けんせつる
標準貫入試験の数値って、63.5kgだっけ?75cmだっけ?ごっちゃになる…
この記事の要点
標準貫入試験(SPT)は質量63.5kgのハンマーを760mm(76cm)の高さから自由落下させて、スプリットバレルサンプラーを30cm貫入させるのに要した打撃回数をN値として記録する試験です。
N値は地盤の硬軟を示す最も基本的な指標で、支持層の深さ・液状化リスク・基礎形式の選択に使われます。試験で頻出の数値(63.5kg・760mm・30cm)は確実に覚えましょう。
地盤調査の花形といえば標準貫入試験です。ボーリング調査といえばほぼ必ず標準貫入試験がセットでついてきます。
この試験は数値そのものが頻繁に問われます。「落下高さ75cmか76cmか」は施工管理の試験でも間違えやすいポイントなので、ここでしっかり整理しておきましょう。
標準貫入試験はボーリング孔の底で行います。手順を順に見ていきましょう。
ステップ1:ボーリング孔の掘削
まず試験深度まで孔を掘り、孔底を清掃します。孔底の土が乱れた状態で試験を始めると正確な値が取れありません。
ステップ2:サンプラーの設置
スプリットバレルサンプラー(二つ割り管)をロッドにつないで孔底に降ろします。このサンプラーが地盤に貫入して土を採取する器具です。
ステップ3:仮打ち(15cm)
ハンマーを落下させてサンプラーを15cm貫入させます。この15cmは「予備打ち」で、孔底の乱れた土を通過させるための手順です。
仮打ちの打撃回数はN値に含めません。
ステップ4:本打ち(30cm)
さらにサンプラーを30cm貫入させるのに要した打撃回数を記録します。この打撃回数がN値です。
打撃は最大50回で打ち止めとします(50回打っても30cm貫入できない場合、N値50以上と記録)。
ステップ5:サンプラーの引き上げ
サンプラーを引き上げて採取した土サンプルを記録します。サンプルは土質確認や室内試験に使います。
| 手順 | 内容 | 貫入量 |
|---|---|---|
| 仮打ち | 孔底の乱れた土を通過させる予備打ち | 15cm(N値に含まない) |
| 本打ち | 地盤の硬さを測定する打撃 | 30cm(この回数がN値) |
| 試験間隔 | 原則として深さ1mごとに実施 | 各深度で測定 |
要は「仮打ち15cm+本打ち30cm」の計45cmをひとセットとして、1mごとに繰り返す作業です。
N値とは、標準貫入試験でサンプラーを30cm貫入させるのに要した打撃回数のことです。数値が大きいほど地盤が硬く、小さいほど軟弱だということを示します。
試験の3つの基本数値は絶対に覚えておきましょう。
| 項目 | 数値 | ポイント |
|---|---|---|
| ハンマーの質量 | 63.5 kg | 約140ポンド。日本では「63.5kg」で統一されている |
| 落下高さ | 760 mm(76 cm) | 「75cm」は誤り。JIS A 1219では760mmと規定 |
| 本打ちの貫入量 | 30 cm | この30cmを何回で貫入できたかがN値 |
例えば、30cmを15回の打撃で貫入できたなら、その深さのN値は15ということになります。N値50以上になると打ち止めとして、「この深さが支持層」と判断します。
標準貫入試験(地盤の許容応力度算定に使う調査方法)は、昭和46年建設省告示第111号(下図)の第一「地盤調査の方法」第二として規定されています。
N値は地盤の硬軟を示す数値ですが、施工管理ではさらに具体的な判断に使います。
| N値の目安 | 地盤の状態 | 施工上の判断の目安 |
|---|---|---|
| 0~4 | 非常に軟弱(軟弱粘性土・腐植土など) | 地盤改良が必要な場合が多い |
| 5~9 | 軟弱?やや軟弱 | 杭基礎の検討が必要なことが多い |
| 10~29 | 中程度 | 建物規模・地層状況で直接基礎か杭かを判断する |
| 30~49 | 硬い | 支持層として利用できる場合が多い |
| 50以上(打ち止め) | 非常に硬い(砂礫・岩盤など) | 杭の先端支持層として使用する |
N値の主な使い道を整理しておきましょうね。
支持層の深さの確認
既製コンクリート杭・鋼管杭などは「N値50以上の層に杭先端を到達させる」ことを原則とします。柱状図でN値が50を超えた深さが、杭長を決める目安になることになります。
液状化リスクの判定
砂質地盤でN値が低い(特にN値15以下)と、地震時に液状化が起きやすいとされています。液状化判定の基準はN値を出発点とした計算で行います。
基礎形式の選択
N値が全体的に低く軟弱な地盤では直接基礎は使えず、杭基礎か地盤改良を選択することになります。表層だけN値が高くても支持層として十分でない場合があるため、全体の柱状図で判断するです。
例えば、建物直下の支持層が予定より深い場合、設計杭長よりも長い杭を発注しなければならないことがあります。施工前に柱状図のN値を確認しておくことが、現場対応の遅れを防ぐことにつながります。
N値を直接用いた杭先端の許容応力度算定式(打込みぐい:qp=300N/2等)は、昭和46年建設省告示第111号(下図)の第三「支持ぐいの許容支持力」に規定されています。
標準貫入試験に関する問題で間違えやすいのは数値の部分です。誤りとして出やすい値と正しい値をまとめておきます。
| 確認ポイント | 誤答(よく出る) | 正解 |
|---|---|---|
| 落下高さ | 75 cm | 76 cm(760 mm) |
| ハンマー質量 | 50 kg・65 kg | 63.5 kg |
| 本打ちの貫入量 | 25 cm・20 cm | 30 cm |
| 仮打ちの貫入量 | 10 cm・20 cm | 15 cm |
| 打ち止めN値 | 30・60 | 50 |
| 試験実施間隔 | 50 cmごと・2 mごと | 原則1 mごと |
「落下高さ75cmか76cmか」は毎回迷う人が多いですよね。これは760mm=76cmという変換を覚えれば解決します。
ミリメートル表示(760mm)で覚えておくと混乱しにくいです。
また標準貫入試験には限界もあります。礫(砂利)に当たると打撃回数が急増して過大なN値が出ることがあります。
逆に粘性土では打撃による乱れの影響を受けやすく、信頼性が低下することも知っておくといいですよ。粘性土ではベーン試験を使って非排水せん断強度を直接測定するケースもあります。
混同しやすい用語の整理
N値は標準貫入試験で得られる打撃回数で、地盤の硬軟を示す「相対的な指標」です。地耐力(許容支持力)はN値や土質試験の結果をもとに計算した「地盤が建物荷重を支えられる力(kN/m2)」です。
N値が高くても地盤の種類や条件によって地耐力の計算値は変わるため、N値と地耐力は別物として扱うことになります。
仮打ちはボーリング孔底の乱れた土を通過させるための予備打ちで、貫入量は15cmです。N値の計算には含めません。
本打ちは地盤の硬さを測定するための打撃で、貫入量30cmに要した回数がN値です。「仮打ちの打撃回数もN値に含む」という誤答に引っかからないようにしましょう。
標準貫入試験のハンマー質量と落下高さを答えよ。
ハンマー質量は63.5 kg、落下高さは760 mm(76 cm)。落下高さ「75cm」は誤り。
JIS A 1219に規定されている。
仮打ちとは何か。N値に含めるか?
仮打ちはボーリング孔底の乱れた土を通過させるための予備打ちで、15cmの貫入を行う。仮打ちの打撃回数はN値に含めない。
本打ち(30cm)の打撃回数のみがN値になる。
N値50以上を「打ち止め」とするのはなぜか。
N値50以上は地盤が非常に硬い(砂礫・岩盤など)ことを示し、杭の先端支持層として十分な強度があるとされているため。50回打撃しても30cm貫入できない場合はN値50以上と記録し、その深さを支持層の目安とする。
標準貫入試験が不向きな土質はどれか。
礫(砂利)に当たると打撃回数が急増して過大なN値になりやすい。また粘性土では打撃による地盤の乱れの影響を受けやすく、N値の信頼性が低下することがある。
粘性土の非排水せん断強度はベーン試験で直接測定する方法が有効。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 原位置試験の種類と分類を確認する
> 地盤調査と柱状図の読み方を確認する
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
試験のポイント
「落下高さ75cm」は誤答の定番です。JIS A 1219では760mm(76cm)と規定されています。
「75cm」はおそらく「750mm」と混同した誤答です。また「ハンマー50kg」「ハンマー65kg」という選択肢も出ることがあります。
63.5kgという中途半端な数値がポイントなので、そのまま丸暗記するのが一番確実ですよ。