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燃えしろ設計とは?短期許容応力度で確認する木造の防火設計

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けんせつる

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燃えしろ設計って、木をわざと燃やす前提なの?過去問でいう「短期許容応力度で確認」って何を見てるの?

この記事の要点

燃えしろ設計とは、火災で燃える厚み(燃えしろ)を断面にあらかじめ見込み、燃えしろを除いた残存断面で構造がもつかを確かめる木造の防火設計です。

確認は長期ではなく短期許容応力度で行います。火災は短時間の荷重として扱うためで、ここが試験のいちばんの引っかけです。

燃えしろ設計は準耐火構造で使え、木を集成材などで現し(あらわし)のまま見せられるのが利点です。

燃えしろを除いた残存断面で構造を支える燃えしろ設計の断面の模式図
燃えしろと残存断面のイメージをつかむための模式図。形・比率は実物どおりではない。正確なのは「外周が燃えしろとして炭化し、内側に残る残存断面で構造を支える」という関係です。

木は燃える材料ですが、太い断面は火に当たっても表面から炭になり、その炭化層が内側への燃え進みを遅らせます。

この性質を利用して、燃える分を最初から断面に上乗せしておくのが燃えしろ設計です。

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燃えしろ設計とは?残存断面で耐えるかを確かめる

燃えしろ設計とは、火災時に燃えてなくなると想定する厚み(燃えしろ)を構造に必要な断面へあらかじめ加え、燃えしろを除いた残存断面で建物がもつことを確かめる設計方法です。

木材は火に当たると表面が炭になり、炭化層が内部への酸素や熱を遮るため、内側は急には燃え進みません。燃える速さはおおむね毎分1mm程度とされ、鋼材のように急に強度を失わないのが木の特徴です。

つまり「表面は燃えても、内側に残る断面で支えればよい」という考え方が燃えしろ設計ということです。

確認はなぜ短期許容応力度なのか

燃えしろ設計でいちばん問われるのが、残存断面の安全をどの許容応力度で確かめるかです。

答えは短期許容応力度です。残存断面に長期の荷重(建物の重さなど)がかかったときの応力度が、短期許容応力度を超えなければよい、という形で確かめます。

火災は短い時間の出来事なので、長期ではなく短期許容応力度で確認します。ここを「長期で確認する」と取り違えるのが、試験での代表的な誤答です。

火災時という限られた時間の荷重なので、平常時より大きな応力まで許容する短期側で見る、と押さえると分かりやすいです。

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どこに使えるか(準耐火構造・現し)

燃えしろ設計は、火災が終わるまで耐え続ける必要のある耐火構造には使えず、原則として準耐火構造で用います。

大臣認定の被覆構造のように木を石膏ボードで覆う方法と違い、燃えしろ設計なら木の柱・梁を現し(あらわし)のまま見せられるのが利点です。木をデザインとして見せたい大規模木造で使われます。

材料はJAS(日本農林規格)に適合した集成材などを用います。

施工管理で何を確認するか

燃えしろ設計は、断面に燃えしろ分の余裕を持たせて初めて成立します。現場では、その断面と材料が設計どおりかを確認します。

現し材は断面寸法と接合部の納まりを設計図と照合する

燃えしろ設計の現し材は、断面そのものが防火性能の根拠です。断面寸法が設計図どおりか、欠き込みや孔で有効断面を削っていないかを確認します。

金物やボルトの接合部は木より早く熱が伝わり、燃えしろでは守られません。接合部の防火処理が設計指定どおりかも合わせて確認します。

混同しやすい用語の整理

燃えしろ設計 と 被覆(メンブレン)による方法

燃えしろ設計は木材自体の断面に燃える分を見込み、木を現しのまま使う方法です。被覆による方法は木を石膏ボードなどで覆って火から守る方法で、木は見えなくなります。

木を見せたいなら燃えしろ設計、見せなくてよければ被覆という使い分けです。

短期許容応力度 と 長期許容応力度

短期許容応力度は地震・風・火災など短時間の荷重に対する許容値で、長期より大きく設定されます。長期許容応力度は常時かかる荷重に対する許容値です。

燃えしろ設計の確認は火災時=短時間なので、短期許容応力度を使います。

過去問でどう問われたか

燃えしろ設計は、平成30年から令和7年にかけて1級の木質構造でくり返し問われています。引っかけの中心は1パターンで、確認に使う許容応力度の取り違えです。

年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和7年 No.9 燃えしろ設計の安全確認を長期許容応力度で行うとした → 短期許容応力度 ←①許容応力度
1級 令和4年 No.5 燃えしろ設計は残存断面が短期許容応力度を超えないことを検証(正しい記述として出題)←①許容応力度
1級 令和2年 No.4 燃えしろを除いた断面が長期応力に対し短期許容応力度で耐えるか検証(木質構造の基本)←①許容応力度
1級 平成30年 No.4 燃えしろ設計は燃えしろを除いた断面が長期応力に短期許容応力度で耐えるか検証(木質構造の基本)←①許容応力度

つまり燃えしろ設計の安全確認は短期許容応力度で行います。「長期許容応力度で確認」とするのは誤りです。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

燃えしろ設計とは、何を見込んで断面を決める設計か。

答えを見る

火災で燃える厚み(燃えしろ)を構造に必要な断面へあらかじめ加え、燃えしろを除いた残存断面で建物がもつことを確かめる設計。表面が燃えても残った断面で支える考え方。

Q.

燃えしろ設計の安全確認は、長期と短期のどちらの許容応力度で行うか。

答えを見る

短期許容応力度。火災は短時間の荷重として扱うため、残存断面に生じる応力度が短期許容応力度を超えないことを確かめる。「長期で確認」は誤り。

Q.

燃えしろ設計は、耐火構造と準耐火構造のどちらに使えるか。

答えを見る

準耐火構造に使う。火災が終わるまで耐え続ける必要のある耐火構造には使えない。木を現し(あらわし)のまま見せられるのが利点。

まとめ

集成材(大断面集成材)で、燃えしろ設計に使う木質材料を確認する

枠組壁工法(ツーバイフォー)で、木質構造のもう一つの論点を整理する

RC・鉄骨・木造の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。

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参考法令・規格

  • 建築基準法施行令・国土交通省告示(準耐火構造・燃えしろ設計の基準)
  • 木質構造設計規準・同解説-日本建築学会
  • JAS(集成材の日本農林規格)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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