けんせつる
「コンクリートの養生期間って、セメントの種類によって何日違うの?気温が低いときは何日延ばせばいいの?」
この記事の要点
コンクリートの湿潤養生期間はJASS 5(建築工事標準仕様書)でセメントの種類と日平均気温別に定められています。
コンクリートは打設後に水(水分)とセメントが化学反応(水和反応)を起こして固まります。この水和反応が適切に進むためには、硬化初期に水分が不足しないよう「湿潤状態を保つ」ことが必要です。
これが養生の目的です。
養生が不十分だと、コンクリートが乾燥してひびわれが生じたり、設計強度に達しないまま型枠を撤去してしまうリスクがあります。
ザックリ言えば、養生は「コンクリートが十分に育つ期間を確保する作業」ですね。打設後は放置せず、定められた期間・方法で管理する必要があります。
JASS 5(日本建築学会 建築工事標準仕様書・コンクリート工事)では、湿潤養生期間をセメントの種類と日平均気温の組み合わせで規定しています。
| セメントの種類 | 日平均気温15℃以上 | 10℃以上15℃未満 | 5℃以上10℃未満 |
|---|---|---|---|
| 早強ポルトランドセメント | 3日以上 | 4日以上 | 5日以上 |
| 普通ポルトランドセメント | 5日以上 | 7日以上 | 9日以上 |
| 混合セメントB種(高炉B・フライアッシュB等) | 7日以上 | 9日以上 | 12日以上 |
気温が下がるほど水和反応が遅くなるため、養生期間を延ばす必要があります。例えば普通ポルトランドセメントを使った場合、夏(15℃以上)なら5日で済むところが、秋口(10℃以上15℃未満)になると7日必要になるでしょう。
湿潤養生期間の規定は、公共建築工事標準仕様書(下図)の表6.7.1に示されています。
湿潤養生の方法は次の3種類が主に使われます。
| 養生方法 | 概要 | 施工管理の確認ポイント |
|---|---|---|
| 散水養生 | コンクリート表面に散水して湿潤状態を保つ。打設後、表面が固まり始めてから散水を開始する。 | 養生期間中、表面が乾燥していないか。散水頻度・時間帯を記録する。 |
| シート養生(覆い養生) | 養生シート・濡れた布(麻袋等)でコンクリート表面を覆い、蒸発を防ぐ。 | シートが全面を覆っているか。風でめくれていないか。乾燥した場合は再散水または交換する。 |
| 膜養生(キュアリングコンパウンド) | コンクリート表面に養生剤(液剤)を塗布して皮膜を形成し、水分蒸発を防ぐ。 | 塗布量・均一性の確認。後から仕上げ材を張る部位には使用制限がある場合があるため設計図書を確認する。 |
コンクリートの養生期間と型枠の存置期間は別の規定です。型枠を外してもコンクリートの養生は続けなければなりません。
| 部位 | 型枠の最短存置期間の目安(JASS 5) |
|---|---|
| 柱・壁の側型枠 | コンクリートの圧縮強度5N/mm2以上を確認後 |
| スラブ下・梁下の型枠(支保工含む) | 設計基準強度の100%(または所定強度)達成を確認後 |
施工管理では、型枠存置期間の終了と湿潤養生期間の終了が一致しないケースがあります。型枠の存置期間が終了してもコンクリートが養生期間中であれば、シート養生や散水養生を継続することが必要ですね。
型枠(せき板)の最小存置期間の規定は、公共建築工事標準仕様書(下図)の表6.8.2に示されています。
混同しやすい用語の整理
早強ポルトランドセメント:水和反応が速く、短期間で強度発現。養生期間が短くて済む(15℃以上で3日)。
ただし水和熱が大きく大型部材では注意が必要。
普通ポルトランドセメント:標準的なセメント。
15℃以上で5日の湿潤養生が必要。
混合セメントB種(高炉B等):長期強度発現型。
初期強度の発現が遅く、養生期間が最も長い(15℃以上で7日)。
湿潤養生期間:コンクリートに水分を与え続ける期間(JASS 5で規定)。セメント種別・気温に依存。
型枠存置期間:型枠を外さずに保持する期間(コンクリートの強度発現に依存)。
→ 両者は別の規定。
型枠を外した後も湿潤養生を継続する場合がある。
Q1. 普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートの湿潤養生期間は、日平均気温15℃以上の場合、最低何日以上か。
A. 5日以上(JASS 5)。日平均気温が10℃以上15℃未満の場合は7日以上、5℃以上10℃未満の場合は9日以上に延長する。
Q2. 早強ポルトランドセメント・普通ポルトランドセメント・混合セメントB種のうち、湿潤養生期間が最も長いのはどれか(15℃以上の条件)。
A. 混合セメントB種(高炉B・フライアッシュB等):7日以上。早強3日・普通5日・混合B種7日の順に長くなる。
Q3. 型枠を撤去した後もコンクリートの湿潤養生を続けなければならない場合があるのはなぜか。
A. 型枠存置期間とJASS 5の湿潤養生期間は別の規定であるため。型枠を外しても養生期間が終了していない場合は、散水養生・シート養生等で湿潤状態を維持しなければならない。
Q4. 養生方法として膜養生(キュアリングコンパウンド)を使用する場合、施工管理で注意すべき点は何か。
A. 後から仕上げ材(タイル・モルタル等)を張る部位では膜養生剤が接着を妨げる可能性があるため、設計図書・仕様書で使用可否を確認する必要がある。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 寒中・暑中コンクリートの管理基準を確認する
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
養生期間の不足によるひびわれは「乾燥収縮ひびわれ」として現れることが多く、発生後は美観の問題だけでなく耐久性・防水性の低下につながります。特に梁・柱の接合部や壁面の開口部周りは応力が集中してひびわれが生じやすい部位です。
養生期間は「最低〇日以上」という下限であり、気温・天候によって延長することが重要です。施工管理の記録には日平均気温・養生方法・養生開始?終了日を明記し、JASS 5の規定と照合して養生終了の判断をしてください。