けんせつる
「先送りモルタルって何で必要なの?捨てるって本当?
スランプが低いとポンプで打てないの?」
この記事の要点
コンクリートのポンプ圧送では、配管の状態・コンクリートの流動性・先送りモルタルの管理が重要です。施工管理では次を押さえましょう。
ザックリ言えば「乾いた配管に直接コンクリートを圧送すると閉塞するのから」です。圧送開始時点で配管内は乾燥しており、コンクリートの水分が配管内壁に吸収されてモルタル分が不足し、骨材が詰まって閉塞(ポンプ閉塞)が起きやすくなります。
先送りモルタルを先に通すことで配管内壁を湿潤させ、コンクリートが通りやすい状態を作ります。先送りモルタルは水セメント比・配合がコンクリート本体と異なるため強度保証がなく、JASS 5 では躯体コンクリートに打ち込まずに廃棄することを原則としています。
ポンプ圧送に適したスランプは、JASS 5 の規定では一般に8cm以上とされています。スランプが低いコンクリートは粘性が高く管内摩擦抵抗が大きくなるため、圧送が困難になります。
ただし、スランプが高すぎると強度・耐久性の低下につながるため、圧送性と品質のバランスを考慮して配合設計を行います。圧送のためにスランプを高くしすぎると水セメント比が上がって強度が下がる点に注意が必要ですね。
ポンプ配管の抵抗は水平距離・垂直距離・曲管の組み合わせで決まります。これらを「水平管の長さ」に換算して合計したものが水平換算距離です。
JASS 5 の目安では次のように換算します。
水平換算距離が大きいほど配管抵抗が大きくなり、ポンプの吐出圧力が不足すると閉塞するリスクが高まります。計画段階でポンプの最大圧送能力と水平換算距離を比較してポンプを選定しましょう。
配管ルートが長くなる場合は、ポンプの台数増設や中継ポンプの設置も検討が必要でしょう。
コンクリートポンプ使用時の輸送管呼び径の基準は、公共建築工事標準仕様書(下図)に定められています。
混同しやすい用語の整理
先送りモルタル:ポンプ圧送開始前に配管内壁を湿潤させるために先に圧送するモルタル。躯体には打ち込まず廃棄する。
富調合モルタル:セメント量を増やして強度や付着性を高めた配合のモルタル。タイル張付けや左官工事で使う場合がある。
→ 「先送りモルタル」はポンプ管内処理専用で躯体不使用。「富調合モルタル」は仕上げ工事等で使う配合上の区分。
スランプ:コンクリートのコンシステンシー(流動性)をスランプコーン試験で測定した沈下量(cm)。通常コンクリートに使う。
スランプフロー:高流動コンクリートのコンシステンシーを広がり直径(mm)で測定したもの。スランプが大きく通常の測定では判定困難な場合に使う。
→ ポンプ圧送適正は「スランプ8cm以上」が目安。高流動コンクリートはスランプフローで管理。
先送りモルタルの廃棄規定および練混ぜから打込み終了までの時間制限は、公共建築工事標準仕様書(下図)に明記されています。
Q1. ポンプ圧送開始前に先送りモルタルを使う理由は何か。
A. 乾燥した配管内壁を湿潤させてコンクリートの閉塞を防ぐため。先送りモルタルは配合が異なるため躯体には打ち込まず廃棄する。
Q2. ポンプ圧送に適したスランプの目安は何cmか。
A. 一般に8cm以上(JASS 5)。スランプが低いと管内摩擦抵抗が大きくなり閉塞しやすい。
Q3. 水平換算距離の計算で垂直管1mは水平管何m相当か。
A. 3m相当。配管抵抗の評価で垂直管は水平管の3倍として換算する。
Q4. 先送りモルタルを廃棄せずに躯体に打ち込んではならない理由は何か。
A. 先送りモルタルは水セメント比・配合がコンクリート本体と異なるため強度保証ができず、躯体コンクリートの品質を確保できないため。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
管が閉塞するとコールドジョイントのリスクが高まるため、素早い対応が必要です。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
先送りモルタルの廃棄場所は打設前に決めておきます。廃棄せずにそのまま打ち込んだ事例では、先送りモルタル部分の強度不足が後から発覚するケースがあります。
また、圧送中にポンプが閉塞した場合は、無理に圧送を続けず配管を外して詰まりを除去してから再開します。閉塞した状態で無理に圧力をかけると配管破損や事故につながるため、対処手順を事前に確認しておくことが重要です。
打設計画書にポンプ配置・配管ルート・水平換算距離・先送りモルタルの廃棄方法を明記しましょう。