ゼロから学ぶ建築施工管理

  1. HOME
  2. RC・鉄骨の施工管理
  3. > 木造の防腐・防蟻処理とは?

木造の防腐・防蟻処理とは?地面から1m以内・切断部再塗布の根拠と確認ポイント

けんせつる

けんせつる

「木造の防腐・防蟻処理って、どこに必要なの?現場切断したら再塗布が必要って本当?」

この記事の要点

木造建物の腐朽とシロアリ被害を防ぐため、湿気・土壌に近い部位には防腐・防蟻処理が必要です。施工管理で押さえるポイントは次の3点です。

  • 処理が必要な部位:土台・大引き・床下の木材など、地面から高さ1m以内の部分(フラット35仕様書等による)。
  • 現場切断部への再塗布:工場処理済みの材を現場で切断すると処理層が切れるため、切断面に薬剤を再塗布しなければならない。
  • クロルピリホス使用禁止:シックハウス対策として、クロルピリホスを含む防蟻剤は建材・施工への使用が禁止されている(建基法28条の2)。

防腐・防蟻処理が必要な理由

木材は水分を含んだ状態が続くと、腐朽菌(木材腐朽菌)によって腐食が進みます。また、シロアリは地中から侵入して木材を食害し、建物の構造耐力を大きく低下させます。

特に土台や床下の木材は地面からの湿気と近く、腐朽・虫害が起きやすい部位です。防腐・防蟻処理は、こうした劣化を防ぐために施す化学的・物理的な措置です。

建築基準法施行令第49条は「外壁内部・床組に用いる木材は、腐くを生じにくい措置を講じなければならない」と定めています。具体的な処理方法・範囲は公共建築工事標準仕様書や住宅金融支援機構のフラット35仕様書に基準が示されています。

設計段階から確認しておきたいポイントですね。

処理が必要な部位はどこか

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)や住宅金融支援機構の仕様書では、地面から高さ1m以内に位置する木材(外壁内・床下)に防腐・防蟻処理を行うことを求めています。

具体的には以下の部位が対象です。

ザックリ言えば、「床下の木材と、外壁の地際から1m以内の木材」が処理対象の目安です。

ヒノキ・ヒバ・ベイヒバなど、もともと腐朽しにくい材種(耐久性大)を使用する場合は、防腐処理の省略が認められるケースがあります。ただし防蟻処理は別途要否の確認が必要でしょう。

工場処理と現場切断後の再塗布

防腐・防蟻処理の方法には、大きく分けて工場での加圧注入処理と現場での表面塗布処理があります。

処理方法内容特徴
加圧注入処理(工場処理)木材に薬剤を高圧で浸透させる。JAS規格の防腐処理製材。薬剤浸透深さが深い。耐久性が高い。
表面処理(現場塗布)刷毛・スプレーで表面に薬剤を塗布する。現場での補修・切断面への再塗布に使う。浸透深さは浅い。

問題になるのは現場切断後の対応です。工場で加圧注入処理された材でも、現場で切断・穿孔(ビス孔・ボルト孔)を行うと、処理層が切れて未処理の木材断面が露出します。

この部分に薬剤を再塗布しないと、腐朽・害虫侵入の弱点になります。

施工管理の確認ポイントは次のとおりです。

クロルピリホス使用禁止の根拠

クロルピリホスは有機リン系の殺虫剤(防蟻剤)で、かつて木造の土台・柱等の防蟻処理に広く使われていました。しかし、室内に揮発して人体(特に小児の神経発達)に影響するとされ、シックハウス問題の主要因のひとつになりました。

建築基準法第28条の2および国土交通大臣告示(平成15年告示第274号)により、クロルピリホスを含む建材の使用および施工への使用が禁止されています。使用禁止の対象は「内装仕上げや構造材への塗布・注入」です。

現在は、クロルピリホスの代わりにピレスロイド系薬剤など安全性の高い薬剤が使われています。施工管理では、防腐・防蟻剤の安全データシート(SDS)を確認して禁止物質が含まれていないかを確認します。

使用薬剤の確認記録は保管しておくのが望ましいですね。

管理人からのコメント

防腐・防蟻処理で見落としやすいのは「束(つか)や床断熱材を設置した後の床下木材の確認」です。断熱材や床組の施工が進んでしまうと、後から床下の処理状況を確認しにくくなります。

土台・大引き・根太の防腐・防蟻処理が完了したタイミングで写真記録を残し、床下地(断熱材・合板)施工前に確認を終わらせる工程管理が重要です。また、土台等の接合部分(刻み加工部)も切断面として再塗布の対象になるため、加工後の段階で確認しておきましょう。

混同しやすい用語の整理

防腐処理 vs 防蟻処理

防腐処理:木材腐朽菌による腐食を防ぐための処理。防カビ・防腐剤を使用。


防蟻処理:シロアリ等の害虫による食害を防ぐための処理。殺虫・忌避効果のある薬剤を使用。


実際には防腐防蟻剤として両方の成分を含む薬剤が使われることが多い。

加圧注入処理 vs 表面塗布処理

加圧注入処理:工場で高圧をかけて薬剤を木材内部に浸透させる。耐久性が高い。


表面塗布処理:現場で刷毛・スプレーにより表面に塗布する。浸透深さは浅いが、現場での切断部補修に使える。

一問一答

Q1. 木造建物の防腐・防蟻処理が求められる部位(高さ)の目安はどこか。

A. 地面から高さ1m以内の外壁内・床下の木材。土台・大引き・地際の柱脚部等が主な対象(フラット35仕様書等による)。

Q2. 工場で加圧注入処理された防腐処理材を現場で切断した場合、どのような対応が必要か。

A. 切断面(未処理の木材断面が露出)に防腐・防蟻剤を再塗布する。穿孔部分も同様に処理する。

Q3. 防蟻処理で使用が禁止されている薬剤の一例を挙げよ。また、その根拠となる法令は?

A. クロルピリホス。建築基準法第28条の2および国土交通大臣告示(平成15年告示第274号)により使用が禁止されている。

まとめ

RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨にまとめています。

参考資料

  • 建築基準法施行令 第49条(外壁内・床下の木材等の防腐措置)
  • 建築基準法第28条の2・国土交通大臣告示 平成15年第274号(クロルピリホス使用禁止)
  • 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省大臣官房官庁営繕部
  • 木造住宅工事仕様書(フラット35仕様書)住宅金融支援機構
  • 木造住宅の耐久性に関する技術的基準(住宅金融支援機構)
けんせつる

このサイトの管理人

けんせつる

建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

Topへ >>