ゼロから学ぶ建築施工管理

  1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 1級建築施工管理技士
  4. 令和7年
  5. > No.9 木質構造

令和7年度 1級建築施工管理技士 No.9を解説、燃えしろ設計の安全確認は長期ではなく短期許容応力度で行う

けんせつる

けんせつる

燃えしろ設計って、長期と短期のどちらの許容応力度で安全を確認するのでしょうか。

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、木質構造に関する問題です。正解は選択肢2。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.9は、木質構造に関する問題です。

問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。

正解:選択肢2

燃えしろ設計は火災時の状況を検討するものです。火災は「短期」の荷重状態に分類されるため、安全性の検証は短期許容応力度を用いて行います。「長期の許容応力度を超えないことを検証」という記述が誤りです。

各選択肢の正誤

選択肢 正誤 解説
1 ○(正しい) 枠組壁工法の枠組壁は水平力と鉛直力を同時に負担できる
2 ×(誤り) 燃えしろ設計の安全確認は短期許容応力度で行う(長期は誤り)
3 ○(正しい) CLTパネルの弾性係数・基準強度は強軸方向でも製材等の繊維方向の値より小さい
4 ○(正しい) 風圧力に対する必要壁量は見付面積が異なれば桁行方向と梁間方向で異なる値になる

選択肢2の「長期の許容応力度を超えないことを検証」という記述が誤りです。正しくは短期許容応力度を基準に検証します。

この問題のポイント

木材は燃えますが、一定の速さで表面から燃え進む性質があります。

この性質を利用して、あらかじめ燃えてなくなる部分(燃えしろ)を計算しておき、その分を差し引いた残りの断面で構造的な安全性を確保する設計手法が「燃えしろ設計」です。

ザックリ言えば、「燃えても残る部分だけで荷重に耐えられるか確認する」ということです。

選択肢1

枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の特徴を問う選択肢です。

枠組壁工法は、木材の枠組みに構造用合板などを打ち付けた壁と床で構成されます。この壁は面材として機能するため、水平力(地震・風圧力)と鉛直力(自重・積載荷重)を同時に負担することができます。

在来軸組工法では水平力は筋かいが担い、鉛直力は柱が担うという役割分担がありますが、枠組壁工法では壁全体でまとめて受け持つ構造なんです。

選択肢2

これが誤りを含む選択肢です。ここは混乱しやすいところですね。

構造設計では、荷重の継続時間によって許容応力度を使い分けます。建物に常時かかる自重・積載荷重は「長期」として扱い、地震・風・火災など短時間の非常時荷重は「短期」として扱います。

長期許容応力度より短期許容応力度のほうが、値が大きく設定されています。これは一時的な荷重に対してはやや余裕を持たせた評価ができるためです。

火災は短期の荷重状態です。燃えしろ設計では、燃えしろを除いた断面が火災中の荷重(短期荷重)に耐えられるかを、短期許容応力度と比較して検証するわけです。

長期の許容応力度を超えないことを検証する」という記述は、検証に使う許容応力度の種類を間違えた誤りです。正しくは短期許容応力度で検証します。

けんせつるの一言

「燃えしろ設計=火災時の安全確認」と頭に入っていれば、火災は短期荷重なので短期許容応力度を使う、という流れがスムーズに出てきます。「長期」という単語を見たときに違和感を持てるかどうかが、この問題の解き方のポイントです。

選択肢3

CLT(直交集成板)は、木材の板を繊維方向が直交するように重ね合わせた複合材料です。

通常の製材や集成材は繊維方向の強度・剛性が非常に高い材料です。一方、CLTは繊維が直交する層が交互に積み重なるため、強軸方向であっても繊維が直交する層の影響を受け、弾性係数や基準強度は製材等の繊維方向の値より小さくなります

この特性はCLTの等方性に近い力学的挙動と関係しており、構造計算では注意が必要な点です。

選択肢4

風圧力に対する必要壁量は、見付面積(風を受ける面積)に比例して決まります

桁行方向と梁間方向で見付面積が異なれば、必要壁量も当然異なる値になります。なんとなくイメージできましたか。

見付面積が大きい方向ほど風圧力が大きくなるため、その方向の必要壁量を増やさなければならないわけです。これは正しい記述です。

覚え方

燃えしろ設計の検証に使う許容応力度は、「火災=非常時=短期」という連想で覚えましょう。

火災 → 短期荷重 → 短期許容応力度で検証という流れを頭に入れておくと、「長期」という誤りにすぐ気づけるわけです。

一問一答

Q.

燃えしろ設計において、燃えしろを除いた断面の安全性はどの許容応力度を基準に検証するか。

短期許容応力度です。火災は短期の荷重状態に分類されるため、短期許容応力度を超えないことを検証します。

Q.

枠組壁工法の壁は、水平力と鉛直力を同時に負担できるか。

できます。木材の枠組みに構造用合板を打ち付けた壁が、水平力と鉛直力を面として同時に負担します。

令和7年 1級建築施工管理技士 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

▼令和7年 1級建築施工管理技士▼

▼他の年度▼

▼他の試験▼

▼カテゴリ一覧▼

Topへ >>