けんせつる
施工記録と完成図書って何が違うの?竣工時に何を用意すればいいの?
この記事の要点
施工記録は工事中に作成する記録の総称(施工日報・施工写真・検査記録・材料試験記録等)です。完成図書は竣工時に発注者へ引き渡す書類一式で、施工記録の一部+竣工図が含まれます。
施工記録は「隠れた後でも正しい施工を証明できる唯一の手段」です。記録はすべて隠れる前に残すことが鉄則です。
建築工事では多くの施工箇所がコンクリートや仕上げ材で隠れてしまいます。
後から「本当に適切な施工がされていたか」を確認しようとしても、隠れた部分は目視で確認できません。だから施工中に記録を残しておくことが、品質を証明する唯一の手段になります。
| 種類 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 施工日報 | その日の作業内容・天候・作業員数・出来高等を記録した日次記録 | 工程管理・労務管理の基礎資料 |
| 施工写真 | 施工過程を撮影した写真記録。隠蔽部分・重要工程を重点的に撮影する | 隠れた施工の品質証明・クレーム対応 |
| 検査記録 | 社内検査・中間検査・完了検査の結果を記録した書類 | 品質確認・行政検査の資料 |
| 材料試験記録 | コンクリートのスランプ・空気量・圧縮強度試験等の結果 | 使用材料の品質証明 |
| 出来形管理記録 | 寸法・高さ・厚さ等を測定して設計値との差を記録したもの | 施工精度の証明・竣工検査の資料 |
| 施工体制台帳・再下請負通知書 | 現場に入場する元請・下請業者の体制を記録する書類(一括下請負禁止を含む建設業法の義務) | 法令遵守の証明・安全管理 |
ザックリ言えば、施工記録は「いつ・誰が・何を・どのように施工したか」を後から追えるようにするための書類群です。
施工記録を残す目的は大きく3つあります。品質管理と表裏一体の関係にあります。
建築確認・中間検査・完了検査の各段階で施工記録・写真が必要となる手続きの流れは、国土交通省の資料(下図)に示されています。
混同しやすい用語の整理
施工記録は施工中に作成される記録全般です。完成図書は竣工時に発注者に引き渡す書類一式で、施工記録の一部(施工写真・検査記録・試験記録等)が含まれます。
竣工図(実際に施工した内容を反映した図面)も完成図書の重要な構成要素です。
社内検査記録は元請け・施工者が自ら実施した検査の記録です。中間検査記録は工事中に行政(建築主事等)が実施する法定の検査の記録です。
どちらも施工記録として保管が必要ですが、中間検査は法令で義務付けられた検査であるという点が異なります。
材料試験記録・品質管理記録の根拠となるコンクリートの設計基準強度・スランプの規定は、公共建築工事標準仕様書(令和4年版)の表4.5.1(下図)に示されています。
施工記録を残す最も重要な理由は何か?
隠蔽された施工箇所の品質を後から証明できる唯一の手段だから。コンクリート内の配筋・防水層等は竣工後には目視確認できないため、施工中の記録が品質証明の根拠になる。
完成図書には何が含まれるか?
竣工図・施工写真・検査記録・材料試験記録・出来形管理記録等が含まれる。発注者との契約で必要な書類の種類・部数が定められることが多い。
> 施工写真の管理ポイントを確認する
施工管理の基本は施工管理にまとめています。
参考法令・規格
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
施工記録は隠れる部分(配筋・防水・断熱)は必ず写真で記録し、後で見返せる状態で保管します。完成図書(竣工図・取扱説明書・検査結果等)は施主への引き渡しが義務です。
記録の整理は竣工後ではなく工事中の各段階で行うことをお勧めします。