けんせつる
密着工法と絶縁工法ってどう違うの?
この記事の要点
密着工法は防水層を下地に全面接着する工法です。下地のひび割れ・変形の影響を直接受けやすい反面、コストが低く施工が容易です。
新築・下地が良好な場合に向いています。
絶縁工法は防水層と下地の間に絶縁層(穴あきシート・通気シートなど)を設ける工法です。下地の動き・水分の影響を受けにくく、改修工事や下地に問題がある場合に向いています。
脱気筒の設置が必要です。
アスファルト防水やシート防水では、同じ材料でも「密着工法」と「絶縁工法」のどちらかを選びます。防水工法の種類全体の中でも、この工法の選択は施工条件を左右する重要な判断です。
この違いは防水層と下地の接着方法にあり、下地の状態・建物の用途・改修か新築かによって使い分けます。
密着工法とは、防水層(アスファルトルーフィングやシート)を下地コンクリートに全面接着させる工法です。
密着工法が向いている状況:新築工事で下地の状態が良好な場合、下地の動きが少ない部位です。
絶縁工法とは、防水層と下地の間に絶縁層(通気シート・穴あきシートなど)を挟んで、下地と防水層を縁切りする工法です。
なぜかというと、絶縁層を挟むことで防水層が下地から「浮いた」状態になり、下地の変形が直接伝わらなくなるからです。
絶縁工法が向いている状況:改修工事で既存防水層の上に重ね張りする場合、下地に水分が多い・ひび割れが多い場合です。ウレタン防水の通気緩衝工法も絶縁工法の一種です。
| 項目 | 密着工法 | 絶縁工法 |
|---|---|---|
| 防水層と下地の関係 | 全面接着 | 絶縁層(通気シート等)で縁切り |
| 下地の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| 膨れの発生 | 起きやすい(下地水分の影響) | 脱気筒で排出するため起きにくい |
| 脱気筒 | 不要 | 必要 |
| コスト | 低め | 高め |
| 適した状況 | 新築・下地良好 | 改修・下地に問題あり |
密着工法と絶縁工法それぞれの種別および工程の違いは、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。
ザックリ言えば、「新築・乾燥した下地には密着工法、改修・水分が心配な下地には絶縁工法」ということです。
脱気筒とは、絶縁工法で設ける絶縁層(通気層)に溜まった水蒸気を外部に排出するための筒状の器具です。
防水層の膨れ防止のために絶縁工法と組み合わせて使います。設置間隔の目安は一般的に50~100m2に1個程度です。
例えば、改修工事で屋上に絶縁工法を施工したのに脱気筒を忘れると、翌夏に防水シートが膨れ上がります。脱気筒は見た目は小さいですが、重要な役割を担っています。
混同しやすい用語の整理
密着=下地に全面接着、絶縁=絶縁層で縁切り。「密着工法は下地に密着するのから下地の影響を受ける」「絶縁工法は下地と絶縁されているから下地の影響を受けにくい」と覚えましょう。
密着工法は下地の水蒸気が逃げ場を失って防水層が膨れやすいです。絶縁工法は絶縁層を通気層として水蒸気を脱気筒から排出するため膨れにくいです。
絶縁工法で脱気筒を設置する目的は何か?
絶縁層(通気層)に溜まった水蒸気を外部に排出し、防水層の膨れを防ぐため。
下地にひび割れが多い改修工事で推奨されるのは密着工法・絶縁工法のどちらか?
絶縁工法(下地の影響を受けにくいため)。
密着工法で防水層が膨れやすい原因は何か?
下地に残った水分が水蒸気となり、全面接着された防水層の下に閉じ込められるため。
防水工事の種類と施工管理は防水・シーリングにまとめています。
> アスファルト防水の密着・絶縁工法を確認する
> 防水下地の処理ポイントを確認する
参考資料
・JASS 8 防水工事(日本建築学会)
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
・JIS A 5758 建築用シーリング材
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
密着工法と絶縁工法の選択は下地の状態(含水・ひび割れ)によって決まります。ルーフバルコニーなど下地の動きが大きい箇所は絶縁工法を推奨します。
絶縁工法では脱気筒の位置・数が膨れ防止に直結するので設計図書を確認してください。