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音とは?回折・残響時間・透過損失・吸音率を過去問で整理

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けんせつる

けんせつる

塀の裏に回り込むのは、高い音のほうだっけ……?

音源から離れると、音ってどれくらい小さくなるの?

この記事の要点

音の回折(障害物の裏への回り込み)は、波長の長い低い周波数(低音)ほど起こりやすい。「高い音ほど回り込む」は誤りで、この分野の最頻出の引っかけです。

点音源からの距離が2倍になると、音圧レベルは6dB低下します(3dBではありません)。

壁の透過損失は、重く・厚く・周波数が高いほど大きくなります(質量則)。換気などの環境は換気、採光照明は採光及び照明にまとめています。

は、空気などの媒質が振動して伝わる波(縦波)です。試験(1級はNo.3・No.8、2級でも頻出)でねらわれるのは、回折・距離減衰・残響・遮音・吸音の考え方です。まず最頻出の回折を図で押さえます。

音の回折を表す模式図。塀などの障害物があるとき、波長の長い低い音(低周波)は障害物の裏側へ大きく回り込む(回折しやすい)。波長の短い高い音(高周波)はまっすぐ進みやすく、障害物の裏に音の影ができる(回折しにくい)。回り込みやすいのは低い音。
回折は波長の長い低い音ほど起こりやすい。高い音は直進して裏に音の影ができる。※考え方をつかむための模式図。
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音の基本:距離減衰・回折・残響時間

  • 距離減衰:自由音場で無指向性の点音源からの距離が2倍になると、音圧レベルは6dB低下します。「3dB低下」とするのは誤りです(例:10mで63dBなら20mで57dB)。
  • 回折:音波が障害物の背後に回り込む現象。波長の長い低い周波数(低音)ほど回折しやすく、高い周波数(高音)は直進しやすい。「高い音ほど回り込む」は誤りです。
  • 残響時間:音源が停止してから音圧レベルが60dB減衰するのに要する時間。室の仕上げが同じなら、室容積が大きいほど残響時間は長くなります。
  • 音波の性質:音波は媒質粒子の振動方向と伝搬方向が等しい縦波。音速は気温が高いほど速くなります。人が聞き取れる周波数は約20Hz〜20kHzです。

遮音:透過損失と質量則

壁がどれだけ音を通さないかを表すのが透過損失で、大きいほど遮音性能が高くなります。

単層壁では質量則が成り立ちます。壁の面密度が大きい(重い・厚い)ほど、また同じ面密度なら周波数が高いほど、透過損失は大きくなります。したがって「透過損失は高音域より低音域のほうが大きい」は誤りで、低音域のほうが通しやすい(遮りにくい)のが実際です。低い音ほど遮音しにくい、と覚えます。

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吸音:多孔質・板振動・共鳴

吸音率は、壁面に入射した音のエネルギーに対する、反射されなかった音(吸収された音と透過した音)のエネルギーの割合です。吸音のしくみは3タイプあります。

  • 多孔質型(グラスウール等):高音域をよく吸収する。剛壁との間に空気層を設けると、低音域の吸音率も上がる。
  • 板(膜)振動型:合板やせっこうボードと剛壁の間に空気層があると、共振周波数に近い低音域をよく吸収する。
  • 共鳴器型:穴あきボードなど、特定の周波数を吸収する。

音響障害・マスキング・ラウドネス

  • フラッターエコー(鳴き竜):向かい合った平行な壁などで音が多重反射する現象。吸音率が低いと発生しやすい。
  • ロングパスエコー:反射によって音が遅れて聞こえる現象(やまびこのようなもの)。多重反射のフラッターエコーとは別物です。
  • エコー対策:コンサートホールの客席後方部は、エコーを防ぐため吸音する(反射板は前方に置き、音を客席へ届ける)。
  • マスキング効果:ある音が別の音で聞き取りにくくなる現象。両者の周波数が近いほど影響が大きい
  • ラウドネス:主観的な音の大小。音圧レベルが同じでも、100Hzより1,000Hzの音のほうが大きく感じます

混同しやすい用語の整理

回折:低い音 と 高い音

回り込みやすいのは低い音です。

低い周波数(低音)は波長が長く、障害物の背後へ回り込みやすい(回折しやすい)

高い周波数(高音)は波長が短く、直進しやすいので裏に音の影ができます。

フラッターエコー と ロングパスエコー

起こり方が違います。

フラッターエコーは、平行な壁での多重反射(鳴き竜)。

ロングパスエコーは、反射で遅れて聞こえる現象。多重反射をロングパスエコーと呼ぶのは誤りです。

過去問でどう問われたか

音は、1級ではNo.3・No.8、2級でも毎年のように出ます。引っかけは3つのパターンです。

  • 回折の向き……「高い周波数ほど回り込みやすい」とする。正しくは低い周波数ほど。最頻出。
  • 数値のすり替え……距離2倍で「3dB低下」とする(正しくは6dB)。透過損失を「低音域のほうが大きい」とする(正しくは高音域)。
  • 用語のすり替え……平行壁の多重反射を「ロングパスエコー」とする(正しくはフラッターエコー)。客席後方に「反射板」を置くとする(正しくは吸音)。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和6年 No.8 点音源からの距離2倍で「3dB低下」とした → 6dB低下 ←②数値
1級 令和4年 No.3 回折を「高い周波数のほうが回り込みやすい」とした → 低い周波数ほど ←①回折
1級 令和2年 No.3 回折を「高い周波数のほうが回り込みやすい」とした → 低い周波数ほど ←①回折
1級 平成28年 No.3 透過損失を「高音域より低音域のほうが大きい」とした → 高音域のほうが大きい(質量則) ←②数値
2級 令和7年 No.6 「周波数の高い音のほうが障壁の裏へ回り込みやすい」とした → 低い音ほど ←①回折
2級 令和6年前期 No.6 客席後方部にエコー防止で「反射板を設置」とした → 後方は吸音 ←③用語

安定して問われるのは回折は低い周波数(低音)ほど回り込みやすい、距離2倍で6dB低下、透過損失は高音域ほど大きい、平行壁の多重反射はフラッターエコーです。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

音の回折は、高い音と低い音のどちらが起こりやすいか。

低い音(低い周波数)です。波長が長いほど障害物の背後へ回り込みやすくなります。「高い音ほど回り込む」とするのは誤りで、これが最頻出の引っかけです。

Q.

点音源からの距離が2倍になると、音圧レベルはどれだけ低下するか。

6dB低下します。「3dB低下」とするのは誤りです(例:10mで63dBなら20mで57dB)。

Q.

単層壁の透過損失は、低音域と高音域のどちらが大きいか。

高音域のほうが大きくなります(質量則)。壁が重く・厚いほど、また周波数が高いほど透過損失は大きく、低い音ほど遮りにくくなります。

Q.

平行な壁で音が多重反射する現象を何というか。

フラッターエコー(鳴き竜)です。反射で遅れて聞こえるロングパスエコーとは別物で、多重反射をロングパスエコーと呼ぶのは誤りです。

まとめ

  • 回折は波長の長い低い音ほど起こりやすい(高い音は直進)。最頻出の引っかけ。
  • 点音源からの距離が2倍で音圧レベルは6dB低下。残響時間は60dB減衰する時間で、室容積が大きいほど長い。
  • 透過損失は重く・厚く・周波数が高いほど大きい(質量則)。低い音ほど遮りにくい。
  • 吸音率=反射されなかった音の割合。多孔質は高音、板+空気層は低音を吸音。
  • 平行壁の多重反射はフラッターエコー。マスキングは周波数が近いほど大、ラウドネスは1,000Hzが100Hzより大きく感じる。

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  • 建築環境工学(音響)の解説:音波は縦波、音速は気温が高いほど速い。回折は波長の長い低い周波数ほど起こりやすい。自由音場の点音源では距離が2倍になると音圧レベルは6dB低下。残響時間は音源停止後に音圧レベルが60dB減衰する時間で、室容積が大きいほど長い
  • 遮音・吸音の解説(質量則):単層壁の透過損失は面密度が大きいほど、また同じ面密度なら周波数が高いほど大きい。吸音率は入射音のエネルギーに対する反射されなかった音(吸収+透過)の割合。多孔質材は高音域、板+空気層は低音域を吸音
  • 音響障害の用語(日本建設業連合会 音環境専門部会ほか):フラッターエコーは平行面の多重反射(鳴き竜)、ロングパスエコーは反射により遅れて聞こえる現象。マスキング効果は周波数が近いほど大きい
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級・2級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(音の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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