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揚重運搬機械とは?建設用リフト・工事用エレベーター・クレーンの規定を過去問で整理

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けんせつる

けんせつる

建設用リフトって、人も一緒に運べるんだっけ……?

ロングスパンのエレベーターって、傾きがどれくらいで止まるの?

この記事の要点

建設用リフトは「荷」だけを運ぶもので、人を乗せてはいけません。人も運べるのは工事用エレベーターです。この入れ替えが最頻出です。

ロングスパン工事用エレベーターは、搬器の傾きが1/10の勾配を超える前に動力を自動的に遮断します(1/8ではありません)。

建設機械全般は建設機械の種類、クレーンはクレーンの種類にまとめています。

揚重運搬機械とは、資材や人を持ち上げて運ぶ機械の総称で、クレーン・建設用リフト・工事用エレベーターなどを指します。試験(1級のNo.30〜33付近)でねらわれるのは、それぞれの目的の取り違え安全装置の数値です。まず最頻出の「建設用リフトと工事用エレベーターの違い」を図で押さえます。

建設用リフトと工事用エレベーターの違いを表す模式図。建設用リフトは荷のみを運搬するもので、人を乗せてはいけない(点検などの例外を除く)。工事用エレベーターは人および荷を運搬できる。ロングスパン工事用エレベーターは搬器の傾きが10分の1の勾配を超える前に動力を自動的に遮断する装置を設ける。
建設用リフトは荷専用(人は不可)、工事用エレベーターは人も荷も運べる。ロングスパンは傾き1/10で動力遮断。※関係をつかむための模式図。
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建設用リフトは「荷」だけ、人は乗せない

この分野いちばんの引っかけです。運ぶ対象が違います。

  • 建設用リフト:土木・建築工事で使う、荷のみを運搬するエレベーター。人を乗せてはいけません(修理・調整・点検で安全が確保できる場合を除く)。
  • 工事用エレベーター人および荷を運搬できるエレベーター。

ねらわれるのは、「建設用リフトは、人及び荷を運搬することを目的とするエレベーターである」という肢です。人も運べるのは工事用エレベーターで、建設用リフトは荷専用。ここを最も多く問われます。なお建設用リフトの停止階には、荷の積卸口に遮断設備を設けます。

ロングスパン工事用エレベーターの規定

数値と安全装置がねらわれます。

  • 傾きの遮断:搬器の傾きが1/10の勾配を超える前に、動力を自動的に遮断する装置を設けます。「1/8の勾配を超えた場合」とするのは誤りです。
  • 手すり:搬器の周囲には堅固な手すりを設け、中さん・幅木を取り付けます。
  • 警報装置:搬器の昇降を知らせる警報装置を備えます。ただし、安全上支障がない場合は備えないことができます

工事用エレベーター・クレーンの数値

  • 次第ぎき式非常止め:工事用エレベーターは、定格速度が0.75m/s(毎分45m)を超える場合、次第ぎき式の非常止め装置を設けます(急停止の衝撃を避けるため)。
  • 定格荷重:ジブを有しないクレーンの定格荷重とは、つり上げ荷重から、フックなどのつり具の重量に相当する荷重を除いた荷重のことです。
  • 航空障害灯:クレーンのブーム(ジブ)先端やタワークレーンが地表から60m以上の高さとなる場合は、原則として航空障害灯を設置します。

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移動式クレーンの作業制限

  • 強風時の中止:移動式クレーンは、10分間の平均風速が10m/s以上の場合、作業を中止します。
  • 配電線との安全距離:旋回範囲内に高圧の配電線がある場合、感電を防ぐため、配電線から一定の安全距離を確保します。
  • 組立て・解体:建設用リフトや移動式クレーンの組立て・解体では、作業を指揮する者を選任し、その指揮のもとで作業を行います。

混同しやすい用語の整理

建設用リフト と 工事用エレベーター

運ぶ対象が違います。

建設用リフトは、荷のみを運ぶ。人は乗せられません。

工事用エレベーターは、人および荷を運べます。「建設用リフトで人を運ぶ」は誤りです。

ロングスパン工事用エレベーターの傾き

数値がねらわれます。

搬器の傾きが1/10の勾配を超える前に動力を遮断します。

「1/8の勾配を超えた場合」とするのは誤りです。

過去問でどう問われたか

揚重運搬機械は、1級の第一次検定でほぼ毎年(No.30〜33付近)出ます。引っかけは3つのパターンです。

  • 建設用リフトの用途……「人及び荷を運搬する」とする。正しくは荷のみ(人は工事用エレベーター)。最頻出。
  • ロングスパンの傾き……「1/8の勾配を超えた場合に遮断」とする。正しくは1/10。
  • 数値の確認……定格荷重(つり具を除く)、航空障害灯60m、次第ぎき0.75m/s、移動式クレーンの風速10m/sなど。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和4年 No.30 「建設用リフトは人及び荷を運搬する」とした → 荷のみ(人は工事用エレベーター) ←①用途
1級 令和2年 No.33 「建設用リフトは人及び荷を運搬する」とした → 荷のみ ←①用途
1級 令和元年 No.33 ロングスパンの傾き「1/8の勾配を超えた場合に遮断」とした → 1/10 ←②傾き
1級 平成30年 No.33 「建設用リフトは人及び荷を運搬する」とした → 荷のみ ←①用途
1級 平成29年 No.32 ロングスパンの傾き「1/8の勾配を超えた場合に遮断」とした → 1/10 ←②傾き

安定して問われるのは建設用リフトは荷専用(人は工事用エレベーター)、ロングスパンは傾き1/10で動力遮断、定格荷重はつり具を除く、航空障害灯60mです。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

建設用リフトは、人を乗せて運搬してよいか。

いけません。建設用リフトは荷のみを運搬するもので、人を乗せてはいけません(修理・調整・点検で安全が確保できる場合を除く)。人も運べるのは工事用エレベーターです。この入れ替えが最頻出です。

Q.

ロングスパン工事用エレベーターは、搬器の傾きがどれくらいで動力を遮断するか。

搬器の傾きが1/10の勾配を超える前に、動力を自動的に遮断する装置を設けます。「1/8の勾配を超えた場合」とするのは誤りです。

Q.

ジブを有しないクレーンの定格荷重とは何か。

つり上げ荷重から、フックなどのつり具の重量に相当する荷重を除いた荷重のことです。実際につることができる荷の重さを表します。

Q.

工事用エレベーターに次第ぎき式の非常止め装置を設けるのは、定格速度がいくつを超える場合か。

定格速度が0.75m/s(毎分45m)を超える場合です。速いと急停止の衝撃が大きいため、次第ぎき式(徐々に止める)を用います。

まとめ

  • 建設用リフトは荷のみ(人は乗せない)。人も運べるのは工事用エレベーター。最頻出の引っかけ。
  • ロングスパン工事用エレベーターは、傾きが1/10の勾配を超える前に動力を自動遮断。手すり・中さん・幅木を設ける。
  • 工事用エレベーターは定格速度0.75m/s超で次第ぎき式非常止め。
  • 定格荷重=つり上げ荷重-つり具の重量。ブーム等が60m以上で航空障害灯。
  • 移動式クレーンは平均風速10m/s以上で作業中止。配電線とは安全距離を確保。

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参考資料

  • クレーン等安全規則:建設用リフトは荷のみを運搬するもので人を乗せてはならない(修理・調整・点検で安全が確保される場合を除く)。ロングスパン工事用エレベーターは搬器の傾きが1/10の勾配を超えないうちに動力を自動的に遮断する装置を設ける。工事用エレベーターは定格速度0.75m/s(毎分45m)を超える場合に次第ぎき式の非常止め装置を設ける。ジブを有しないクレーンの定格荷重はつり上げ荷重からつり具の重量に相当する荷重を除いたもの
  • 移動式クレーンの安全:10分間の平均風速が10m/s以上のときは作業を中止する。旋回範囲内の充電電路とは安全距離を確保する
  • 航空法ほか:クレーンのブーム等が地表から60m以上となる場合、原則として航空障害灯を設置する
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(揚重運搬機械の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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