けんせつる
「型枠支保工のパイプサポートを何本まで継いでいいのか、水平つなぎをどの高さに設けるのか、施工管理でどう確認すればいいの?」
この記事の要点
型枠支保工は、打設したコンクリートの重さを支えるための仮設構造物です。崩壊すると死亡災害に直結するため、労働安全衛生規則(安衛則)に厳格な基準があります。
型枠支保工とは、コンクリートを打設する際に型枠(コンクリートの形を作る枠)を支えるための仮設構造物です。打設したコンクリートが硬化するまでの間、コンクリートの重量・側圧・施工荷重を支え続けます。
支柱には主にパイプサポート(鋼管製)・枠組みサポート(建枠型)・鋼管(単管)が使われます。コンクリートが硬化したら解体しますが、解体時期の判断(存置期間)も重要な施工管理項目です。
型枠支保工の崩壊事故は打設中に突然起こり、大量のコンクリートが作業員に降り注ぐ危険な事故です。だからこそ安衛則での規制が細かいのでしょう。
最も一般的に使われるパイプサポートには、次の使用制限があります。
| 規定事項 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 継ぎ数の制限 | 3本以上継いで使用してはならない(2本継ぎまで) | 安衛則第242条第1号 |
| 継ぐ場合の固定方法 | 継ぐ場合は4本以上のボルトまたは専用の金具で固定する | 安衛則第242条第2号 |
| 水平つなぎの設置(高さ3.5m超) | 高さが3.5mを超える場合は、高さ2m以内ごとに2方向に水平つなぎを設け変位を防止する | 安衛則第242条第3号 |
3本継ぎ禁止と「3本以上継いではならない」は同じ意味ですね。2本継ぎ(3本合計)は禁止、1本継ぎ(2本合計)までが許容されます。
紛らわしいので、試験でも施工管理でも整理しておきましょう。
水平つなぎは支柱が横方向にずれる(座屈・倒壊)を防ぐためのブレース(つなぎ材)です。パイプサポートの場合、支柱の高さが3.5mを超えたとき、高さ2m以内ごとに2方向へ設ける義務があります。
| 支柱の高さ | 水平つなぎの要否 | 間隔・方向 |
|---|---|---|
| 3.5m以下 | 設置義務なし(設置することは推奨) | > |
| 3.5mを超える場合 | 必須 | 高さ2m以内ごとに2方向(縦横)に設置 |
要は、3.5mを超えるたびに2m刻みで補強材を追加するイメージです。施工管理では、支保工の平面図・断面図に水平つなぎの位置・高さが記載されているかを確認し、現場では取り付け後に高さ寸法を計測して2m以内の間隔が確保されているかを確かめます。
型枠支保工の組立て・解体作業は、一定規模以上の場合に「型枠支保工の組立て等作業主任者」を選任しなければなりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選任が必要な場合 | 支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工(労安法施行令第6条) |
| 資格 | 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習修了者 |
| 主任者の職務 | 材料の欠点の確認・作業方法の決定・直接指揮・工具・器具の点検(安衛則第246条) |
支柱高さ3.5m未満でも安全への注意は変わりません。ただし選任義務の有無は「3.5m以上か否か」で線引きされているため、この数値は押さえておくべきでしょう。
コンクリート打設中は型枠支保工への荷重が急増します。安衛則第245条では、型枠支保工を設けた場所でコンクリートを打設する場合には、型枠支保工の状態を監視する者を配置しなければならないと定めています。
施工管理での確認ポイントは次のとおりです。
型枠支保工(高さ3.5m以上)は建設工事計画届の提出が必要な作業に該当します。下図は届出対象となる作業の要件一覧です。
混同しやすい用語の整理
パイプサポート:可調式の鋼管支柱(伸縮機構付き)。最も一般的な型枠支保工用部材。
安衛則242条が適用。
単管(鋼管)による支保工:足場用単管を使った型枠支保工。
安衛則244条が適用(建地の間隔・水平つなぎ高さ等が別規定)。
「3本以上継いではならない」=3本合計(1本継ぎ)はOK、3本合計(2本継ぎ)の上を超える(3本合計で2本継ぎは合計3本でOK...)
整理:「1本のサポートに2本継いで合計3本」は禁止。「1本に1本継いで合計2本」はOK(4本以上のボルト固定が必要)。
条文では「3本以上継いで使用してはならない」=合計本数が3本以上になる継ぎ方が禁止、ということ。
Q1. パイプサポートは何本以上継いで使用してはならないか。
A. 3本以上継いで使用してはならない(安衛則第242条第1号)。2本継ぎ(3本合計)が上限。
継ぐ場合は4本以上のボルトまたは専用金具で固定する。
Q2. パイプサポートで型枠支保工を組む場合、水平つなぎを設ける必要があるのは支柱の高さがいくつを超えた場合か。また、設置間隔はいくらか。
A. 高さ3.5mを超えた場合に、高さ2m以内ごとに2方向に水平つなぎを設ける(安衛則第242条第3号)。
Q3. 型枠支保工の組立て等作業主任者の選任が必要になるのはどのような場合か。
A. 支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工の組立て・解体作業(労安法施行令第6条)。技能講習修了者から選任する。
Q4. コンクリート打設中、型枠支保工に関して施工管理者が行わなければならない安衛則の義務は何か。
A. 型枠支保工の状態を監視する者を配置しなければならない(安衛則第245条)。打設中に支柱の変位・水平つなぎの緩み等の異常を発見した場合は即時打設を停止する。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
型枠支保工の崩壊事故は「高さが足りないから大丈夫」と油断した現場で起きやすいです。3.5m未満でも水平つなぎが全くなければ、打設中に支柱が横方向に倒れることがあります。
また、パイプサポートの継ぎ方を確認せずに現場任せにすると、3本継ぎが現場で行われていても気づかないケースがあります。「何本継いでいるか」「水平つなぎが何mごとに設置されているか」を図面だけでなく現場目視で確認することが、施工管理者の責務です。