けんせつる
弾性波速度検層って何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
弾性波速度検層(PS検層)は、ボーリング孔を利用してP波・S波の地盤内伝播速度を深度別に測定する試験です。
S波速度(Vs)は地盤の剛性を示す指標で、液状化判定・耐震設計の地盤種別判定・地震応答解析の基礎データとして使われます。P波速度(Vp)からは地下水位の把握もできます。
ザックリ言えば、「ボーリング孔を使って地盤の固さを音速で測る試験」です。
N値が地盤の硬軟を打撃回数で示すのに対し、PS検層は弾性波の伝わる速さで示す点が違います。
試験はボーリング調査で掘削した孔を利用して行います。
地表面でハンマー等を使って振動(弾性波)を起こし、孔内に設置した受振器(ジオフォン)が深度別に弾性波の到達時刻を記録します。
各深度への到達時刻から波の速度を計算し、深度ごとのP波速度・S波速度を得ります。
| 波の種類 | 伝播の特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| S波(横波) 速度:Vs | 固体のみを伝わる(水中を伝わらない) | 地盤の剛性把握・液状化判定・耐震設計 |
| P波(縦波) 速度:Vp | 固体・液体・気体を伝わる | 地下水位の把握(飽和層でVpが急増する) |
S波速度(Vs)は地盤の剛性(せん断剛性)を直接反映する値です。
Vsが高いほど地盤が固く、Vsが低いほど地盤が軟弱なことになります。
具体的な活用場面は次の通りです。
例えば、再開発で大型建物を計画する際に、PS検層のVsデータをもとに地震応答解析を行い、建物の固有周期と地盤の卓越周期が共振しないか確認することがあります。
地盤の振動特性を調べる試験として、PS検層と常時微動測定はよく比較されます。
| 比較項目 | PS検層(弾性波速度検層) | 常時微動測定 |
|---|---|---|
| 測定場所 | ボーリング孔の内部(孔内) | 地表面 |
| 把握できる深さ | ボーリング深度まで(深部も可) | 主に表層?中深度 |
| 精度 | 高い(深度別に詳細なVsを取得) | PS検層より劣る |
| コスト・手間 | ボーリング孔が必要・コスト高 | ボーリング不要・比較的低コスト |
| 主な用途 | 液状化判定・耐震設計の地盤種別判定・地震応答解析 | 地盤の卓越周期把握・建物設計前の概略調査 |
平たくいえば、「精密に深部地盤まで調べたいならPS検層、手軽にざっくり地盤特性をつかむなら常時微動測定」という使い分けでしょう。
弾性波速度検層を含む物理探査(地球物理学的調査)は、国土交通省告示第111号(下図)の第一「地盤調査の方法」第六として規定されています。
PS検層データが根拠となる根切り工法の選定(周辺状況・土質・地下水の状態等に適した工法)は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の3.2.1節に規定されています。
混同しやすい用語の整理
PS検層はボーリング孔内の受振器で弾性波速度を深度別に精密測定します。深部地盤のVsが得られ、液状化判定・耐震設計の精密な計算に使われることになります。
常時微動測定は地表に計測機器を置いて日常的な微振動を記録するため、ボーリングが不要で低コストです。ただし深部地盤の詳細な情報は得にくく、精度はPS検層に劣ります。
PS検層でS波速度(Vs)を測定する主な目的は?
地盤の剛性把握・液状化判定・耐震設計における地盤種別判定・地震応答解析の基礎データ取得が主な目的。Vsが低いほど軟弱地盤で液状化リスクが高まる。
P波速度(Vp)から何がわかるか?
地下水位の把握。P波は水中も伝わるため、飽和している層でVpが急増する。
このVpの変化点が地下水位の目安になる。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
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参考資料
・地盤工学会「地盤調査の方法と解説」
・建築基準法施行令第93条(地盤調査)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
施工管理のポイント
PS検層はボーリング調査と同時に実施することが多いです。ボーリング孔が掘削済みであれば追加試験として比較的低コストで行えます。
液状化が懸念される砂質地盤や、大規模建物の耐震設計が必要な現場では、設計者からPS検層データの提出を求められることがありますので、ボーリング計画の段階で確認しておくといいです。