けんせつる
「木造の金物っていろんな種類があるけど、どこに何を使うの?施工管理で何を確認すればいいの?」
この記事の要点
木造軸組工法では、地震・風圧力による引張力(引き抜き力)に抵抗するため、各接合部に金物を取り付けます。ホールダウン金物は柱の引き抜き防止(N値が大きい部位)、羽子板ボルトは梁と柱の接合、柱脚金物は柱と土台の接合に使います。
施工管理では「設計図に指定された金物が正しい位置に設置されているか」「ボルト・ビスが指定された本数・径で締め付けられているか」を確認します。
木造軸組工法の建物は、地震や台風のときに柱が土台から引き抜かれたり、梁と柱の接合部が外れたりする破壊が起きやすい構造です。
2000年の建築基準法改正(いわゆる2000年基準)で、N値計算に基づく接合部金物の明示が義務化されました。これにより、各柱の引き抜き力に応じた金物の種類・取付け方法が設計図に明記されるようになったです。
施工管理者は、構造図に指定された金物の種類と位置を事前に把握し、上棟後の金物取付け状況を確認することが重要です。金物確認は「後からでもできる」と思いがちですが、壁下地を組んでしまったら見えなくなりますよ。
ホールダウン金物は、柱が土台から引き抜かれるのを防ぐための金物です。専用のボルトを柱に打ち込み、土台・基礎のアンカーボルトと緊結します。
N値(引き抜き力の計算値)が大きい柱に使います。具体的には、耐力壁の端部の柱、出隅(建物コーナー)の柱などが対象になることが多いです。
例えば、2階建て建物の1階隅柱には、地震時に大きな引き抜き力が生じます。ここにホールダウン金物が取り付けられていない場合、柱が土台ごと浮き上がる危険があります。
施工管理の確認ポイントは以下です。
羽子板ボルトは、梁と梁(または桁と梁)が接合する仕口部分で、引っ張り方向の力に抵抗するための金物です。
形状が羽子板(板状の平らな部分とボルト穴)に似ているためこの名前がついています。ボルトを差し込んで締め付けることで、梁が引き抜かれる方向の力を負担します。
二階の床梁や小屋組の棟木周辺など、梁が横から引っ張られやすい部位に使います。ホールダウンと区別できるようにしておきましょう。
柱脚金物は柱の下端(柱脚)と土台の接合に使う金物の総称です。ホールダウン金物より引き抜き力が小さい柱に使います。
代表的な種類を整理すると次のようになります。
| 金物名 | 形状・特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 山形プレート(VP) | L字またはU字形の板状金物。ビスで柱と土台に固定。 | 引き抜き力が小さい柱(N値≦1.0) |
| かね折り金物 | L字形の金物。柱の両側から取り付けて土台と緊結。 | 引き抜き力が中程度の柱 |
| ホールダウン金物(HD系) | 柱に長ビスを打ち込み、アンカーボルトと連結。 | 引き抜き力が大きい柱(N値が大) |
ザックリ言えば、引き抜き力(N値)が小さい順に「山形プレート→かね折り→ホールダウン」と使い分けるということです。
施工管理では、柱一本ずつの金物種別と位置が設計図通りかを配筋検査ならぬ「金物確認」として行います。工程的には上棟直後に確認しないと、壁下地・断熱材を入れた後では確認できなくなります。
アンカーボルトは基礎コンクリートに埋め込まれ、土台と基礎を緊結するボルトです。後から位置を変えられないため、配置精度の確認は基礎コンクリート打設前に行う必要があります。
ちなみに土台固定用アンカーボルトは径12mm(M12)以上、間隔は2m以内に1本が建築基準法施行令42条に規定されています。ホールダウン金物用のアンカーボルトは通常M16以上を使います。
基礎コンクリート打設前にアンカーボルトの位置を確認しておかないと、後からどうにもなりませんね。
混同しやすい用語の整理
ホールダウン金物:柱の引き抜き力(柱→土台方向)に抵抗する。基礎アンカーボルトと連結。
羽子板ボルト:梁・桁の引き抜き力(梁→柱の接合方向)に抵抗する。梁と梁・梁と柱の仕口に使う。
土台固定用:M12以上・2m以内に1本(建基令42条)。土台が基礎から浮かないようにする。
ホールダウン専用:M16以上。引き抜き力の大きい柱脚に対応する専用サイズ。
Q1. 木造軸組工法で柱の引き抜き力に抵抗する金物の名称を答えよ。
A. ホールダウン金物(引き抜き金物)。柱に打ち込んだボルトを基礎アンカーボルトと連結して引き抜き力に抵抗する。
Q2. 梁と桁の仕口(接合部)の引き抜き力に抵抗する木造金物はどれか。
A. 羽子板ボルト。板状のプレートとボルト穴を組み合わせた形状で、梁の引き抜き方向の力に抵抗する。
Q3. 建築基準法施行令42条に規定される土台固定用アンカーボルトの最小径と最大間隔はいくらか。
A. 径12mm(M12)以上、間隔2m以内に1本。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
木造の金物チェックで一番よくあるのは「種別の取り違え」です。N値計算の結果、ある柱にはHD20(引き抜き耐力20kN対応)が指定されているのに、同じ場所にHD10が取り付けられているというケースが現場で起きます。
金物の型番はほぼ同じ見た目でも耐力が違うため、製品の型番ラベルと設計図を照合する確認が欠かせません。また、ビス・ボルトの本数が指定より少ない場合も要注意です。