けんせつる
鉄筋加工図って何が書いてあるの?どうやって読めばいいの?
この記事の要点
鉄筋加工図(鉄筋加工帳)は、各鉄筋の形状・寸法・本数・種類を一覧にした加工用の図書です。鉄筋加工業者が現場への納入前に工場で鉄筋を正しく加工するための基準となります。
施工管理では搬入時の加工精度確認と配筋検査時の形状・寸法照合に使います。鉄筋記号・寸法記号・フックの種類を正しく読めることが前提です。
鉄筋加工図は「鉄筋をどう切って・どう曲げて・どの長さにするか」を指示する図書です。
読み方のポイントを押さえておけば、搬入時の確認と配筋検査がスムーズになります。
鉄筋加工図には、各鉄筋の以下の情報が記載されています。
| 記載項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 部材名・符号 | G1(大梁1)・C1(柱1)等、どの部材の鉄筋かを示す符号 |
| 鉄筋記号・径 | D16(異形棒鋼 呼び名D16)・SD295A・SD345等 |
| 本数 | 同形状の鉄筋を何本加工するか |
| 形状寸法 | 直線部・フック部・曲げ部の各寸法(a・b・c等の符号で記載) |
| 総長さ | 1本の鉄筋を伸ばした場合の全長(加工前の切断長さ) |
| フックの種類 | 半円形フック・直角フック・鋭角フックの区別 |
ザックリ言えば、「鉄筋の材質・太さ・形・長さ・本数」がすべて書いてある図書です。
鉄筋記号は材質と太さを示しています。
数字の部分は「呼び名」です。D16は断面積が16mm径相当の異形棒鋼という意味で、実際の断面直径とは若干異なります。
材質記号(SD295A・SD345・SD390等)は降伏点の強度区分を示します。
例えば、SD345は降伏点が345N/mm²以上の異形棒鋼です。設計図書で指定された材質と搬入材が一致しているか、ミルシートで確認します。
加工図の寸法はアルファベット(a・b・c・d等)で各部位が区別されています。
ここは混乱しやすいところですね。図面に書いてある寸法が「フックを含む寸法」なのか「直線部だけの寸法」なのかを正確に読み取ることが、加工精度の確認の前提になります。
フックは鉄筋の末端部に設ける折り曲げ加工で、コンクリートとの定着・付着を確保するために設けます。
JASS 5・建築基準法施行令では、フックの折り曲げ角度と最小内径が定められています。
| フックの種類 | 折り曲げ角度 | 用途の例 |
|---|---|---|
| 半円形フック(180°フック) | 180°折り曲げ | 丸鋼(R)・引張力がかかる部位の鉄筋端部 |
| 直角フック(90°フック) | 90°折り曲げ(折り曲げ後4d以上の余長) | スターラップ・帯筋の端部 |
| 鋭角フック(135°フック) | 135°折り曲げ | 閉鎖型フープ・スターラップ(地震用) |
施工管理での確認ポイントは、現場に搬入された鉄筋のフックの角度・余長が加工図の指定と一致しているかです。
135°フックが必要な箇所に90°フックが納品されると、耐震性能が設計通りにならないわけです。
鉄筋の加工精度の許容差はJASS 5に規定されています。
JASS 5(2019年版)では、鉄筋の加工寸法の許容差として以下が参考値として示されています。
搬入された鉄筋を抜き取り検査し、加工図と照合することが施工管理上の確認手順です。
工事写真は受入確認の記録として残します。
例えば、D22の梁主筋で設計より50mm短く加工されていた場合、定着長さが不足して構造上の問題になる可能性があります。
搬入時の抜き取り確認を怠ると、こうした不具合が配筋後に発覚して手戻りが大きくなるわけです。
混同しやすい用語の整理
D(異形棒鋼)は表面に節や突起がある鉄筋。コンクリートとの付着力が高く、現代のRC建物では主流。R(丸鋼)は表面が滑らかな鉄筋。付着力が低いため端部にフックが必要。
90°フックはスターラップ等の端部処理に使う。135°フックは地震時に帯筋・スターラップが開かないよう閉鎖型にするために使う。地震用フープ・スターラップには135°フックが必要。
鉄筋記号「SD345」のSDと345はそれぞれ何を意味するか?
SDは異形棒鋼(Steel Deformed bar)の略。345は降伏点が345N/mm²以上であることを示す強度区分。
地震用のフープ・スターラップに求められるフックの折り曲げ角度は何度か?
135°フック。地震時に帯筋・スターラップが開かないよう閉鎖型にするために必要。90°フックとの混用は許容されない。
鉄筋加工図の版数が変わっていないか確認する最も重要なタイミングはいつか?
加工発注前。設計変更で鉄筋のサイズや定着長さが変わった場合、加工図が更新されていない状態で発注すると旧仕様の鉄筋が納品される。
鉄筋の加工寸法に誤差があった場合、何を根拠に合否を判定するか?
JASS 5に規定された加工精度の許容差(全長±25mm、曲げ部±10mm等)。許容差を超えた場合は再加工・取替えを求める。
搬入された鉄筋の材質を確認するために使う書類は何か?
ミルシート(製品検査証明書)。製造工場が発行する材質・強度の証明書で、設計図書指定の材質(SD345等)と一致しているか照合する。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 鉄筋工事では何を確認する?を確認する
> 鉄筋の定着長さの管理を確認する
参考資料
・JASS 5 鉄筋コンクリート工事(日本建築学会)
・国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 第5章 鉄筋工事」
・JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
鉄筋加工図の読み方でよく間違えるのが「フックの折り曲げ角度」の確認です。
90°フックと135°フックは見た目が似ていますが、スターラップや帯筋の耐震性能に直接関わります。設計図書に135°フックと指定されている箇所は、搬入時に目視で必ず確認します。
もう一つは版数管理です。
設計変更で鉄筋のサイズや定着長さが変わったとき、加工図が更新されているかどうかの確認が抜けるケースがあります。加工発注前に最新版の加工図を使っているかを必ず確認する習慣が大切です。