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固定式タワークレーンの設置届・旋回範囲・使用前点検とは?施工管理者が現場で確認すること

けんせつる

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固定式タワークレーンの設置届・旋回範囲・使用前点検って何?どんな場面で使うの?

この記事の要点

固定式タワークレーンとは、マストを地面や建物に固定して使用する大型クレーンのことです。高層建築や狭い敷地での揚重作業に使われます。

吊り上げ荷重3t以上の固定式タワークレーンを設置する場合は、クレーン則(クレーン等安全規則)に基づいて設置届を所轄の労働基準監督署に提出しなければならありません。

施工管理者は設置前の書類確認から使用中の旋回範囲管理・定期自主検査まで、一貫して確認責任を持ちます。

タワークレーンは高層工事の要になる設備です。設置の仕方を間違えたり・旋回範囲の確認が甘かったりすると、重大な労働災害や近隣への損害事故につながります。

施工管理者が「クレーンの管理は専門業者に任せているから大丈夫」という意識でいると危ありません。作業計画・旋回範囲確認・記録の管理は元請けの施工管理者の責任でもあります。

固定式タワークレーンはどんな現場で使われるか

固定式タワークレーンが選ばれる現場には、いくつかの共通した条件があります。

条件理由
高層建築(概ね10階以上)移動式クレーンでは揚程が届かない。タワークレーンは建物の高さに合わせてマストを継ぎ足すことができる。
狭小敷地・市街地移動式クレーン(オールテレーン等)は設置スペースが取れない場合がある。固定式は敷地内に据え付けるため機動性より安定性が優先される。
長期工事移動式クレーンは日単位のリース。固定式は設置期間が長くなるほどコスト面で有利になる。

ザックリ言えば、「高くて・狭くて・長い工事には固定式タワークレーン」ということです。

クライミング方式とは何か。マスト式とフロア式の違いは?

タワークレーンは建物が上に伸びるにつれて自分も高くなる必要があります。その方式がクライミングです。

方式仕組み主な用途
マストクライミング(外部クライミング)マスト継ぎ足し装置を使い、クレーン本体を押し上げながらマストを延長する。超高層・狭敷地
フロアクライミング(内部クライミング)建物のコアや躯体にクレーン本体を預けながら、床をくぐって上の階へ移動する。高層RC・コア部に定着できる建物

施工管理者はクライミング計画が揚重計画に盛り込まれているか確認します。クライミング作業中は荷の揚重が原則停止となるため、工程への影響も事前に確認します。

設置前に何を確認しなければならないか

固定式タワークレーンを設置する前に確認すべきことは大きく4つあります。

① 設置届の提出(クレーン則第11条)

吊り上げ荷重3t以上のクレーンを設置しようとする事業者は、設置工事開始の30日前までに設置届を所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。

設置届には「クレーン明細書・クレーン組立図・基礎の概要を示す図面・強度計算書」などが添付書類として必要になります。

施工管理者は提出期限と添付書類の揃い具合を事前にスケジュール管理します。期限を過ぎると設置工事を始められなくなってしまいます。

クレーン設置届を含む届出が必要な工事の種類一覧(設置工事開始30日前の要件)は、沖縄労働局「建設工事計画届のポイント」(下図)に示されています。

建設工事計画届のポイント:届出が必要な工事の種類一覧(クレーン設置届・足場等)(沖縄労働局)
出所:沖縄労働局「建設工事計画届のポイント」p.1 届出が必要な工事の種類一覧(クレーン設置届・設置工事開始30日前の要件)

② 落成検査の申請(クレーン則第6条)

設置届を提出して組み立てが完了したら、使用前に落成検査を受けなければならありません。落成検査は労働基準監督署(または登録検査機関)が行い、検査に合格しないとクレーンを使用できません。

③ 基礎・架台の確認

固定式タワークレーンは地盤または建物躯体に固定するため、その基礎や架台が設計通りに施工されているか確認します。設計者が作成した基礎設計書・強度計算書と現場の施工状況が一致しているか確認します。

④ 揚重計画書との整合

タワークレーンの定格荷重・揚程・旋回半径が、工事の各フェーズで揚重が必要な部材の重量・高さ・搬入位置に対応しているか確認します。計画時点での不整合は早期に設備設計者・専門業者と調整します。

旋回範囲はどう確認するのか

タワークレーンは360度旋回することができますが、実際の現場では旋回を制限しなければならないケースが多いです。

要は、「旋回できる範囲=安全な範囲」ではありません。旋回範囲の確認は平面図に書き込んで視覚化し、作業員全員に周知するということです。

使用前点検・定期自主検査で何を確認するのか

クレーン則では使用開始前と定期的な自主検査が義務付けられています。

点検の種類頻度主な確認項目
作業開始前の点検毎作業日巻過防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラの機能確認
定期自主検査(月次)1ヶ月以内ごとワイヤーロープの損傷・フックの摩耗・安全装置の作動確認
定期自主検査(年次)1年以内ごと構造部材・電気系統・ブレーキ・安全装置の総合確認

施工管理者は点検結果が記録されているかを確認し、不具合があれば是正記録と合わせて保存します。記録は3年間保存義務があります。

オペレーターの資格は何が必要か

吊り上げ荷重5t以上のクレーンを操作する場合、クレーン・デリック運転士免許が必要です。

吊り上げ荷重5t未満の場合は「クレーンの運転の業務に係る特別教育(クレーン特別教育)」の修了で操作できます。

施工管理者は作業開始前に運転者の資格証のコピーを確認し、作業主任者玉掛け技能講習修了者の配置状況も合わせて確認します。

解体時に何を確認するのか

タワークレーンの解体時も設置時と同様にリスクが高い作業です。

管理人からのコメント

タワークレーンの旋回半径内の作業者への周知と立入禁止措置は毎日の基本確認事項です。定期自主検査(月次・年次)の記録と整備内容は法令に基づき保管してください。

強風時の旋回固定・解除タイミングも作業計画書に明記しておきます。

クレーン等の定期自主検査対象機械と検査周期(毎月・毎年)は、千葉労働局「定期自主検査一覧表」(下図)に示されています。

定期自主検査対象機械・検査周期一覧表(クレーン・ゴンドラ等)(千葉労働局)
出所:千葉労働局「定期自主検査一覧表」p.1 クレーン等の定期自主検査対象機械と検査周期(毎月・毎年)

混同しやすい用語の整理

固定式タワークレーン vs 移動式クレーン

固定式タワークレーンは地面や建物に固定して使用するクレーンです。移動はできませんが高揚程・長旋回半径が確保でき、高層建築に向いています。

移動式クレーン(オールテレーンクレーン・ラフタークレーン等)は自走または牽引で移動できるクレーンで、中低層建築や広い敷地での作業に向いています。設置届の手続き・必要資格・クライミング計画の有無など、管理上の扱いが大きく異なります。

設置届 vs 使用検査申請

設置届は設置工事開始30日前に提出する書類で、行政への事前通知にあたります。落成検査(使用検査)は設置完了後・使用開始前に受ける検査のことで、検査合格が使用の前提条件になります。

どちらもクレーン則に基づく義務で、どちらかが抜けていると法令違反になります。

一問一答

Q.

吊り上げ荷重3t以上の固定式タワークレーンを設置する際、設置届はいつまでに提出しなければならないか?

設置工事開始の30日前までに、所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない(クレーン則第11条)。

(出題例:1級令和元年午後 問52)

Q.

吊り上げ荷重5t以上のタワークレーンを操作するのに必要な資格は?

クレーン・デリック運転士免許が必要。吊り上げ荷重5t未満の場合はクレーン特別教育の修了で操作できる。

Q.

タワークレーンの旋回範囲が敷地外に出る場合、施工管理者はどのような対応をとるべきか?

旋回制限装置を取り付けるか、平面図上で使用範囲を明示して作業者に周知する。電線が近い場合は電力会社と協議が必要。

Q.

タワークレーンの定期自主検査(月次)の主な確認項目は?

ワイヤーロープの損傷・フックの摩耗・安全装置の作動確認など。記録は3年間保存する義務がある。

まとめ

鉄骨の建て方方式と揚重計画を確認する

仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。

参考資料

・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)

・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)

・クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)

・厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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けんせつる

建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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