けんせつる
セメントってどうやって保管すればいいの?袋を積み重ねても大丈夫?
この記事の要点
袋詰めセメントは10袋以下に積み重ねる、床から30cm以上高くした防湿倉庫で保管する、購入後2ヶ月以上経過したものは品質確認してから使う(日本建築学会規定)、の3点が現場管理の基本です。
この「段数」と「期限」はJASS 5の規定事項です。数値ごとセットで押さえておきましょう。
セメントは水と反応して硬化する素材です。だから、保管中に湿気が入るだけで品質が落ちてしまいます。
現場では「どこに置いてもいいだろう」と思いがちですが、保管方法を誤ると打設後のコンクリートの品質に直接影響します。材料検収の段階からロットと入荷日を記録しておくことが品質管理の基本です。
セメントは空気中の水分(湿気)と反応して風化します。
風化したセメントは水和反応の能力が低下し、コンクリートの強度・耐久性が設計値を下回るリスクが生じます。
ザックリ言えば、「湿気に当たったセメントは弱いコンクリートを作る」ということです。
JASS 5(日本建築学会 建築工事標準仕様書)では、袋詰めセメントの積み重ね段数を10袋以下とすることが原則とされています。
なぜかというと、積みすぎると下の袋に圧力がかかって固結しやすくなるからです。
例えば、20袋を重ねたまま数週間置いておくと、下のほうの袋は荷重で固まりかけてしまいます。これは湿気とは別のルートで品質を損なうことになります。
| 保管条件 | 基準・注意点 |
|---|---|
| 積み重ね段数 | 10袋以下 |
| 保管場所 | 床から30cm以上高くした防湿倉庫(密閉・屋内)。「風通しのよい倉庫」は不適当 |
| 保管期間の目安 | 購入後2ヶ月以上経過したものは品質確認(強熱減量試験等)を行う(日本建築学会) |
| 使用順序 | 先入れ先出し(古いものから使う) |
日本建築学会の規定では、購入後2ヶ月以上経過したセメントは使用前に品質確認(強熱減量試験・凝結時間試験など)を行うことが推奨されています。
「2ヶ月経ったら即廃棄」ではなく、「品質を確認してから判断する」という扱いです。ここは混同しやすいところですね。
簡単にいうと、「購入後2ヶ月が品質確認のサイン」と押さえておくと、試験でも迷いません。
袋を触ってみて、ザラザラではなくゴロゴロした塊感があれば風化している可能性があります。
軽度の風化(指で崩れる程度)は品質確認後に使えることもありますが、硬く固結したものは原則として使用しません。
平たくいえば、「指で崩れるかどうかが現場での目安になる」ということです。ただし最終判断は試験結果で行ってください。
コンクリートの種別と設計基準強度・スランプの規定は、公共建築工事標準仕様書(令和4年版)の表4.5.1(下図)に示されています。
混同しやすい用語の整理
風化は空気中の水分・炭酸ガスとの反応でセメントの水和能力が低下することです。固結は物理的な荷重や湿気で粉体が塊になることです。
どちらも品質低下の原因ですが、原因が異なります。
袋詰めセメントは1袋25kgが標準です。バルクセメントはサイロやタンクに散積みするタイプです。
バルクは積み重ね段数の問題はありませんが、サイロの防湿管理と残量管理が重要です。
場所打ちコンクリート杭地業のコンクリート品質規定は、同仕様書の4.5節(下図)に示されています。
袋詰めセメントの積み重ね段数の上限は?
10袋以下。これを超えると下層の袋が荷重で固結するリスクがある。
購入後2ヶ月以上経過したセメントの扱いは?
使用前に品質確認(強熱減量試験・凝結試験等)を行う。日本建築学会の規定では購入後2ヶ月以上経過したものは品質確認が推奨されている。
確認結果が合格であれば使用できる。
セメントの保管で最も重要な環境条件は?
湿気(水分)を避けること。防湿倉庫・屋内での保管が基本で、雨や床からの湿気に直接当たらないようにする。
(出題例:2級令和2年後期 問35)
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
参考資料
・JASS 5 鉄筋コンクリート工事(日本建築学会)
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)
※ この記事の確認日:2026年5月
施工管理のポイント
「10袋以下」は知っていても、実際の現場では「とりあえず積んでおく」ことが多いと聞きます。積み重ね段数が多いだけで下層のセメントが荷重固結する可能性があるということは、意外と見落とされがちです。
また、先入れ先出しを徹底しないと、奥のほうから古いロットが出てくることがあります。ロット管理と先入れ先出しをセットで習慣化することが現場品質管理の基本だと思います。