けんせつる
亜鉛めっき面に変性エポキシを塗ると、なぜダメなんでしょう。
この記事の要点
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.36は、塗装工事に関する問題です。正解は選択肢4。
令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.36は、塗装工事に関する問題です。
問題文は建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。
この問題では、4つの記述のうち、最も不適当なものを選びます。
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | つや有り合成樹脂エマルションペイントは気温5℃未満では施工を中止するのが正しい |
| 2 | ○(正しい) | 2液形ポリウレタンエナメルの中塗り工程間隔時間の上限7日は適切 |
| 3 | ○(正しい) | 木材保護塗料の水希釈と十分な撹拌は正しい手順 |
| 4 | ×(誤り) | 亜鉛めっき鋼面の下塗りにはエッチングプライマーが正しく、変性エポキシ樹脂プライマーは不適当 |
選択肢4の「変性エポキシ樹脂プライマーを使用した」という記述が誤りで、正しくはエッチングプライマー(wash primer)を使用します。
この問題では、塗装の施工条件と下塗り材の使い分けを正しく理解しているかが問われています。
特に下塗り材は素地の種類によって使い分けが必要です。鉄鋼面か亜鉛めっき面かで適したプライマーが変わる点が引っかけの定番なんです。
つや有り合成樹脂エマルションペイントは水系塗料です。水系塗料は気温が低いと水分の蒸発が遅くなり、塗膜形成が正常に行われなくなります。
気温が5℃未満になると塗膜の乾燥・硬化が著しく遅くなるため、施工を中止するのが正しい対応です。
JASS 18では、水系塗料の施工限界温度として気温5℃未満を施工中止の目安と定めています。選択肢1の記述は正しいということです。
鉄鋼面の2液形ポリウレタンエナメル塗りは、中塗りと上塗りの間に工程間隔時間を設けます。
工程間隔時間には下限(乾燥させるための最小待機時間)と上限(再塗装の限界時間)があります。ここは混乱しやすいところですね。
2液形ポリウレタンエナメルの中塗り工程間隔時間の上限は7日とされており、この記述は適当です。上限を超えると前の塗膜が劣化して密着性が落ちるため、設定されているわけです。
木材保護塗料は木材に浸透させて腐朽・変色・虫害を防ぐ塗料です。
原液を水で希釈して使用するタイプの製品があり、希釈後はよく撹拌して均一な状態にしてから塗布します。この手順は製品仕様書でも定められている正しい作業方法なんです。
油性系と水性系では希釈剤が異なりますが、希釈後の十分な撹拌という手順は共通して求められます。
これが誤りを含む選択肢です。亜鉛めっき鋼面は、塗料との密着性を確保するのが難しい素材なんです。
亜鉛めっき表面は化学的に不活性な状態にあり、一般的なプライマーでは十分な密着力が得られません。
変性エポキシ樹脂プライマーは鉄鋼面への防錆下塗りとして優れた性能を持ちますが、亜鉛めっき面に対しては密着性が不十分なわけです。
エッチングプライマー(wash primer)はリン酸を含む化成処理型の下塗り材で、亜鉛面を化学的にエッチングして密着性を高めます。亜鉛めっき鋼面にはこちらを使うのが建築工事標準仕様書(JASS 18)の定めです。「変性エポキシ樹脂プライマーを使用した」という記述は誤りで、正しくはエッチングプライマーを使用します。
ザックリ言えば、変性エポキシは「鉄鋼面向け」、エッチングプライマーは「亜鉛・アルミなどの非鉄金属面向け」という使い分けになります。
けんせつるのひとこと
「プライマーなら何でも一緒」という考え方が一番危ない。亜鉛めっきとエッチングプライマーはセットで覚えないと、現場でも試験でも失点します。
下塗り材の使い分けは、素地(下地)の種類と紐づけて整理するのが効果的です。
鉄鋼面 → 変性エポキシ樹脂プライマー、亜鉛めっき面 → エッチングプライマーという対応を押さえておけば、この種の問題には対応できるわけです。
エッチングプライマーの「エッチング」は、酸が表面を化学的に侵食(エッチング)して密着を高める仕組みから来ています。亜鉛面に酸が反応して食い込む、というイメージで覚えると定着しやすくなるでしょう。
亜鉛めっき鋼面の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル塗りにおいて、下塗りに使用する適切なプライマーは何か。
エッチングプライマー(wash primer)です。亜鉛面との化学的な密着性を確保するために使用します。変性エポキシ樹脂プライマーは亜鉛面には不適当です。
つや有り合成樹脂エマルションペイントの施工を中止すべき気温の目安は何℃未満か。
5℃未満です。水系塗料は低温では塗膜形成が正常に行われないため、気温5℃未満では施工を中止します。
出典
※ この記事の確認日:2026年6月
正解:選択肢4
亜鉛めっき鋼面への塗装の下塗りには、亜鉛面との密着性を確保するためにエッチングプライマー(wash primer)を使用するのが標準です。変性エポキシ樹脂プライマーは亜鉛面に対して密着性が不十分なため、下塗りとして不適当なんです。