けんせつる
木造の接合金物って何?どんな場面で使うの?
この記事の要点
木造建築の接合金物は、地震・台風などの水平力や引き抜き力から木材の接合部を守る重要な部材です。代表的なものにホールダウン金物・羽子板ボルト・筋交い金物があり、N値計算(引き抜き力の計算)をもとに設計で種類が決まります。
施工管理では種類・取付位置・ボルトの締め付け・防錆処理を確認し、内装仕上げで隠れる前に工事写真で記録を残すことが必要です。
木造の接合金物は、一度内装を仕上げてしまうと外から確認できなくなります。
「取り付けたはず」という口頭確認だけでは不十分で、施工中の工事写真が唯一の証拠になります。種類の確認・取付の確認・写真撮影のタイミングをしっかり管理することが大切です。
主な接合金物の種類と役割はこちらです。
| 金物名 | 取付箇所 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ホールダウン金物 | 柱脚・柱頭(基礎・土台・梁との接合部) | 地震・台風時の引き抜き力に抵抗する |
| 羽子板ボルト | 梁と梁・横架材同士の接合部 | 横架材の引き抜けを防ぐ |
| 筋交い金物(筋交いプレート) | 筋交いと柱・横架材の接合部 | 筋交いの外れ・めり込みを防ぐ |
| 山形プレート(VP) | 柱頭・柱脚 | 柱と横架材の接合を補強する |
| 短ざく金物 | 上下階の柱相互の接合部 | 上下階の柱どうしを接合・補強する |
| かど金物 | 引張りを受ける柱の上下接合部 | 引張力が作用する柱の接合を補強する |
| かね折り金物 | 通し柱と胴差の取り合い | 通し柱と胴差の接合を補強する |
| 折曲げ金物 | 垂木と軒桁・母屋の接合部 | 垂木の引き抜けを防ぐ |
| ひねり金物 | 垂木と軒桁の接合部 | 垂木の引き抜けを防ぐ(折曲げ金物と同用途・別形状) |
| 火打金物 | 小屋組・床組の隅角部 | 水平面の変形(ひずみ)を防ぐ隅角部の補強 |
ザックリ言えば、「引き抜きにはホールダウン・梁のズレ防止には羽子板ボルト・筋交いの固定には筋交い金物・垂木の固定には折曲げ金物またはひねり金物・隅角部補強には火打金物」という使い分けです。
試験で引っかかりやすいのは「折曲げ金物」と「火打金物」の混同です。折曲げ金物は垂木と軒桁の接合であり、小屋組隅角部の補強は火打金物が担当します。
どの種類の金物を使うかは、柱に作用する引き抜き力(N値)を計算して決めます。N値が大きいほど耐力の高い金物が必要になります。
施工管理者は構造図・N値計算書と現場の金物の種類が一致しているかを確認します。
接合金物は内装仕上げ(断熱材・石膏ボード等)で隠れるため、仕上げ前に必ず撮影します。
| 不具合 | 確認ポイント |
|---|---|
| 金物の種類違い | 取付後に種類の刻印・ラベルと構造図を照合する |
| 取付位置のずれ | 構造図と現場の柱位置を照合する |
| ボルト未締め・本数不足 | 目視確認+工事写真で記録する |
| ホールダウン金物の傾き | 金物が柱に対して垂直に取り付いているか確認する |
| 筋交い金物の打ち込み不足 | 釘・ビスの本数・打ち込み深さを確認する |
混同しやすい用語の整理
ホールダウン金物は主に引き抜き力(上方向の力)に抵抗するための金物で、基礎アンカーボルトと柱を連結します。山形プレート(VP)は柱と横架材を補強する一般的な接合金物で、引き抜き以外に横ずれも防ぎます。
引き抜きが大きい部位(建物の出隅・開口部周りなど)にはホールダウン金物が必要です。
筋交い金物は筋交いを柱・横架材に固定するための専用金物です。羽子板ボルトは梁と梁(横架材同士)の引き抜けを防ぐためのボルト金物です。
形状が似ているように見えますが、取付箇所・用途が異なります。
木造建築で柱脚・柱頭に取り付け、地震時の引き抜き力に抵抗する金物は?
ホールダウン金物。基礎アンカーボルトと柱を連結し、引き抜き力(N値)に応じた種類を選定する。
筋交いと柱・横架材の接合部に使用する金物は?
筋交い金物(筋交いプレート)。筋交いの外れやめり込みを防ぐ。
釘・ビスの本数・打ち込み深さも確認する。
小屋組の隅角部の補強に使う金物は何か?折曲げ金物ではないか?
火打金物。折曲げ金物は垂木と軒桁・母屋の接合に使うもので、小屋組隅角部の補強には使わない。
この区別が試験の引っかけとして出やすい。
通し柱と胴差の取り合いに使う接合金物は?
かね折り金物。短ざく金物は上下階の柱相互の接合に用いるもので、用途が異なる。
接合金物の施工写真を撮影すべきタイミングは?
内装仕上げ(断熱材・石膏ボード)で隠れる前。一度隠れると確認できないため、仕上げ工事着手前に必ず撮影する。
> 木造軸組工法の施工管理ポイントを確認する
> 筋交いの施工管理ポイントを確認する
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
ホールダウン金物は基礎アンカーボルトとの接続が確実かどうかが最初の確認点です。金物の種類・取付け位置・ボルト本数は構造図と照合し、確認した証拠写真を残してください。
羽子板ボルトは締め付けトルクの確認も忘れずに。