けんせつる
軟弱地盤ってどこで判断するの?そういう場所で施工するとき何に気をつければいいの?
この記事の要点
軟弱地盤は、支持力が低くて建物の荷重で沈下しやすい地盤です。粘性土・有機質土・緩い砂など、含水比が高く圧縮されやすい土質が該当します。
施工管理では地盤調査結果で軟弱層の範囲・深さを確認し、設計で選定された地盤改良工法または杭工法が正しく実施されているかを確認します。施工中の周辺地盤の沈下モニタリングも重要です。
軟弱地盤での施工は通常の地盤より確認事項が増えます。どこで・何を・どう確認するかを整理しましょう。
軟弱地盤の確認には地盤調査のデータを使います。
| 調査方法 | 軟弱地盤の判断基準の目安 |
|---|---|
| スウェーデン式サウンディング(SWS) | Wsw=0kN(自重で貫入)・Nsw=0回転(回転なし)の層がある |
| 標準貫入試験(SPT) | N値が4以下の粘性土層・N値が10以下の砂質土層 |
| 土質試験 | 含水比が高い・一軸圧縮強度(qu)が小さい粘性土 |
ザックリ言えば、「N値が低い(貫入しやすい)ほど軟弱地盤」です。特にN値4以下の粘性土層は圧密沈下が生じやすい軟弱層として設計上も要注意になります。
軟弱地盤上に適切な対策なしで建物を建てると、次のようなリスクが生じます。
軟弱地盤への対策は設計段階で選定されますが、施工管理者は内容を理解しておく必要があります。
| 対策の方向性 | 工法例 |
|---|---|
| 地盤改良(地盤を固める) | 深層混合処理(セメント系固化材で柱状に固める)・表層改良・薬液注入 |
| 杭で支える | 既製杭・現場打ち杭で支持層まで荷重を伝える |
| 荷重を減らす | 軽量盛土・EPS(発泡スチロール)盛土で地盤への荷重を軽減する |
| 排水・圧密促進 | サンドドレーン・プラスチックボードドレーンで排水を促して強度を上げる |
軟弱地盤改良として多用されるセメント系固化材を用いた改良体の許容応力度は、昭和46年建設省告示第111号(下図)第五に規定されています。
軟弱地盤の判断基準となるN値を計測する標準貫入試験の方法は、昭和46年建設省告示第111号(下図)第一に規定されています。
混同しやすい用語の整理
軟弱地盤は支持力が低くて沈下しやすい地盤の総称(工学的な概念)。第3種地盤は建築基準法の地震力計算に使う地盤区分(法令上の概念)。軟弱地盤は第3種地盤に分類されることが多いが、概念は異なる。
均等沈下は建物全体が均等に沈む(建物の傾きは生じない)。不同沈下は建物の一部だけが沈んで傾く(ひび割れ・建具不良などの被害が生じる)。軟弱地盤での被害は不同沈下の方が問題になりやすい。
標準貫入試験(SPT)で軟弱地盤と判断されるN値の目安は何か?
粘性土でN値4以下・砂質土でN値10以下が軟弱な地盤の目安。特にN値0~2の粘性土は非常に軟弱で圧密沈下が生じやすい。
軟弱地盤での建物の主なリスクを3つ挙げよ。
①不同沈下(建物の一部が沈んで傾く)、②液状化(地震時に砂質地盤が液体状になって支持力を失う)、③掘削時のヒービング・ボイリング(掘削底面が持ち上がる・砂が吹き上がる)。
深層混合処理工法(地盤改良)の施工管理での主な確認事項は何か?
改良杭の位置・深さ・固化材添加量・杭径が設計値通りか。改良後の強度確認(コア採取による一軸圧縮試験)。施工記録の全数管理。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 地盤調査とは?を確認する
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参考資料
・地盤工学会「地盤調査の方法と解説」
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)第4章 土工事・基礎工事
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
軟弱地盤でよくある現場の問題は「地盤改良の施工記録が不十分」なケースです。
後から「本当に設計通りに改良されたか」の証明ができなくなります。改良杭ごとの施工記録(位置・深さ・固化材量・電流値)を全数残しておくことが大切です。
もう一つは「掘削中に隣接建物が想定以上に沈下した」問題です。軟弱地盤での掘削は周辺地盤に影響を与えやすいため、掘削前に近隣への説明と沈下計の設置を行い、基準値を超えたら工事を止めるルールを決めておくことが重要です。