けんせつる
山積み工程表って何?山崩しとセットで出てくるけど、どう使うの?
この記事の要点
山積み工程表は、各作業に必要な労務量(人工)を工期の日程軸に積み上げて棒グラフにしたものです。どの日に何人必要かが一目で分かります。
山積みした結果、特定の日にだけ人員が集中する「山」が生じます。この山を崩して労務量を平準化する作業が山崩しです。
労務の効率配分と工程の安定化が目的です。
建築工事では、複数の作業が同時並行で進みます。
日によって必要な作業員が極端に多い日と少ない日が生じると、職人の手配や材料の調達がうまくいきません。山積み工程表は、そのムラを見える化して調整するための工程管理ツールです。
山積み工程表は、横軸に工期(日付・週)、縦軸に1日あたりの必要労務量(人工・台数等)をとった棒グラフです。
各作業の施工期間と必要な人員数を重ね合わせることで、日ごとの労務量の合計が棒として積み上がります。この積み上がった棒グラフ全体が「山」のように見えるため、山積み工程表と呼ばれます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 横軸 | 工期(日・週単位) |
| 縦軸 | 1日あたりの必要労務量(人工数・機械台数等) |
| 表示方法 | 各作業の必要人員を期間中に積み上げた棒グラフ |
| 用途 | 労務量の多い日・少ない日のムラを可視化する |
ザックリ言えば、「いつ、何人の職人が必要か」を日ごとに積み上げて見える化したグラフです。
山積み工程表を作ると、特定の時期に必要な労務量が集中する「山」が生じます。
この山のまま施工を進めると、次のような問題が起きます。
これを解消するために、作業の開始時期をずらしたり、並行可能な作業を前後に分散させたりして、山のピークを削り谷を埋める作業が山崩しです。
なんとなくイメージできましたか。要は、人の波をならして「毎日同じくらいの人数で安定して施工できる状態」にすることが目的です。
山積み・山崩しは、バーチャート工程表やネットワーク工程表と組み合わせて使います。
ここで登場する「フロート」とは、ネットワーク工程表において作業の余裕時間のことです。フロートがある作業は工期を延長しても全体工期に影響が出ないため、山崩しに活用できます。
山積み工程表は「単体で使う工程表」ではなく、他の工程表と組み合わせて使うツールです。ここは混乱しやすいところですね。
| 工程表の種類 | 主な用途 | 山崩しとの関係 |
|---|---|---|
| バーチャート | 各作業の期間を棒で表す。シンプルで読みやすい | 人員数の基礎データとして使う |
| ネットワーク工程表 | 作業間の依存関係・クリティカルパスを明示 | フロートを把握して山崩しの対象作業を選ぶ |
| 山積み工程表 | 日ごとの労務量を可視化 | 山崩しの前後で比較して効果を確認する |
| タクト工程表 | 繰り返し作業の流れを斜め線で表す | 繰り返し作業の人員平準化に組み合わせる |
要は、「バーチャートで人員を決めて、山積みでムラを見える化して、ネットワークのフロートを使って山崩しする」という流れです。
36協定の届出手続と時間外労働の上限規制の枠組みは、国土交通省「建設業における働き方改革」の資料(下図)に示されています。
混同しやすい用語の整理
バーチャートは各作業の期間(開始・終了)を棒で表したものです。山積み工程表は、バーチャートの情報をもとに「各日の労務量の合計」を積み上げた棒グラフです。
バーチャートが元データ、山積みが労務量の集計結果というイメージです。
山崩しは、フロートのある作業(クリティカルパス外の作業)の開始日をずらすことで行います。クリティカルパス上の作業は工期に直結するためずらせません。
「フロートがある作業だけを動かす」という点がポイントです。
山積み工程表で扱う人工は「1人が1日かけて行う作業量の単位」です。例えば「2人工」は「1人が2日」でも「2人が1日」でも同じ意味です。
山積みでは「各日に何人工必要か」を積み上げます。
建設業法・品確法・入契法の改正による適正工期設定と労務環境整備の義務化は、国土交通省「新・担い手3法について」(下図)に示されています。
山積み工程表の横軸・縦軸は何を表しているか?
横軸は工期(日・週)、縦軸は1日あたりの必要労務量(人工数・機械台数等)。各作業の人員を期間中に積み上げた棒グラフで日ごとの労務量のムラを可視化する。
山崩しとは何を目的とした作業か?
山積み工程表に生じたピーク(山)を崩して労務量を平準化すること。フロートがある作業の開始日をずらすことで、特定日への人員集中を解消し、労務・機材の効率的な配分を実現する。
山崩しでずらすことができる作業の条件は?
ネットワーク工程表で余裕時間(フロート)がある作業。クリティカルパス上の作業はフロートがなく、ずらすと全体工期が延びるため山崩しの対象にできない。
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
施工管理のポイント
山崩しを意識しないまま工程を組むと、月末や竣工直前に職人が集中して品質が落ちるという現場あるあるになりがちです。
フロートのある作業を積極的に前倒し・後ろ倒しして、「毎日一定の人数で仕事できる現場」を目指すことが工程管理の本質だと思っています。