けんせつる
鉄骨の建て方方式って何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
鉄骨の建て方方式には積上げ方式と建て逃げ方式があります。どちらも鉄骨部材を揚重機(クレーン)で吊り上げて組み立てる作業ですが、組み立て順序が異なります。
施工管理では揚重計画(クレーンの種類・配置・能力)・建て方の順序・各フロア完了後の精度確認がポイントになります。
鉄骨の建て方は工程上の重要なマイルストーンです。
揚重計画が不十分だとクレーンの能力不足・旋回範囲外の部材が吊れないといった問題が起きます。事前の計画と現場確認は丁寧に行います。
| 方式 | 組み立て手順 | 特徴 |
|---|---|---|
| 積上げ方式 | 一つのブロック(柱・梁)を完成させてから上のフロアに移る。縦方向に積み上げていく。 | 一フロアずつ精度確認・ボルト本締めを完了してから次へ進む。精度管理がしやすいです。 |
| 建て逃げ方式 | 一方向(横方向)に進みながら建て方を行い、後から精度確認・ボルト締めを行う。 | 作業の連続性が高く工期短縮しやすい。精度確認は後から一括で行います。 |
ザックリ言えば、「積上げはフロアごとに確実に完成させる・建て逃げは進みながら後で仕上げる」という違いです。建物の規模・形状・敷地条件によってどちらを採用するのか決まります。
揚重計画とは、鉄骨部材をどのクレーンで・どのルートで・どの順番で吊り上げるかを計画することです。クレーンの能力不足や旋回範囲の問題が発覚すると工程が大幅に遅れます。
| 種類 | 特徴 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| タワークレーン(固定式) | 高揚程・大揚重量に対応。建物内に設置するため敷地内占有スペースが少ない。 | 高層ビル・敷地が狭い現場 |
| 移動式クレーン(ラフタークレーン等) | 移動できるため柔軟に配置できる。高さ・重量の制限が固定式より厳しい場合がある。 | 低中層建物・敷地に余裕がある現場 |
混同しやすい用語の整理
積上げ方式はフロアごとに完成させながら上に積む。精度管理が都度行えるため確実だが工期がかかります。
建て逃げ方式は横方向に進みながら建て方を連続して行う。連続性が高く工期短縮できるが、後から精度を一括修正するため管理が難しい局面もあります。
仮ボルト(整合ボルト)は建て方中に部材を仮固定するためのボルトです。精度確認後に高力ボルトに替えて本締めします。
仮ボルトの段階では本締めと同じ強度はないため、精度確認・本締め完了まで過大な荷重を加えないよう注意します。
鉄骨建て方で一フロアずつ完成させながら上に積み上げていく方式は?
積上げ方式。各フロアで精度確認・ボルト本締めを完了してから上階に進む。
建て逃げ方式(横方向に進みながら後から精度確認)と区別する。
高力ボルト接合の継手に使う仮ボルトの本数の目安は?
各接合部のボルト孔数の1/3以上かつ2本以上。精度確認・本締め前の仮固定に必要な最低限の本数。
柱溶接継手のエレクションピースに使用する仮ボルトは何本締めるか?
全数を高力ボルトで締め付ける。高力ボルト接合継手の仮ボルト(1/3以上)とは異なる。
エレクションピースは上下柱のずれを防ぐ重要な部位のため全数締めが必要。
(出題例:1級令和元年 問31・2級平成29年後期 問48)
ターンバックル付き筋交いを建て入れ直しに使用することは適当か?
不適当。本設のターンバックル付き筋交いを建て入れ直しに使用してはいけない。
倒壊防止用ワイヤーロープや専用の建て入れ直し器具を使用する。
柱の建て入れ精度(垂直度)の一般的な許容値は?
柱長さの1/1000以内の偏差。トランシット・下げ振りで測定し、ターンバックル付きワイヤーで調整する。
> 鉄骨の建て方施工管理ポイントを確認する
> 高力ボルト接合の施工管理ポイントを確認する
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
積上げ方式は重機の台数と揚重能力で工期が大きく変わります。
建て逃げ方式は広い現場では有利ですが、先行した部分の精度確認を早めに終わらせることが管理上のポイントです。