けんせつる
「給湯設備って、逃し弁や膨張タンクが必要って聞いたけど、それはなぜ?施工管理でどこを確認する?」
この記事の要点
給湯設備は「水を加熱してお湯にして供給する設備」で、ガス給湯器・電気温水器・エコキュートなど複数の方式があります。施工管理での確認ポイントは3点です。
建物の給湯方式は主に次の4種類に分類されます。
| 種類 | 熱源 | 特徴 |
|---|---|---|
| ガス給湯器(瞬間式) | ガス | 必要な時だけ加熱する。貯湯タンク不要。お湯が出るまでが早い。 |
| 電気温水器(貯湯式) | 電気 | 夜間電力でお湯を貯めておく。タンク容量に上限がある。 |
| エコキュート(ヒートポンプ式) | 電気(大気熱を利用) | 大気の熱でお湯を沸かすため省エネ性が高い。貯湯タンク式。 |
| セントラル給湯(熱源機+配管) | ガス・電気等 | ホテル・マンション等で1カ所の熱源機から各部屋へ配管で供給。 |
ザックリ言えば、個別方式(各戸に給湯器)と中央方式(セントラル給湯)の2系統があり、規模に応じて選択されます。
貯湯式給湯器(電気温水器・エコキュート)では、タンク内の水を加熱するときに水が膨張します。密閉されたタンクの中で水が膨張すると内圧が異常に上昇してタンク・配管が破損する危険があります。
これを防ぐために逃し弁(減圧弁と組み合わせた安全弁)または膨張タンクが取り付けられます。逃し弁は設定圧力を超えたときに自動的に開いて圧力を逃がします。
膨張タンクはゴムブラダーの内部に空気をためて、水の膨張分を吸収する機構です。貯湯式だからこそ必要な安全装置ですね。
施工管理の確認ポイントは次のとおりです。
給湯配管は給水配管より高い温度(60℃前後)の水が流れるため、耐熱性のある材料を選択する必要があります。
| 配管材料 | 使用可否 | 特徴 |
|---|---|---|
| 耐熱塩ビ管(HTVP・HTU) | 給湯可 | 耐熱性を持たせた塩ビ管。接合は専用TS接合。 |
| 銅管 | 給湯可 | 熱伝導率が高く古くから給湯に使用。ロウ付け接合。 |
| 架橋ポリエチレン管・ポリブテン管 | 給湯可 | 柔軟性があり住宅の床下配管に多用。継手接続。 |
| 硬質塩ビ管(VP・VU) | 給湯不可 | 耐熱性がなく高温で変形・軟化する。給湯には使用禁止。 |
| ステンレス管 | 給湯可 | 耐食性・耐熱性が高い。公共施設・病院等で多用。 |
施工管理では、施工業者が一般給水配管(VP管)を誤って給湯配管に使っていないか確認することが重要ですね。竣工後に高温で変形・漏水するリスクがあります。
レジオネラ菌は水中・土壌中に存在する細菌で、ぬるめのお湯(20~50℃程度)の貯湯タンクや配管内で増殖しやすいです。感染するとレジオネラ症(肺炎型・ポンティアック熱型)を引き起こします。
貯湯温度を60℃以上に維持すると、レジオネラ菌は死滅・不活化します。厚生労働省の衛生管理要領でも、給湯設備の貯湯温度は60℃以上に設定することが求められていますね。
施工管理では、電気温水器・エコキュートの貯湯温度設定が60℃以上になっているか試運転・竣工検査で確認します。設備工事業者に温度設定記録を提出させると確実でしょう。
混同しやすい用語の整理
逃し弁(安全弁):設定圧力を超えたときに自動的に開いて内圧を下げる安全装置。給湯器・温水器に設置。
減圧弁:水道本管等の高圧水を設定圧力に下げる調圧装置。給水配管の手前に設置して器具への圧力を適正化する。
瞬間式:使用時に瞬時に加熱。タンクなし。
温水の持ち出し量に制限なし。ガス給湯器が代表例。
貯湯式:あらかじめ加熱して貯湯。電気温水器・エコキュートが代表例。
タンク残量がゼロになると供給できない。
Q1. 貯湯式給湯器で逃し弁(安全弁)が必要な理由は何か。
A. 貯湯タンク内で水が加熱されると膨張し、密閉容器内の内圧が異常上昇してタンク・配管の破損につながるため。逃し弁で設定圧力超過時に圧力を逃がす。
Q2. 一般の硬質塩ビ管(VP管)を給湯配管に使用できない理由は何か。
A. 耐熱性がなく、高温(60℃前後)の給湯温度で変形・軟化するため。給湯配管には耐熱塩ビ管(HTVP)・銅管・架橋ポリエチレン管等を使用する。
Q3. 給湯設備の貯湯温度は何℃以上に設定することが推奨されているか。また、その理由は?
A. 60℃以上。貯湯タンク・配管内でのレジオネラ菌の繁殖を防ぐため(60℃以上でレジオネラ菌は死滅・不活化する)。
設備工事の施工管理は施工管理の視点でまとめています。
> 設備配管の水圧試験・満水試験と判定基準を確認する
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
給湯設備で見落としやすいのは「配管の断熱材(保温材)の施工状態」です。給湯配管は熱損失を防ぐために保温材を巻く必要がありますが、継手部分・バルブ周辺で保温材が切れているケースが現場で見られます。
特に天井裏・壁内に隠れる配管は、断熱施工後に確認ができないため、隠蔽前に写真記録を残すことが重要です。また、循環式給湯システム(ホテル・マンション等)では、配管内の滞留水を防ぐためにポンプで常時循環させる設計になっていますが、循環ポンプの試運転確認も施工管理の対象です。