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常時微動測定とは?卓越周期の意味とPS検層との違い

けんせつる

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常時微動測定って何?どんな場面で使うの?

この記事の要点

常時微動測定は、交通・風・人の活動などにより地盤や建物に常に生じている微小な振動(常時微動)を計測する調査です。

地盤の卓越周期(固有振動数)を把握することで、地震時に地盤が最も揺れやすい周期を特定し、建物との共振リスクを評価できます。ボーリングが不要なため低コスト・短時間で実施できる点が特徴です。

地盤は常にごくわずかに揺れています。

この「普段の揺れのクセ」を記録すると、「地震が来たときにどんな周期で大きく揺れるか」が見えてきます。

常時微動とは何か

常時微動とは、地震とは無関係に地盤や建物に常時生じている微小な振動のことです。

その原因は交通(車・電車)・風・工場の機械振動・波浪など、日常生活の中のあらゆる振動源です。

この微動は非常に小さな振動(振幅はマイクロメートル単位)ですが、高感度の速度計・加速度計で記録できます。

ザックリ言えば、「地盤が普段からわずかに揺れている、その揺れ方を測ることで地盤の特性を調べる試験」です。

卓越周期とは何を示すか

常時微動の計測データを周波数解析すると、特定の周期(周波数)で振動が卓立して強く出ることがわかります。

この「その地盤が最も揺れやすい周期」を卓越周期(あるいは固有周期・固有振動数)と呼ぶことになります。

卓越周期が重要な理由は、建物の固有周期と地盤の卓越周期が一致した場合に共振が起きて揺れが増幅するのからです。

例えば、固有周期1秒程度の中高層ビルを建てる予定の土地で、地盤の卓越周期も1秒付近なら、設計者は共振リスクを念頭に置いた耐震設計を検討しなければなりません。

何に使うか

常時微動測定の主な活用場面は次の通りです。

要は、「ボーリングを掘らずに地盤の揺れやすさを手軽に把握できる調査」という位置づけです。

PS検層との違いは何か

常時微動測定と弾性波速度検層(PS検層)はどちらも地盤の振動特性を調べる手法ですが、方法・コスト・精度が異なります。

比較項目常時微動測定PS検層(弾性波速度検層)
測定場所地表面(ボーリング不要)ボーリング孔内
コスト比較的低コストボーリング費用が必要・高コスト
得られる情報卓越周期・増幅特性(概略)深度別のS波速度Vs・P波速度Vp(精密)
深部地盤の把握ある程度可能だが精度は劣るボーリング深度まで詳細に把握できる
主な用途地盤特性の概略把握・共振リスク評価・広域マッピング液状化判定・耐震設計の地盤種別判定・地震応答解析

簡単にいうと、「まず手軽に地盤の揺れやすさをつかむなら常時微動測定、精密なVsデータが必要な耐震設計・液状化判定にはPS検層」という使い分けでしょう。

規模の大きい建物では常時微動測定で地盤特性を概略把握した後、PS検層で精密な地盤データを取得するという流れをとることもあるです。

常時微動測定を含む物理探査(地球物理学的手法)は、昭和46年建設省告示第111号(下図)の第一「地盤調査の方法」第六に規定されています。

昭和46年建設省告示第111号 第一 地盤調査の方法
出所:昭和46年建設省告示第111号 p.1 第一 地盤調査の方法(六「物理探査」として電気検層・弾性波探査・常時微動測定など地球物理学的手法が規定されている)

施工管理のポイント

常時微動測定はボーリングが不要で短時間(1地点あたり数十分程度)で実施できます。

設計前の地盤調査として実施される場合、施工管理者が直接立ち会う機会は多くありませんが、「地盤の卓越周期がどの程度か」という情報は耐震設計や建物の仕様選定に関わるため、調査報告書の概要を設計者から共有してもらうといい場面もありますよ。

地下水位や地盤状況に応じた根切り工法の選定・排水の規定は、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版(下図)の3.2.1・3.2.2節に示されています。

公共建築工事標準仕様書 令和4年版 3.2.1根切り・3.2.2排水
出所:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 p.13 3.2.1根切り・3.2.2排水(地下水位や地盤状況に応じた適切な工法選定が規定されている)

混同しやすい用語の整理

常時微動測定 vs PS検層(弾性波速度検層)

常時微動測定は地表に計測機器を置いて日常の微振動を記録します。ボーリング不要で低コスト・手軽ですが、深部地盤のVsを精密に得ることはできません。

PS検層はボーリング孔内の受振器で弾性波速度を深度別に精密測定します。液状化判定・耐震設計に必要な精密なVsデータが得られますが、ボーリング費用がかかります。

一問一答

Q.

常時微動測定で把握できる「卓越周期」とは何か?

その地盤が最も揺れやすい周期(固有周期)のこと。地震時に卓越周期と建物の固有周期が一致すると共振が起きて揺れが増幅する。

建物設計で共振リスクを評価するために活用される。

Q.

常時微動測定がPS検層より優れている点は何か?

ボーリング孔が不要で低コスト・短時間で実施できる。広域の地盤特性マッピングや設計前の概略調査に向いている。

ただし深部地盤の詳細なVsデータはPS検層に劣る。

まとめ

RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。

弾性波速度検層(PS検層)の詳細を確認する

地盤調査とN値の確認ポイントを確認する

参考資料

・地盤工学会「地盤調査の方法と解説」

・日本建築学会「地盤震動」

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けんせつる

建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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