けんせつる
足場とクレーンで提出期限が違うって本当?
この記事の要点
建設工事計画届は、一定規模以上の足場・型枠支保工などを設置する前に、所轄の労働基準監督署長へ提出が必要な届出です(労働安全衛生法第88条第3項)。
試験で最も問われるのは提出期限の区別です。足場・型枠支保工は30日前、クレーン・エレベーターも30日前(機械等設置届)で、届出の種類が異なります。高さ31m超の建築物解体・掘削10m以上などは14日前です。
大型の足場、支柱が高い型枠支保工、現場に据え付けるクレーン。これらはすべて、工事開始前に届出が必要です。
ただし「全部同じ届出で同じ期限」ではありません。届出の種類と提出期限が工事の種類によって変わります。
労働安全衛生法第88条は、一定の設備や工事について、着工前に行政へ計画を届け出ることを定めています。
目的は事前チェックです。倒壊・落下などの重大事故につながりやすい設備について、行政が計画段階で不備を発見し、是正を促せるようにする仕組みです。
提出義務を負うのは事業者(元請業者)です。下請業者が施工する場合も、届出は元請が行います。
足場の種類によって、届出が必要になる条件が異なります。
| 足場の種類 | 届出が必要な条件 |
|---|---|
| 吊り足場・張出し足場 | 規模に関わらず全て届出対象 |
| その他の足場(単管・枠組み等) | 高さ10m以上かつ組立から解体まで60日以上の両条件を満たす場合 |
吊り足場・張出し足場は、小さくても全件対象です。構造上のリスクが高いためです。
それ以外の一般的な外部足場は「高さ10m以上、かつ60日以上」という2条件をともに満たす場合のみ届出が必要になります。
例えば、4階建て建物の外部足場で高さ12m、工期4か月の場合は両条件を満たすため届出が必要です。一方、高さ8mの足場は高さ条件を満たさないため、工期が長くても届出不要です。
型枠支保工は、支柱の高さで届出の要否が決まります。
| 条件 | 基準 |
|---|---|
| 支柱の高さ | 3.5m以上 |
支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工を組み立てる場合、工事開始の30日前までに届出が必要です。
ザックリ言えば、「1階分(約3~3.5m)を超える支柱高さなら届出対象」と覚えておくといいでしょう。
型枠支保工の倒壊はコンクリート打設中に起きると人身事故に直結します。事前に構造計算と計画を確認させる制度の趣旨がここにあります。
ここが試験で最も混乱しやすいポイントです。届出の種類と提出期限を整理します。
| 届出の種類 | 主な対象 | 提出期限 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 建設工事計画届(仮設設備) | 足場・型枠支保工・架設通路など | 30日前 | 所轄の労働基準監督署長 |
| 機械等設置届 | クレーン・エレベーター・建設用リフト等 | 30日前 | 所轄の労働基準監督署長 |
| 建設工事計画届(特定工事) | 高さ31m超の建築物解体・掘削深さ10m以上等 | 14日前 | 所轄の労働基準監督署長 |
足場・型枠支保工は30日前、クレーン・エレベーターも30日前です。高さ31m超の建築物解体・掘削10m以上などは14日前です。
「足場は14日前だ」という誤り選択肢が出やすいので注意が必要です。
届出の種類・対象工事の規模基準・届出期限の一覧は、沖縄労働局の資料(下図)に整理されています。
クレーンやエレベーターは「機械そのもの」を設置する行為で、足場や型枠支保工のような「施工上の仮設設備」とは性格が異なります。
そのため、労働安全衛生法では「機械等設置届」として別に分類し、30日という余裕ある確認期間を設けています。
| 機械の種類 | 届出が必要な規模 |
|---|---|
| クレーン(天井クレーン含む) | つり上げ荷重3t以上 |
| エレベーター | 積載荷重1t以上 |
| 建設用リフト | 積載荷重0.25t以上 |
クレーンと建設用リフトで対象規模の基準が違います。ここは混乱しやすいところですね。
試験で数値を問われることがあるので、それぞれ押さえておきましょう。
届出漏れが起きやすい場面は2つあります。
1つ目は、足場の高さと工期を確認せずに要否を判断する場合です。
2つ目は、クレーン設置の工程管理を下請任せにして、提出期限を見落とす場合です。
施工計画書の作成段階で、以下をチェックする習慣をつけましょう。
混同しやすい用語の整理
建設工事計画届(仮設設備)は足場・型枠支保工など施工上の仮設設備が対象で30日前です。機械等設置届はクレーン・エレベーターなど機械設置が対象で30日前です。
どちらも提出先は所轄の労働基準監督署長で、期限は同じ30日前です。
同じ「建設工事計画届」でも対象工事によって期限が異なります。足場・型枠支保工は期限30日前です。
高さ31m超の建築物解体・掘削深さ10m以上などの特定工事は、提出先は労働基準監督署長・期限は14日前です。
届出が必要な工事の規模・範囲と添付書面の一覧は、同資料(下図)に示されています。
高さ10m以上・設置期間60日以上の足場を設置する場合、届出はいつまでに提出するのか?
工事開始(足場の組立開始)の30日前までに所轄の労働基準監督署長へ提出する。
(出題例:1級令和3年 午前 問43)
型枠支保工で建設工事計画届が必要になる支柱の高さは?
支柱の高さが3.5m以上の場合。工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署長へ届出が必要。
つり上げ荷重3t以上のクレーンを設置する場合、何という届出をいつまでに提出するのか?
機械等設置届を工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署長へ提出する(労働安全衛生法第88条第1項)。建設工事計画届ではない点に注意。
(出題例:1級令和元年 問52)
吊り足場の建設工事計画届で、届出が不要になる高さの条件はあるか?
ない。吊り足場・張出し足場は高さや使用期間に関係なく全て届出対象。
「高さ10m以上かつ60日以上」という2条件はその他の足場に適用されるもので、吊り足場には適用されない。
法規の施工管理ポイントは法規にまとめています。
参考資料
・労働安全衛生法 第88条(計画の届出等)
・労働安全衛生規則 第85条・第86条
・クレーン等安全規則
・厚生労働省「建設工事計画届のポイント」(沖縄労働局)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
施工管理のポイント
「大きい足場だから出す」と思い込んで、高さ条件を確認していない現場を見ることがあります。
高さ10m未満の足場は工期100日でも届出不要です。逆に吊り足場は高さ関係なく全件対象です。
まず足場の種類を確認することが先決です。