けんせつる
一軸圧縮と三軸圧縮って何が違うの?圧密試験と圧縮試験も混ざってくるし、どの試験がどの地盤に使えるのかよくわからない……。
この記事の要点
室内試験は採取した土を実験室で分析する方法。原位置試験とは目的も得られる情報も異なる。
一軸圧縮・三軸圧縮・圧密・湿潤密度の4試験は、適用する地盤と「何を知りたいか」で使い分ける。
地盤調査というと、現場でボーリングを行う原位置試験をイメージする人が多いでしょう。でも、採取した土を実験室に持ち帰って詳しく分析する「室内試験」も、地盤設計には欠かせない工程です。
室内試験の中でも特に混同されやすいのが、一軸圧縮試験・三軸圧縮試験・圧密試験・湿潤密度試験の4種類です。この記事では、それぞれの違いと使い分けの考え方を整理していきます。
ザックリ言えば、「せん断強度を知りたいか・沈下を知りたいか・締固め管理に使うか」で試験を選ぶということです。その判断基準を、この記事でしっかり押さえておきましょう。
原位置試験は、地盤を掘らずに現場そのままの状態で測定する方法です。標準貫入試験(SPT)やスウェーデン式サウンディングが代表例で、N値や貫入抵抗が得られます。
一方、室内試験は現場から採取した試料(土のサンプル)を実験室に持ち込んで、精密な機器で計測するものです。例えば、高層マンションの基礎設計では、採取した粘土試料を圧密試験機にかけて、実際の沈下量を予測する計算を行います。
原位置試験は手軽で広範囲に実施できる反面、得られる情報が間接的なことが多いです。室内試験はコストと時間がかかりますが、せん断強度・圧縮性・密度といった物性値を直接・定量的に把握できます。
どちらか一方が優れているのではなく、目的に応じて組み合わせて使うものだです。
一軸圧縮試験は、円柱状に成形した土試料に、側面からの拘束なしで上から荷重をかけ、壊れるまで圧縮する試験です。
「拘束なし」というのがポイントで、試料は横方向に自由に膨らめる状態です。この条件は、粘性土(粘土・シルト)のように、ある程度の自立性がある土でないと試験が成立しません。
砂質土は拘束がないと崩れてしまうので、一軸圧縮試験には適していありません。
この試験から得られる主な値は次の2つです。
例えば、軟弱な粘土地盤の上に構造物を建てる場合、基礎の支持力計算で一軸圧縮強さが直接使われます。乱さない試料(不撹乱試料)と練り返した試料の強さの比がセンシティビティ比(鋭敏比)で、これが大きいほど施工中に地盤が弱くなりやすいことを示します。
三軸圧縮試験は、試料をゴム膜で包み、水中に置いて側面から水圧(拘束圧)をかけながら上から荷重を加える試験です。
一軸との最大の違いは、この「拘束圧あり」という点です。拘束圧があるので、砂質土のように自立しない土でも試験が可能になります。
要は、地中の実際の応力状態に近い条件で試験できるということです。
三軸圧縮試験では、排水条件の設定によって3種類の試験方法に分かれます。
得られる値として、粘着力(c)と内部摩擦角(φ)が挙げられます。一軸圧縮試験ではφ=0と仮定して粘着力しか求めませんが、三軸圧縮試験では砂質土のφも含めたせん断強度の全体像がわかります。
一軸圧縮・三軸圧縮・圧密試験等の室内試験(土質試験)は、国土交通省告示第111号(下図)の第一「地盤調査の方法」第五として規定されています。
圧密試験は、薄い円盤状の粘土試料を上下から段階的に荷重をかけていき、時間経過とともに試料がどれだけ圧縮されるかを測定する試験です。
粘性土(特に軟弱粘土)は、間隙に水を多く含んでいます。荷重がかかると間隙水が少しずつ外に排出されながら、土の粒子が詰まっていく、これが圧密現象です。
この排水に時間がかかるため、沈下がゆっくり進みます。
圧密試験から得られる値は主に3つです。
例えば、大阪などの軟弱地盤に建物を建てる場合、「竣工後10年でどれくらい沈下するのか」という予測に圧密試験のデータが使われます。設計段階でサンドドレーン工法やPVD工法の必要性を判断する根拠にもなります。
砂質土には圧密試験は使いません。なぜかというと、砂の間隙は大きく透水性が高いため、荷重がかかると同時に水が排出されて即座に沈下が終わってしまうからです。
砂質土の沈下は「即時沈下」として別の方法で計算します。これが「圧密試験は粘性土専用」と覚えるべき理由です。
湿潤密度試験は、採取した土の質量と体積から密度を求める試験です。得られる値は湿潤密度(ρt)ですが、そこからさらに計算で含水比・間隙比・飽和度・乾燥密度を求めることができます。
この試験が特に重要になるのは、盛土や路床の締固め管理です。簡単にいうと、「現場の土がどれだけ締まっているか」を数値で確認するための試験です。
具体的には、室内で事前に締固め試験(突固め試験)を行い、「最大乾燥密度(ρdmax)」と「最適含水比(wopt)」を求めます。現場の湿潤密度試験の結果から乾燥密度を計算し、その値が最大乾燥密度の何パーセントかを示す「締固め度(D)」を管理します。
道路盛土では締固め度90%以上が一般的な管理基準値です。
測定方法としては、試料をメスシリンダーや専用のリングに入れて体積を測るものが多く、現場での簡易法としてはサンドコーン法や電子密度計が使われることもあります。
ここまで解説してきた4試験を、一覧で整理します。
| 試験名 | 主な適用地盤 | 得られる主な値 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 一軸圧縮試験 | 粘性土(自立するもの) | 一軸圧縮強さ(qu)、変形係数(E50) | 支持力計算・鋭敏比の評価 |
| 三軸圧縮試験 | 粘性土・砂質土 | 粘着力(c)、内部摩擦角(φ) | 安定解析・盛土・斜面の検討 |
| 圧密試験 | 粘性土(軟弱粘土) | 圧縮指数(Cc)、圧密係数(Cv)、透水係数(k) | 沈下量・沈下時間の予測 |
| 湿潤密度試験 | 盛土材・路床材全般 | 湿潤密度(ρt)→乾燥密度・間隙比・飽和度 | 締固め管理・品質確認 |
混同しやすい用語の整理
一軸は「拘束なし・粘性土のみ」、三軸は「拘束あり・砂質土にも使える」です。得られる強度パラメータも違い、一軸はせん断強度(cu)のみ、三軸はcとφの両方が求まります。
「圧縮」は力をかけて体積を減らす一般的な現象。「圧密」は粘性土の間隙水が時間をかけて排出されることで体積が減る、時間依存の現象です。
圧密試験はこの時間の遅れを定量化するための試験です。一軸圧縮試験の「圧縮」とは全くの別物です。
湿潤密度は土粒子+間隙水の質量を全体積で割ったもの。乾燥密度は土粒子だけの質量を全体積で割ったものです。
締固め管理で比較対象になるのは「乾燥密度」で、含水比が変わっても土粒子の詰まり具合を正しく評価できます。
セメント系固化材改良体の許容応力度(Fc=F/3)とF(設計基準強度)の土質試験による確認は、国土交通省告示第111号(下図)の第五に規定されています。
Q. 一軸圧縮試験を砂質土に適用できない理由は何か。
A. 砂質土は拘束なしでは自立できず、円柱状の試料として成形することができないため。一軸圧縮試験は側面からの拘束がない条件で行うので、粘性土(粘土・シルト)にしか適用できない。
Q. 三軸圧縮試験のUU・CU・CDの違いを整理してほしい。
A. UU(非圧密非排水)は施工直後の短期安定を、CU(圧密非排水)は圧密後に急速荷重がかかる状態を、CD(圧密排水)は長期の緩速荷重を想定した試験条件です。現場の施工ステップに合わせて選択する。
Q. 圧密試験から「透水係数」が求まるのはなぜか。
A. 圧密速度(圧密係数Cv)は、間隙水の排水しやすさ(透水性)と土の圧縮性の両方に関係しているからです。間隙比の変化量と時間から間接的に透水係数kを算定することができる。
Q. 締固め管理で「湿潤密度」ではなく「乾燥密度」を使う理由は何か。
A. 湿潤密度は含水比の違いで値が変わってしまい、土粒子の詰まり具合(締固め度)を正確に比較できないため。乾燥密度は土粒子だけの質量で評価するので、含水比によらず締固めの程度を正しく管理できる。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
原位置試験との関係も合わせて理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人コメント
一軸と三軸のどちらを使うかは「地盤の種類」と「現場の条件設定」で変わります。粘性土のシンプルなせん断強度確認なら一軸で十分なことが多いですが、地すべり解析や盛土の安定計算では三軸圧縮試験のデータが必要になる場面が多いです。
試験費用も三軸の方がかかるので、目的に応じて選ぶ判断が現場では問われます。