けんせつる
フロートって何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
フロートとは、ネットワーク工程表において各作業が持つ「余裕時間」のことです。工期を遅らせずにその作業をどれだけ遅らせられるかを示す数値です。
フロートにはトータルフロート・フリーフロート・ディペンデントフロートの種類があり、フロートがゼロの作業をつないだ経路がクリティカルパスになります。
ネットワーク工程表を読むとき、どの作業を優先管理すべきかを判断する基準がフロートです。
フロートが大きい作業は多少遅れても工期に影響しませんが、フロートがゼロの作業が1日でも遅れると工期全体が遅れます。
| 種類 | 意味 | 計算式 |
|---|---|---|
| トータルフロート(TF) | 工期全体を遅らせずにその作業が遅延できる最大時間 | 最遅完了時刻(LFT)-最早完了時刻(EFT) |
| フリーフロート(FF) | 後続作業の最早開始時刻を遅らせずにその作業が遅延できる時間 | 後続作業の最早開始時刻(EST)-その作業の最早完了時刻(EFT) |
| ディペンデントフロート(DF) | トータルフロートとフリーフロートの差。後続作業に影響する余裕時間 | トータルフロート-フリーフロート |
ザックリ言えば、「トータルフロートは工期に対する余裕、フリーフロートは後続作業に対する余裕」という使い分けなということです。
試験では主にトータルフロートとフリーフロートが問われます。
フロートを計算するには、まずネットワーク工程表の各結合点(イベント)について最早時刻(EST)と最遅時刻(LST)を求めることになります。
スタートから順番に「最も早く完了できる時刻」を計算していきます。複数の先行作業がある場合は、最も遅く終わる作業の完了時刻が次の作業の最早開始時刻になります。
ゴール(工期)から逆算して「最も遅くても完了しなければならない時刻」を計算します。複数の後続作業がある場合は、最も早い最遅時刻を採用します。
ある作業Aについて:
この場合、
なんとなくイメージできましたか。トータルフロートが3日でも、後続作業への影響なしに遅らせられるのはフリーフロートの2日だけなことになります。
クリティカルパスはトータルフロートがゼロの作業をつないだ経路です。
クリティカルパス上の作業は余裕がまったくないため、1日でも遅れると工期全体が遅延します。
施工管理では以下のようにフロートを活用します。
建設業の時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)は、厚生労働省の資料(下図)に示されています。
混同しやすい用語の整理
トータルフロートはその作業が工期を遅らせずに遅延できる最大時間です。ただしトータルフロートを使い切ると後続作業に影響が出ることがあります。
フリーフロートは後続作業のスケジュールに影響を与えずに遅延できる時間で、フリーフロートの範囲内であれば後続作業への影響はゼロです。フリーフロート≦トータルフロートの関係になります。
フロートがゼロの作業は「余裕がまったくない作業」です。ネットワーク工程表でフロートゼロの作業をスタートからゴールまでつないだ経路がクリティカルパスになります。
クリティカルパスが複数ある場合もあります。
新・担い手3法の概要と適正工期確保の政策的背景は、国土交通省の資料(下図)に示されています。
トータルフロートとフリーフロートの違いは何か?
トータルフロートは工期全体を遅らせずにその作業が遅延できる最大時間。フリーフロートは後続作業の最早開始を遅らせずにその作業が遅延できる時間。
フリーフロート≦トータルフロートの関係になる。
(出題例:1級令和2年 問56)
クリティカルパスとフロートの関係は?
クリティカルパスはトータルフロートがゼロの作業をスタートからゴールまでつないだ経路。クリティカルパス上の作業は余裕がないため、1日でも遅れると工期全体が遅延する。
(出題例:1級令和2年 問56)
> クリティカルパスとは?計算方法と工程管理への活かし方を確認する
> ネットワーク工程表の読み方と作成のポイントを確認する
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
トータルフロートはプロジェクト全体に影響しない余裕時間、フリーフロートは後続作業に影響しない余裕時間です。フロートを消費しすぎるとクリティカルパスに変わることを常に意識してください。
ネットワーク工程表の最早・最遅開始時刻の計算練習が理解の近道です。