けんせつる
「今日は寒いけど塗装工事を始めていいの?何度以下はダメなの?
湿度の基準は?木部の含水率って何%以下にすればいいの?」
この記事の要点
塗装工事は気象条件・素地の状態が仕上がりの品質に直接影響します。施工管理では次の数値を押さえましょう。
JASS 18(建築工事標準仕様書 塗装工事)では、次の条件下での施工を禁止しています。
| 禁止条件 | 理由 |
|---|---|
| 気温が5℃以下 | 低温で塗料の乾燥・硬化が遅れ、塗膜が正常に形成されない。 |
| 相対湿度が85%以上 | 湿度が高いと塗膜に結露・白化(ブラッシング)が起こり、密着不良になる。 |
| 雨天・降雪またはそのおそれ | 水分が塗膜に混入して白化・剥離の原因になる。 |
| 直射日光で塗面が急乾するおそれ | 急乾すると表面だけが固まり内部が軟らかいまま残る(乾燥不良)。 |
| 強風で砂埃・異物が付着するおそれ | 硬化前の塗膜に砂埃が付着すると仕上がりが粗れる。 |
ザックリ言えば「塗料が乾かない・汚れる・変質するような状況では塗ってはいけない」というルールですね。気温5℃・湿度85%の数値は試験でも問われることが多いので確実に覚えておきましょう。
なお、気温が5℃以下でも採暖・加温などの適切な処置を行った場合は施工できる場合があります。具体的な対応は設計監理者と協議する必要があります。
木材は含水率が高い状態で塗装すると、後から水分が蒸発した際に塗膜が膨れ・割れ・剥離する原因になります。JASS 18 では塗装前の木部の含水率を次のとおり定めています。
| 部位 | 含水率の上限 |
|---|---|
| 屋外部位(外壁・軒天等) | 15%以下 |
| 屋内部位(内装・造作等) | 18%以下 |
含水率は電気式含水率計(ピン型)で測定します。木材の含水率が規定値を超えている場合は、自然乾燥または乾燥処置を行ってから塗装します。
新築工事では木工事完了直後に含水率が高いことがあるため、内装仕上げ前の乾燥期間を適切に確保することが重要ですね。
コンクリート・モルタル面への塗装では、素地が十分に乾燥し中性化していることを確認します。打設直後のコンクリートはアルカリ性が強く、アルカリに弱い塗料(アルキド樹脂系等)を早期に塗ると塗膜が劣化(けん化)します。
下塗り・中塗り・上塗りの各工程は、前工程の塗膜が適切に乾燥してから次を行います。乾燥時間の目安は塗料の種類・気温で異なります。
| 塗料の種類 | 工程間インターバルの目安(気温20℃) |
|---|---|
| アルキド樹脂塗料(合成樹脂調合ペイント) | 24時間以上 |
| 合成樹脂エマルションペイント(EP) | 2~4時間以上 |
| エポキシ樹脂塗料(2液型) | 可使時間内に使い切り・塗装後24時間以上 |
| ウレタン樹脂塗料(2液型) | 塗装後8時間以上(次工程まで) |
気温が低い(10℃以下)と乾燥時間は通常の1.5~2倍程度かかります。工程管理上、乾燥不足のまま次の塗装をすると密着不良・膨れ・割れの原因になるため、指定インターバルの確認は施工管理の基本ですね。
混同しやすい用語の整理
指触乾燥:指で触れて塗料が指に付かない状態。表面だけが乾いているが内部はまだ軟らかい場合がある。
硬化乾燥(完全乾燥):塗膜の内部まで硬化が完了した状態。本来の塗膜性能が発現している。
→ 「指触乾燥=次工程OK」ではない。インターバルの基準は塗料メーカーの仕様書による。
素地ごしらえ:塗装前の下地処理の総称。汚れ除去・下地調整・下塗り等を含む。
ケレン:鉄材・既存塗膜のさび・旧塗膜除去に特化した素地調整。1~4種に分類される。
→ 「ケレンは素地ごしらえの一部(鉄部に特化した作業)」という関係。
Q1. JASS 18 で、相対湿度が何%以上のときに塗装工事を禁止しているか。
A. 85%以上。相対湿度85%以上では塗膜に白化(ブラッシング)・密着不良が起こるため施工禁止。
Q2. 木部の塗装前に確認が必要な含水率の上限は?(屋外と屋内で答えよ)
A. 屋外は15%以下、屋内は18%以下。この値を超えている場合は乾燥処置後に塗装する。
Q3. アルキド樹脂塗料(合成樹脂調合ペイント)の工程間インターバルの目安(20℃)はいくらか。
A. 24時間以上。気温が低い場合はさらに長くなる。
Q4. 気温が5℃以下のとき塗装工事は行えるか。
A. 原則施工禁止。ただし採暖・加温等の適切な処置を講じた場合はこの限りでない(JASS 18)。
仕上げ・内装工事の施工管理は仕上げ・内装にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
現場でよくあるのは、工程が遅れた巻き返しで「前日に下塗りして翌朝すぐ中塗り」というスケジュールで動くケースです。気温が低い冬期は乾燥が遅く、目視では乾いているように見えても内部が未硬化のことがあります。
特にウレタン系の2液型塗料は可使時間管理も必要です。塗装業者から施工記録(塗装日・気温・湿度・工程間インターバル)の報告を求め、設計監理者と共有する管理体制を組んでおくことが重要です。