けんせつる
「竣工時の電気試験って、絶縁抵抗は何MΩ以上あればいいの?対地電圧によって違うって本当?」
この記事の要点
絶縁抵抗試験は、電路の絶縁状態(漏電・絶縁劣化がないか)を確認するための試験です。電気設備の技術基準の解釈(第14条)では、対地電圧の区分に応じた絶縁抵抗値の最低基準が規定されています。
電路には絶縁体(ビニルなどの被覆)が使われており、電気が流れるべき場所以外には電気が流れないように設計されています。しかし、経年劣化・施工不良・外傷などで絶縁が低下すると、漏電が起きて感電事故・火災の原因になります。
絶縁抵抗試験は、電路と大地(アース)との間の電気的な抵抗(絶縁抵抗)を測定して、絶縁状態が一定の基準を満たしているかを確認する試験です。
ザックリ言えば、「電気が漏れていないか」を数値で確認する試験です。竣工時の受電前に電気工事業者が実施し、建築施工管理者は測定記録を確認するのが役割ですね。
電気設備の技術基準の解釈(第14条)では、低圧電路の絶縁抵抗値を対地電圧の区分で次のように規定しています。
| 電路の区分 | 最低絶縁抵抗値 | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| 対地電圧150V以下 | 0.1MΩ以上 | 単相2線式100V回路(一般コンセント等) |
| 対地電圧150V超?300V以下 | 0.2MΩ以上 | 単相3線式200V回路(エアコン・IH等) |
| 使用電圧300V超(低圧) | 0.4MΩ以上 | 三相3線式200V以上の動力回路等 |
「対地電圧」とは、電路の各線と大地(接地側)との間の電圧です。単相2線式100Vでは100V(または0V側)、単相3線式200/100Vでは最大100V(150V以下)です。
低圧の上限は直流750V・交流600Vです。これを超えると高圧になり、絶縁抵抗の規定も変わりますね。
ただし建築物の電気設備は多くが低圧なので、この3区分を覚えておくと役立つでしょう。
絶縁抵抗は「絶縁抵抗計(メガー)」という専用器具で測定します。メガーは高電圧(500V・1000V等)を測定回路に印加して、漏えい電流から抵抗値を計算します。
測定手順のポイントは次のとおりです。
測定値が規定値を下回った場合は、原因を特定して絶縁補修を行った上で再測定します。
竣工時には絶縁抵抗試験以外にも複数の電気試験が行われます。施工管理者が確認すべき試験の流れを整理します。
これらの試験結果は施工記録として保管し、発注者への引渡し書類に含めます。試験記録の不備は後々のトラブルになります。
引渡し前に完備しておくのが重要ですね。
混同しやすい用語の整理
絶縁抵抗:電路(充電部)と大地との間の電気的抵抗。値が大きいほど漏電しにくい(MΩ単位)。
接地抵抗:接地極(アース棒等)と大地との間の電気的抵抗。値が小さいほど電流が大地に逃げやすい(Ω単位)。
絶縁抵抗は「大きいほど良い」、接地抵抗は「小さいほど良い」という方向が逆な点に注意。
メガー:高電圧を印加して絶縁抵抗をMΩ単位で測定。充電前の電路に使う。
テスター:低電圧で電圧・電流・抵抗を測定する汎用計器。通電中の回路の電圧確認等に使う。
Q1. 対地電圧が150V以下の低圧電路(単相100V一般回路)の絶縁抵抗の最低値はいくらか。
A. 0.1MΩ以上(電気設備の技術基準の解釈 第14条)。
Q2. 絶縁抵抗試験を実施する前に行うべき準備として、精密機器(電子機器)をどうすべきか。
A. 測定対象回路から取り外す(または回路から切り離す)。メガーの高電圧(500~1000V)で内部回路が破損するため。
Q3. 「絶縁抵抗は大きいほど良い、接地抵抗は小さいほど良い」のはなぜか。
A. 絶縁抵抗が大きいほど漏電しにくい(電気が外に逃げない)。接地抵抗が小さいほど、漏電時に電流が大地に速やかに逃げて人体への危険が減る。
設備工事の施工管理は施工管理の視点でまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
「精密機器を外さずに絶縁抵抗試験を実施してしまう」というケースへの注意が、各種測定ガイドや安全管理規程で繰り返し指摘されています。インターホン・火災報知設備・制御盤などの電子機器は、メガーの高電圧(500V・1000V)で内部回路が破損します。
試験前に電気工事業者と確認して、精密機器・電子機器を回路から切り離した状態で測定することが必要です。また、絶縁抵抗試験は「湿潤状態の電路」では測定値が低下することがあります。
内装工事が完了して乾燥した状態で実施するのが望ましいです。