けんせつる
地山の掘削で作業主任者が必要なのはどんな場合?土止め支保工とは別に選任が必要なの?
この記事の要点
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業(労働安全衛生法施行令第6条第9号)と、土止め支保工の切りばり・腹起しの取付け・取外し(同第10号)で選任が必要な作業主任者です。
同一の技能講習(地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習)を修了した者が、地山掘削と土止め支保工の両方の作業主任者を兼任できます。
建築工事では施工計画書をもとに基礎を造るために地面を掘削する作業が必ず発生します。
掘削面が2m以上の高さになると土砂崩壊・落下のリスクが高まるため、専門知識を持つ作業主任者の選任が法令上の義務となります。施工管理者はどのタイミングで選任が必要になるかを把握しておく。
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、労働安全衛生法第14条・労働安全衛生法施行令第6条第9号・第10号に基づき選任が義務付けられる作業主任者です。
事業者が「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」を修了した者の中から選任します。
掘削面が2m以上の高さになると、土砂の崩壊による作業員の埋没・圧迫死傷のリスクが急増します。足場の5mより低い2mという基準が設定されているのは、崩落した土砂の重量・勢いが地面の高さに関わらず危険だからです。
対象となる作業は次のとおりです。
| 作業の種類 | 条件 | 施行令の根拠 |
|---|---|---|
| 地山の掘削作業 | 掘削面の高さが2m以上 | 第6条第9号 |
| 土止め支保工の切りばり・腹起しの取付け・取外し | 条件なし(高さ不問) | 第6条第10号 |
ザックリ言えば、「掘削面が2m以上なら掘削の作業主任者が必要、土止め支保工の切りばり等の作業は高さを問わず必要」ということになります。
地山の掘削作業における作業主任者の主な職務は次のとおりです。
土止め支保工の切りばり・腹起しの取付け・取外し作業における職務は次のとおりです。
地山掘削と土止め支保工は同じ技能講習修了者が作業主任者として兼任できます。現場では1人が両方の作業主任者を務めることが多いです。
作業主任者の名称・資格・職務の一覧(地山の掘削は令第6条第9号、土止め支保工は第10号)は、静岡労働局の資料(下図)に整理されています。
混同しやすい用語の整理
地山の掘削作業主任者の選任基準は掘削面の高さ2m以上です。足場の組立て等作業主任者の選任基準は高さ5m以上です。
混同しやすいため、どちらがどの高さかをしっかり区別しておくことが重要です。
どちらも同じ技能講習(地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習)の修了が必要で、1人が両方を兼任できます。「掘削の主任者と支保工の主任者は別の人が必要」という誤解が起きやすいです。
山留めの設置に関する規定は、公共建築工事標準仕様書(令和4年版)の3.3.1節(下図)に示されています。
地山の掘削で作業主任者が必要な掘削面の高さは?
掘削面の高さが2m以上。根拠は労働安全衛生法施行令第6条第9号。
土止め支保工の切りばり取付け作業に高さ制限はあるか?
高さ制限なし(高さを問わず作業主任者の選任が必要)。根拠は労働安全衛生法施行令第6条第10号。
地山掘削と土止め支保工の作業主任者は同一人物が兼任できるか?
できる。地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者が両方を兼任可能。
> 作業主任者の種類と選任要件を確認する
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
参考資料
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第14条・第119条
・労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第6条
・厚生労働省 職場のあんぜんサイト「作業主任者」
選任義務違反の罰則:作業主任者を選任しなかった場合、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となります。
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は掘削面の高さ2m以上の掘削作業で必要です。山留め計画書と掘削作業計画書に作業主任者の職務内容を明記してください。
崩壊リスクの高い地質(砂・軟弱粘土)では特に周辺の変位計測記録が重要です。施工写真で掘削面の状況を記録しておくことも大切です。