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石綿(アスベスト)事前調査の義務とは?大防法R4改正・調査者資格・報告義務を整理

けんせつる

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「石綿の事前調査って、全ての解体工事でしないといけないの?調査者の資格が必要なの?

2022年の法改正で何が変わったの?」

この記事の要点

2022年4月施行の大気汚染防止法(大防法)改正により、石綿事前調査のルールが大幅に強化されました。

  • 全ての解体・改修工事で事前調査が義務化:規模に関わらず、全ての建築物等の解体・改修工事前に石綿含有の有無を調査しなければならない(大防法第18条の15)。
  • 資格者による調査(令4年10月施行):一定規模以上の工事では、石綿含有建材調査者(国土交通省・環境省が規定する資格取得者)が調査を行わなければならない。
  • 報告義務:解体工事(床面積80m2以上)・改修工事(請負代金100万円以上)は、着工前に調査結果を都道府県等の電子システム(BAST)に報告する義務がある。

大防法R4改正(2022年4月施行)の概要

石綿(アスベスト)は肺がん・中皮腫の原因物質として1975年以降段階的に規制されましたが、2022年4月の大気汚染防止法改正前は、石綿の有無の事前調査義務が一定規模以上の建築物に限られていました。

R4改正では次の3点が大きく変わりました。

ザックリ言えば、「すべての解体・改修工事でアスベストを事前に確認し、記録・報告しなさい」という方向に法律が強化されましたね。

石綿含有建材調査者の資格

令和4年10月施行の改正により、一定規模以上の工事では資格を持つ調査者が事前調査を行う義務が生じました。石綿含有建材調査者には次の種別があります。

資格の種別調査可能な対象
一戸建て等石綿含有建材調査者一戸建て住宅および共同住宅の共用部分以外の部分
一般建築物石綿含有建材調査者全ての建築物(一戸建てを含む)
特定建築物石綿含有建材調査者全ての建築物。より高度な調査(飛散性の高い石綿が使用された建築物等)
工作物石綿事前調査者建築物以外の工作物(2026年1月1日施行・石綿障害予防規則改正)

施工管理者は、元請業者として発注者・施工業者が適切な資格を持つ調査者を手配しているかを確認する必要があります。資格者が調査していない場合は大防法違反になるでしょう。

報告義務の対象規模と報告先

事前調査結果の都道府県等への報告(電子届出システムBASTへの入力)が義務付けられる工事の規模は次のとおりです。

工事の種類報告義務が生じる規模
建築物の解体工事床面積の合計が80m2以上
建築物の改修工事請負代金の総額が100万円以上(税込み)
工作物(建築物以外)の解体・改修工事請負代金の総額が100万円以上(税込み)

報告のタイミングは着工前です。工事の実施前に調査を完了し、BASTに結果を登録してから着工しなければなりません。

「調査中」でも着工してしまうと違反になるため、工期計画に事前調査の時間を含めておくべきでしょう。

大気汚染防止法改正による事前調査義務・調査者資格・報告義務・飛散防止措置の強化ポイントは、環境省の資料(下図)に示されています。

大気汚染防止法の改正の概要(環境省)
出所:環境省「大気汚染防止法が改正されました(令和3年4月施行)」p.2 大気汚染防止法改正の概要(事前調査義務・調査者資格・報告義務・飛散防止措置の強化ポイント)

工事中の石綿飛散防止措置

石綿含有建材が確認された場合、工事中の飛散防止措置が義務付けられています。施工管理での確認ポイントは次のとおりです。

石綿作業主任者(特化則による)は、石綿障害予防規則に基づく技能講習の修了者ですね。石綿含有建材の除去等の作業には作業主任者の選任が義務付けられています。

管理人からのコメント

石綿の事前調査は「建物の竣工年が1975年以前なら不要」という理解は誤りです。1975年以降も石綿を含む建材は段階的に製造・使用されており、石綿が製造禁止になったのは2006年以降です。

そのため、2006年以前に施工された部位は原則として石綿含有の可能性があるものとして調査が必要です。「古い建物だけが対象」ではなく「2006年以前の施工部位はすべて調査対象」と理解しておくことが重要です。

調査者(有資格者)への依頼と報告義務の確認を着工前に必ず行ってください。

一定規模以上の解体・改造・補修工事における事前調査義務と着工前BASTへの届出要件は、同資料(下図)に示されています。

建築物を解体・改造・補修する際の事前調査義務と報告先(環境省)
出所:環境省「大気汚染防止法が改正されました(令和3年4月施行)」p.7 建築物等の解体・改造・補修時の事前調査義務・報告義務(一定規模以上の工事は着工前にBASTへ届出)

混同しやすい用語の整理

石綿含有建材の「レベル」区分

レベル1:吹付け石綿・吹付けロックウール(石綿含有)。飛散性が最も高い。

建築物の天井・はり・鉄骨の耐火被覆に使われた。
レベル2:石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材(成形品以外)。


レベル3:石綿含有仕上塗材(外壁・屋根)・石綿含有成形板(スレート・ビニル床タイル等)。飛散性は比較的低いが、破砕・切断すると繊維が飛散する。

大気汚染防止法(大防法)vs 労働安全衛生法(石綿障害予防規則)

大防法:建築物の解体・改修工事での石綿の大気中への飛散防止が目的。事前調査・報告の義務を規定(環境省・国交省管轄)。


石綿障害予防規則(特化則に付属):作業員の健康障害防止が目的。作業主任者の選任・保護具の使用等を規定(厚労省管轄)。

一問一答

Q1. 大防法R4改正(2022年4月施行)で、石綿の事前調査が義務付けられる工事の規模はどのように変わったか。

A. 改正前は一定規模以上の工事が対象だったが、改正後は全ての解体・改修工事が対象となった(規模制限の撤廃)。

Q2. 石綿事前調査結果の報告(BASTへの電子届出)が義務となる解体工事の規模はいくらか。

A. 床面積の合計が80m2以上の解体工事。改修工事は請負代金100万円以上(税込み)が対象。

Q3. 石綿含有建材の「レベル1」とはどのような建材か。

A. 吹付け石綿・石綿を含む吹付けロックウール等の吹付け材。飛散性が最も高く、工事中の作業区域隔離・負圧管理が義務付けられている。

Q4. 2006年以前に施工された建材について、石綿含有の事前調査が不要となる条件はあるか。

A. 原則として不要な条件はない。2006年以前の施工部位は石綿含有の可能性があるため、設計図書や成分分析で含有なしを確認した場合を除き調査が必要。

まとめ

法規の施工管理ポイントは法規にまとめています。

参考資料

  • 大気汚染防止法 第18条の15(石綿の飛散防止に係る規制)・R4改正
  • 国土交通省「石綿含有建材の調査者制度について」
  • 環境省「石綿(アスベスト)の飛散防止について」
  • 石綿総合情報ポータルサイト(BAST関連情報)
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建築業界の実務経験をもとに、建築施工管理の用語・施工手順・混同しやすい違いを整理しています。

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