vs 足場の作業床の幅(40cm)

架設通路の幅は75cm以上。人が移動するための通路なので、その場で作業する足場の作業床(40cm以上)より広い基準が設けられています。

踊場の間隔:たて坑10m vs 登り桟橋7m

たて坑内の架設通路では長さ15m以上のとき10m以内ごとに踊場を設けます。登り桟橋の7m以内ごとと混同しやすいので、「たて坑10、登り桟橋7」と対で覚えましょう。

手すりの高さ:85cm(架設通路)vs 90cm(誤りの選択肢)

架設通路の手すりは85cm以上です。「90cm以上」という選択肢は誤りです。

一問一答

Q. 架設通路の幅の最低基準はいくらか。また足場の作業床の最低幅とどう違うか。

A. 架設通路の幅は75cm以上。足場の作業床は40cm以上で、架設通路の方が広い基準が設けられている。(安衛則第540条)

Q. 架設通路でたて坑内に踊場を設けなければならない条件と間隔は何か。

A. 長さ15m以上のたて坑内架設通路では、10m以内ごとに踊場を設置する。登り桟橋の7m(高さ8m超)と混同しないこと。

Q. 架設通路の勾配が15度を超えたとき、追加で必要になる設備は何か。

A. 踏桟(ふみさん)の設置が必要になる。滑り止めとして床板に横向きに取り付ける部材のこと。

まとめ

関連記事もあわせて確認しておきましょう。

仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。

参考資料

  • 労働安全衛生規則 第540条(架設通路)
  • 労働安全衛生規則 第552条(登り桟橋)
  • 労働安全衛生規則 第556条(はしご道)
  • 厚生労働省「足場等の安全基準に係る技術基準」
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建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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