けんせつる
PC鋼材ってどうやって保管するの?さびたら使えないの?
この記事の要点
PC鋼材は直射日光・雨露を避けて保管し、地面に直接置かないのが基本です。
有害なさび・曲がり・折れ・亀裂のあるものは使用禁止です。緊張後に欠陥が出ると修正が極めて困難なため、搬入時の確認と保管の徹底が重要です。
PC鋼材はプレストレストコンクリート(PSコンクリート)に用いる高強度鋼材です。
普通の異形棒鋼(SD295A・SD345等)より高い引張強度が要求されるため、さびや変形があると緊張時に断線・破断する危険があります。
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
PC鋼材はJIS G 3109(PC鋼棒)・JIS G 3536(PC鋼線・より線)で規定されており、形状によって3種類に分かれます。
| 種類 | 形状 | 主な用途 |
|---|---|---|
| PC鋼棒 | 丸鋼または異形鋼棒 | プレテンション・ポストテンション両方に使用 |
| PC鋼線 | 細径の高張力線を1本 | プレテンション方式の細部に使用 |
| PC鋼より線 | PC鋼線を複数本よりあわせたもの | ポストテンション方式のアンボンド工法等に多用 |
棒状か線状かで取り扱いがかなり変わります。特にコイル状で納品されるより線は、ほどき方を誤るとキンク(折れ曲がり)が生じるので注意が必要です。
PC鋼材は普通の鉄筋より格段にデリケートです。保管の基本は次の3点に集約されます。
PC鋼材は高強度を得るために熱処理・冷間引き抜き等の加工が施されています。
雨露によるさびだけでなく、水素脆化(水素が金属内部に侵入して脆くなる現象)のリスクもあります。有害なさびが発生したものは、外観上は問題なく見えても緊張時に想定より低い荷重で破断する可能性があります。
保管は屋内または雨露を遮る屋根付き倉庫が基本です。
地面に直接置くと湿気・泥水が鋼材に常時接触し、さびが急速に進行します。地面の凹凸で曲がりが生じることもあります。
コイルのほどき作業は急がず丁寧に行うこと。キンクが生じた部分は引張強度が大幅に落ちるため、発生した時点で使用禁止にします。
ポストテンション方式ではPC鋼材を通す金属製または樹脂製のシース(PC管)も使います。
PC鋼材の搬入時には以下の点を確認します。
| 確認項目 | 判断基準 |
|---|---|
| 有害なさび | 断面を傷める腐食・層状さびがあるものは使用不可 |
| 折れ・曲がり(キンク) | コイル状をほどく際に折れ曲がりが生じたものは使用不可 |
| 亀裂・きず | 目視で確認できる亀裂・深いきずがあるものは使用不可 |
| 寸法・規格 | ミルシート(製品証明書)と照合。径・強度区分が設計通りであるか確認 |
薄い表面さびは即使用不可にはなりませんが、断面に食い込むような腐食は断面積の減少につながるため使用できません。判断に迷う場合はミルシートで実測値を確認し、設計図書の設計値と対比してください。
混同しやすい用語の整理
プレテンションはコンクリートを打設する前にPC鋼材を緊張しておく方法です。コンクリートが硬化した後に緊張力を解放することでプレストレスを導入します。
ポストテンションはコンクリート硬化後にシース内のPC鋼材を緊張してプレストレスを導入する方法です。現場工事ではポストテンション方式が多く使われます。
PC鋼棒は棒状で取り扱いが容易ですが、ロール輸送ができないため長尺品の扱いに制限があります。PC鋼より線はコイル状で輸送・施工できますが、ほどく際のキンクに注意が必要です。
保管時の形状・取り扱い方が異なることを現場で意識してください。
PC鋼材の保管で地面に直接置いてはいけない理由は?
地面の湿気・泥水がさびを促進するため。また地面の凹凸で曲がり(キンク)が生じるリスクがある。
台木・枕木の上に乗せて保管する。
搬入時にPC鋼材の使用を禁止すべき状態は?
有害なさび(断面を傷める腐食)・折れ曲がり(キンク)・亀裂・深いきずがあるもの。薄い表面さびは即禁止ではないが、断面に食い込む腐食は使用不可。
PC鋼より線をほどく際に注意すべきことは?
急激な折れ曲がり(キンク)が発生しないよう丁寧にほどく。キンクが生じた部分は引張強度が大幅に低下するため使用禁止とする。
参考資料
・JIS G 3109 PC鋼棒
・JIS G 3536 PC鋼線及びPC鋼より線
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)
※ この記事の確認日:2026年5月
施工管理のポイント
PC鋼材の欠陥は外観だけでは判断しにくいことがあります。薄い表面さびと断面に食い込む腐食では意味がまったく違うため、目視での判断に迷ったらミルシートの実測値と設計値を照合してください。
保管期間が長くなる場合は定期的に目視点検を行い、さびの進行を確認する習慣をつけておくとよいです。