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マスコンクリートとは?温度ひび割れの原因・パイプクーリング・施工管理の確認ポイントを整理

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けんせつる

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マスコンクリートって何?なぜ温度ひび割れが起きるの?パイプクーリングって何をするの?

この記事の要点

マスコンクリートとは、断面寸法が大きく、セメントの水和熱による温度上昇が有害なひび割れを生じさせる恐れがあるコンクリートです(JASS 5)。普通コンクリートでは部材断面の最小寸法が800mm以上が目安です。

対策は低発熱セメント(低熱ポルトランドセメント・高炉セメントB種等)の使用とパイプクーリング(コンクリート内部に冷水を流すパイプを設置)が代表的です。施工管理では打設計画段階からの温度解析確認が必要です。

基礎・フーチング・ダム・橋脚など断面の大きいコンクリートは、普通の打設管理では対応できないひび割れが発生します。

マスコンクリートの管理は、コンクリートの調合設計段階から対策を盛り込む必要があるため、施工管理者としては着工前からの確認が欠かせません。

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なぜ断面が大きいと温度ひび割れが起きるか

セメントは水と反応する際に大量の熱(水和熱)を発生します。

断面が小さい部材では、この熱が外部に逃げやすいため問題になりません。

ところが断面が大きいと、内部の熱が逃げにくくなり、コンクリート内部と外部表面に大きな温度差が生じます。

温度が高い内部は膨張しようとし、温度が低い外部表面は収縮しようとします。この引張り合いがコンクリートの引張強度を超えると、ひび割れが発生します。

言い換えると、「コンクリートが内側から熱で膨れて外側が引っ張られてひび割れる」のがマスコンのひび割れメカニズムです。

マスコンクリートの定義と対象部位

JASS 5(日本建築学会 鉄筋コンクリート工事)では、マスコンクリートを「部材断面の最小寸法が大きく、かつセメントの水和熱による温度上昇が問題となるコンクリート」と定義しています。

普通ポルトランドセメントを使用する場合、部材断面の最小寸法が800mm以上が目安とされています。

建設現場でマスコンクリートが問題になる主な部位は以下です。

部位内容
基礎フーチング・マットスラブ大型建物の基礎スラブ。厚さ1m以上になることもある
橋脚・橋台橋梁の支持構造。断面が大きい
ダム・堰堤最もマスコンクリートの問題が深刻な構造物
地下壁(連続地中壁)厚さが大きい地下構造壁

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ひび割れ指数とは何か

マスコンクリートのひび割れリスクを評価する指標がひび割れ指数(Icr)です。

ひび割れ指数は「コンクリートの引張強度 ÷ 最大引張応力度」で求められます。

Icr≧1.0のとき安全側(ひび割れ発生確率が低い)とされ、Icr<1.0だとひび割れが生じる可能性が高くなります。

施工管理者としては、設計図書(温度応力解析報告書)でひび割れ指数の計算結果を確認し、1.0を確保できているかどうかをチェックします。

施工管理で確認する対策

マスコンクリートの対策は大きく3つのアプローチに分かれます。

① 低発熱セメントの使用

水和熱が少ないセメントに変更することで、内部温度の上昇を抑えます。

セメントの種類水和熱の特性
低熱ポルトランドセメント最も水和熱が少ない。マスコン専用に開発されたセメント
高炉セメントB種普通セメントより水和熱が低く、耐久性も高い。汎用性がある
フライアッシュセメント長期強度の発現が遅いが発熱量が少ない

施工管理では、搬入された生コンクリートのミルシートで指定セメントが使用されているかをミルシート確認します。

マスコンクリートの定義・適用条件・材料及び調合規定は、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 マスコンクリートの一般事項・材料及び調合(6.13.1・6.13.2)
出所:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版」(2022年3月)p.64 マスコンクリートの一般事項・材料及び調合(6.13.1・6.13.2)

② パイプクーリング

コンクリート打設前に鋼管・塩ビ管等のパイプをコンクリート内に設置しておき、打設後に冷水を流して内部温度を下げる方法です。

施工管理での確認ポイントは以下です。

③ プレクーリング・打設温度管理

材料(骨材・練り水・セメント)を事前に冷やして打設温度を下げることで、打設直後の最高到達温度を低減します。

打設温度の目標値は設計書に指定されており、コンクリート受入検査時にコンクリート温度を計測して確認します。

「あとから冷やせばいい」ではなく打設前の計画が全て

マスコンクリートの温度ひび割れは「打ってしまった後では修正できない」という点が最大のポイントです。

施工管理者として大断面の基礎打設を管理するときは、配合計画書でセメント種類とひび割れ指数の確認、そして温度管理計画の確認を打設前に必ず済ませておく必要があります。「あとから冷やせばいい」ではなく、打設前の計画が全てです。

混同しやすい用語の整理

マスコンクリート vs 寒中コンクリート vs 暑中コンクリート

マスコンクリート:断面が大きい部材で水和熱による内部温度上昇が問題になるコンクリート。打設温度の高低に関係なく発生する問題。


寒中コンクリート:日平均気温4℃以下の環境で打設するコンクリート。凍結・初期凍害の防止が目的。


暑中コンクリート:日平均気温25℃以上の環境で打設するコンクリート。急速な乾燥・強度低下の防止が目的。

→ マスコンクリートは「部材断面の大きさ」が問題、寒中・暑中は「外気温」が問題です。冬期にマスコン打設をする場合は両方の管理が必要になることもあります。

理解度チェック

Q.

JASS 5でマスコンクリートの目安となる最小断面寸法はいくらか(普通コンクリートの場合)。

800mm以上が目安。

Q.

マスコンクリートの温度ひび割れが発生するメカニズムを説明せよ。

水和熱によりコンクリート内部温度が上昇。内部は膨張し外部表面は相対的に収縮しようとするため、外部表面に引張応力が生じる。この引張応力がコンクリートの引張強度を超えるとひび割れが発生する。

Q.

ひび割れ指数(Icr)が1.0以上のとき、ひび割れはどうなるか。

ひび割れ発生確率が低い(安全側)。Icr<1.0だとひび割れが生じる可能性が高くなる。

Q.

マスコンクリートで使用される低発熱セメントを2つ挙げよ。

低熱ポルトランドセメント・高炉セメントB種(フライアッシュセメントも可)。

Q.

パイプクーリングとは何か。

打設前にコンクリート内部にパイプを設置しておき、打設後に冷水を循環させてコンクリート内部温度を下げる冷却方法。

まとめ

RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。

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参考資料

・JASS 5(鉄筋コンクリート工事)日本建築学会

・コンクリート標準示方書(土木学会)

・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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