けんせつる
メンブレン防水って、ウレタンとかシートとは別の工法なの?
この記事の要点
メンブレン防水とは、面状に連続した不透水の被膜(膜)をつくって水の浸入を防ぐ防水の総称です。特定の1工法の名前ではなく、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水(ウレタン・FRP)がすべてこの仲間に含まれます。
目地などを線状に埋めるシーリング防水とは「面で守るか・線で守るか」が違います。施工管理では下地処理・立上り端部・水張り試験の確認が要点です。
「メンブレン防水」と聞くと、ウレタンやシートとは別の特別な工法だと思ってしまう人がいます。
ところが、これは工法の名前ではありません。なぜかというと、複数の防水工法をまとめて呼ぶ総称だからです。
メンブレン(membrane)とは「膜」という意味です。
つまりメンブレン防水とは、屋根・屋上・バルコニーなどの面に、水を通さない連続した被膜(防水層)をつくって面全体を覆う防水方法のことなんです。
この被膜をどんな材料・どんなやり方でつくるかによって、いくつかの工法に枝分かれします。アスファルトを重ねるもの、シートを貼るもの、液体を塗って膜にするもの、これらはやり方が違うだけで「面を被膜で覆う」という考え方は同じです。
アスファルト防水・改質アスファルトシート防水・合成高分子系シート防水・塗膜防水の各工法の適用範囲は、公共建築工事標準仕様書(下図)に示されています。これらがまとめてメンブレン防水にあたります。
ザックリ言えば、メンブレン防水とは「面を被膜で覆う防水ぜんぶ」をまとめた呼び名ということです。
メンブレン防水に含まれる主な工法は次のとおりです。
| 工法 | 被膜のつくり方 | 特徴 | 主な適用部位 |
|---|---|---|---|
| アスファルト防水 | ルーフィングを複数層重ねる | 高耐久・信頼性が高い。熱を使う工法あり。 | 大規模建物の屋上・地下外壁 |
| 改質アスファルトシート防水 | 改質アスファルトシートを貼る | トーチで溶かして貼る。臭気が少ない。 | 屋上・改修工事 |
| シート防水 | 塩ビ・ゴムシートを貼る | 施工が速い。機械固定で既存の上にも施工可。 | 屋上・屋外廊下 |
| ウレタン防水(塗膜) | 液状樹脂を塗って膜にする | 継ぎ目なし・複雑形状に対応。改修に多用。 | 屋上・バルコニー・改修 |
| FRP防水(塗膜) | ガラス繊維+樹脂で膜にする | 硬く強い。耐荷重性が高い。大面積に不向き。 | ベランダ・駐車場床 |
同じメンブレン防水の仲間でも、工法ごとに得意分野は違います。大まかな傾向を評価で並べると次のとおりです。
| 工法 | 耐久性 | 経済性 | 施工性 | 改修向き |
|---|---|---|---|---|
| アスファルト防水 | ◎ | △ | △ | ○ |
| 改質アスファルトシート防水 | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| シート防水 | ○ | ○ | ◎ | ○ |
| ウレタン塗膜防水 | ○ | ○ | ○ | ◎ |
| FRP塗膜防水 | ○ | △ | △ | ○ |
※ ◎=優れる/○=普通/△=やや劣る・条件次第。製品・下地・施工条件で変わる一般的な目安です。
このように、被膜を「重ねる・貼る・塗る」のどれでつくるかで工法が分かれます。どれを選ぶかは部位・面積・新築か改修かで決まります。種類ごとの選び方は防水工事の種類で詳しく整理しています。
例えば、配管が密集した屋上の改修では、シートを切り張りするより塗膜防水のほうが膜を連続させやすく、確実に仕上げられることが多いです。
メンブレン防水とよく対比されるのがシーリング防水です。両者は守る範囲のかたちが違います。
ザックリ言えば、面を守るのがメンブレン防水、線(目地)を守るのがシーリング防水ということです。
ここは混同しやすいところですね。実際の建物では、屋上は面のメンブレン防水で、外壁の目地は線のシーリング防水で、というように両方が役割分担して使われています。どちらかが優れているという話ではないわけです。
メンブレン防水は仕上げ材や保護層の下に隠れてしまいます。そのため施工中の確認が特に重要です。
下地処理は、被膜を密着させる土台づくりです。
下地に汚れ・油分・ひび割れ・水分が残っていると、膜の密着不良や膨れ・剥離の原因になります。
プライマーは下地と防水材の接着を高める下地処理材です。
工法ごとに対応するプライマーが決まっているので、材料に合ったものを使っているか確認しましょう。
防水層の立上り(パラペット・ドレン周り)は、面と面の境目で漏水が起きやすい部位です。
立上り高さと端部の押えが適切かを確認します。報告されている漏水の多くは、この端部の納まり不良が起点になります。
防水層が完成したら、水張り試験で漏水がないかを確認します。
24~48時間程度の湛水試験が標準的なやり方です。
混同しやすい用語の整理
メンブレン防水は面を連続した被膜で覆う防水の総称、シーリング防水は目地などの線状のすき間を充填材で埋める防水です。守る範囲が「面」か「線」かが最大の違いです。
アスファルト防水はメンブレン防水の一種です。並列の別工法ではなく、メンブレン防水という大きなくくりの中にアスファルト防水・シート防水・塗膜防水が含まれる、という上下の関係です。
メンブレン防水とは特定の1工法の名前か?
いいえ。面を被膜で覆う防水の総称で、アスファルト防水・シート防水・塗膜防水が含まれる。
メンブレン防水とシーリング防水の最大の違いは?
守る範囲が面(メンブレン)か線・目地(シーリング)かの違い。
メンブレン防水で漏水が起きやすい部位はどこか?
立上り・ドレン・貫通部などの端部。検査はまず端部の納まりから確認する。
防水工事の種類と施工管理は防水・シーリングにまとめています。
この用語が問われた過去問
参考資料
・JASS 8 防水工事(日本建築学会)
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
・JIS A 6021 建築用塗膜防水材
※ この記事の法令確認日:2026年6月
管理人からのコメント
メンブレン防水は1つの工法名だと勘違いされがちですが、実際は面状防水の総称です。覚え方は「メンブレン=面、シーリング=線」でOKです。図面に「メンブレン防水」とだけある場合は、アスファルト・シート・塗膜のどれを指すのか、設計図書とメーカー仕様書で必ず特定してから着手してください。
面の被膜は、平場よりも立上り・ドレン・貫通部などの「端部」で切れやすいのが共通の弱点です。検査はまず端部の納まりから見るのが定石です。