けんせつる
固定式クレーンと移動式クレーンって何が違うの?資格も違うの?
この記事の要点
固定式クレーンは地面や建物に固定して使うクレーンです。移動式クレーンは不特定の場所に移動して使うクレーンです。
資格は別の国家免許が必要です。固定式(5t以上)はクレーン・デリック運転士免許、移動式(5t以上)は移動式クレーン運転士免許で、共通しては使えません。
届出も異なります。固定式(3t以上)は設置工事開始30日前までに設置届が必要ですが、移動式クレーンには設置届の義務はありません。
建築現場でクレーンを使うとき、「タワークレーン(固定式)にするのか、ラフタークレーン(移動式)にするのか」という選択が発生します。
この2種類は見た目だけでなく、資格・届出・適した現場がまったく異なります。施工管理者は計画段階で区分を確認し、資格証と届出の状況を把握します。
| 項目 | 固定式クレーン | 移動式クレーン |
|---|---|---|
| 定義 | 地面・建物に固定して使用するクレーン | 不特定の場所に移動して使用するクレーン |
| 代表的な機種 | タワークレーン、天井クレーン | ラフタークレーン、オールテレーンクレーン、クローラークレーン |
| 移動性 | できない(据え付け型) | 自走または牽引で移動できる |
| 適した現場 | 高層建築・狭小敷地・長期工事 | 中低層建築・広敷地・短期間・解体工事 |
| 法規上の区分(3t以上) | クレーン(クレーン等安全規則) | 移動式クレーン(クレーン等安全規則) |
ザックリ言えば、「現場に固定して長く使うのが固定式、現場を変えながら使うのが移動式」といいます。
固定式クレーンと移動式クレーンは、資格が別の国家免許になっています。「どちらかの免許を持っていれば両方操作できる」ということはありません。
| 吊り上げ荷重 | 固定式クレーン | 移動式クレーン |
|---|---|---|
| 5t以上 | クレーン・デリック運転士免許 | 移動式クレーン運転士免許 |
| 1t以上5t未満 | クレーン特別教育 | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
| 1t未満 | クレーン特別教育 | 特別教育 |
施工管理者は作業開始前に、クレーンの種類と吊り上げ荷重に対応した資格証のコピーを確認します。また玉掛けの有資格者確認も同時に行います。
移動式クレーン等の機体重量別・免許・技能講習・特別教育の資格区分は、厚生労働省「車両系建設機械等の資格」(下図)に示されています。
固定式クレーン(吊り上げ荷重3t以上)には設置届が必要ですが、移動式クレーンには設置届の義務がありません。
| 手続き | 固定式クレーン(3t以上) | 移動式クレーン(3t以上) |
|---|---|---|
| 設置前の届出 | 設置届(設置工事開始30日前まで、クレーン則第11条) | 不要(製造時に製造検査・使用検査済み) |
| 使用前の検査 | 落成検査(設置完了後・使用前) | 製造検査・使用検査(購入・使用時) |
| 定期自主検査 | 月次(1ヶ月以内ごと)・年次(1年以内ごと) | 月次(1ヶ月以内ごと)・年次(1年以内ごと) |
| 性能検査 | 2年以内ごと(登録性能検査機関) | 2年以内ごと(登録性能検査機関) |
固定式タワークレーンの設置届は期限(30日前)を過ぎると設置工事を始められません。設置前のスケジュール管理が重要です。
| 選択条件 | 固定式タワークレーン | 移動式クレーン |
|---|---|---|
| 建物の高さ | 高層(概ね10階以上) | 中低層(揚程が限られる) |
| 敷地の広さ | 狭小敷地でも設置可 | アウトリガー展張スペースが必要 |
| 工期 | 長期工事でコスト面が有利 | 短期・スポット使用に向く |
| 現場の変化 | 一度設置したら移動できない | 作業箇所ごとに移動できる |
例えば、高層マンションの新築工事にはタワークレーンを使い、外壁改修や解体工事にはラフタークレーンを使うというのが典型的な使い分けです。
移動式クレーンはアウトリガー(支脚)を展張して安定を確保するため、地盤の強度確認と展張スペースの確保が施工管理上の重要な確認ポイントです。
移動式クレーン等の吊り上げ荷重別詳細資格区分は、厚生労働省「車両系建設機械等の資格」(下図)に示されています。
混同しやすい用語の整理
クレーン・デリック運転士免許は固定式クレーン(5t以上)を操作するための国家免許です。移動式クレーン運転士免許は移動式クレーン(5t以上)を操作するための国家免許です。
どちらか一方の免許で両方のクレーンを操作することはできません。
設置届は設置工事開始30日前に行政(労働基準監督署)へ提出する届出です。落成検査は設置完了後・使用開始前に受ける検査のことです。
固定式クレーン特有の手続きで、移動式クレーンには設置届・落成検査の義務はありません。
どちらも移動式クレーンです。ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)は1軸操作で走行・クレーン作業ができ、狭い現場向き。
オールテレーンクレーンは大型で吊り上げ能力が高く、広い現場・大型部材の揚重に向いています。
固定式クレーン(5t以上)と移動式クレーン(5t以上)では、それぞれどんな資格が必要か?
固定式クレーン(5t以上)はクレーン・デリック運転士免許、移動式クレーン(5t以上)は移動式クレーン運転士免許が必要。それぞれ別の国家免許で共用できない。
吊り上げ荷重3t以上の固定式クレーンを設置する場合の届出の期限は?
設置工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署長に設置届を提出しなければならない(クレーン則第11条)。
移動式クレーン(3t以上)に設置届は必要か?
不要。移動式クレーンは製造時に製造検査・使用検査を受けており、固定式クレーンのような設置届・落成検査の義務はない。
> 固定式タワークレーンの設置届・旋回範囲・使用前点検を確認する
> 玉掛けとは?施工管理での確認ポイントを確認する
仮設・足場の施工管理は仮設・足場にまとめています。
参考資料
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)
・クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)
・厚生労働省 職場のあんぜんサイト
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
タワークレーンは設置届と作業計画書の作成が法定要件です。移動式クレーンは機体の定格荷重を超えない使用計画書を事前に確認してください。
玉掛け者と合図者の有資格確認も現場管理の重要チェックです。