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換気とは?必要換気量・中性帯・自然換気の考え方【過去問頻出の引っかけ】

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けんせつる

けんせつる

必要換気量って、部屋が広いほど大きくなるんだっけ?

「換気経路は短いほうがいい」って、なんか正しそうに聞こえるけど……

この記事の要点

必要換気量は、汚染質の発生量を「許容濃度-外気濃度」で割って求める。部屋の広さ(室容積)では変わりません。ここが第1のねらいどころです。

換気経路を短くすると、入った空気がすぐ出てしまい効率は落ちます(ショートサーキット)。「短いほうがよい」は誤り。1級で3回出た最頻出の引っかけです。

自然換気は、機械換気の種類(第1〜3種)とセットで換気設備の3種類にもまとめています。

換気とは、室内の汚れた空気を外の新鮮な空気と入れ替えることです。目的は、二酸化炭素・一酸化炭素・水蒸気・粉じん・においなどをためないことにあります。

試験(1級・2級の第一次検定 No.1付近)でねらわれるのは、換気「量」の考え方と、自然換気の仕組みです。まず全体像を、自然換気の図で押さえます。

温度差による自然換気(重力換気)の模式図。暖かい室内では、下部の開口部から外気が流入し、上部の開口部から室内空気が流出する。室内外の圧力差がゼロになる高さを中性帯といい、上下開口部の大きさが違うと中性帯は開口部の大きい方に近づく。換気量は上下開口部の高低差の平方根に比例して大きくなる。
温度差換気(重力換気)。下から入り上から出る。圧力差ゼロの高さが中性帯で、開口部の大きい方に近づく。※考え方をつかむための模式図。
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必要換気量は「室の広さ」では変わらない

最初のねらいどころが、必要換気量の求め方です。

必要換気量は、単位時間あたりに入れ替える必要のある空気の量で、次のように求めます。

必要換気量 = 室内の汚染質発生量 ÷(許容濃度 - 外気の濃度)

ここで大事なのは、式に室容積(部屋の広さ)が入っていないことです。汚染質の発生量が同じなら、部屋が大きくても小さくても必要換気量は変わりません。「大きい部屋ほど必要換気量が増える」とする肢は誤りです。

在室者の呼吸を基準にする場合、成人1人あたりの必要換気量は、二酸化炭素濃度を基にして約30m³/hとされます。このときの許容二酸化炭素濃度は0.1%(1,000ppm)を用います。1%(10,000ppm)とするのは誤りで、10倍ゆるくなってしまいます。

混同しやすいのが換気回数です。こちらは1時間に室内の空気が何回入れ替わるかで、換気回数 = 換気量 ÷ 室容積で求めます。換気量が一定なら、室容積が大きいほど換気回数は少なく、小さいほど多くなります。必要換気量(室容積によらない)と換気回数(室容積で割る)は、式が別物です。

自然換気:温度差換気と風力換気

機械を使わない自然換気には、温度差による換気(重力換気)風による換気(風力換気)の2つがあります。ここは出題が濃い部分です。

温度差換気は、室内外の空気の密度差(温度差)で生じます。上の図のように下から入り上から出ます。換気量は、上下の開口部の高低差の平方根に比例して大きくなります。「高低差に比例」「高低差に反比例」とする肢は誤りです(高低差が大きいほど換気量は増えますが、増え方は平方根)。

中性帯は、室内外の圧力差がゼロになる垂直方向の位置です。ここに開口部を設けても、換気はほとんど起こりません。上下の開口部の大きさが違うときは、中性帯は開口面積の大きい方に近づきます

風力換気は、建物の風上側と風下側にできる圧力差で生じます。風圧力は風速の2乗に比例し、換気量は風上側と風下側の風圧係数の差の平方根に比例します。

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換気効率とショートサーキット

1級で3回問われた、この分野いちばんの引っかけです。

給気口から排気口までの換気経路を「短く」すると、換気効率は良くなるのではなく悪くなります。入ってきた新鮮な空気が、部屋の中を巡らずにそのまま排気口へ抜けてしまうからです。これをショートサーキットといい、給気口と排気口が近いほど起きやすくなります。効率を上げたいなら、むしろ給気口と排気口は離して、空気が室内を通る経路をつくります。

効率に関わる用語も2つ押さえます。

  • 全熱交換器:排気と給気の間で熱(と湿気)をやりとりする装置。冷暖房を行う部屋の換気に使うと、換気による熱損失や熱取得を軽減できます。
  • 置換換気:低い位置からゆっくり給気し、汚れた空気を上へ押し上げて排気する方式。室内全体をかき混ぜる全般換気に比べ、換気効率に優れます

室内空気環境の基準値(濃度・気流)

中央管理方式の空気調和設備などで管理する、室内空気の基準値です。数値のすり替えが出ます。

項目 基準値
一酸化炭素(CO) 10ppm以下(100ppm以下とするのは誤り)
二酸化炭素(CO₂) 0.1%(1,000ppm)以下(1.0%とするのは誤り)
気流 0.5m/s以下
相対湿度 40%以上70%以下
浮遊粉じんの量 0.15mg/m³以下

いちばん出るのは一酸化炭素の10ppm二酸化炭素の0.1%です。CO2は「1.0%」、COは「100ppm」と、いずれも桁をずらして誤りをつくってきます。

機械換気の第1〜3種(負圧・正圧に注意)

機械換気は、送風機をどこに置くかで3種類に分かれます。ここは換気設備の3種類で詳しく解説していますが、過去問で出る要点だけ先に。

  • 第1種換気:給気・排気の両方に送風機。もっとも確実で、居室や機械室などに使う。
  • 第2種換気:給気側だけに送風機。室内が正圧になり、外からの汚染空気が入りにくい。手術室・クリーンルーム向き。
  • 第3種換気:排気側だけに送風機(給気は自然給気)。室内が負圧になり、においや湿気を外へ引く。浴室・便所に使う。

引っかけは、「第3種は室内を正圧に保つ」という肢です。第3種は排気機だけなので室内は負圧です。正圧になるのは給気機だけの第2種のほうです。

混同しやすい用語の整理

必要換気量 と 換気回数

式が別物です。

必要換気量は、汚染質の発生量を許容濃度と外気濃度の差で割ったもの。室容積では変わりません

換気回数は、換気量を室容積で割ったもの。室容積が大きいほど少なくなります。

温度差換気 と 風力換気

換気量の比例のしかたが違います。

温度差換気は、上下開口部の高低差の平方根に比例します。

風力換気は、風上・風下の風圧係数の差の平方根に比例し、風圧力は風速の2乗に比例します。

過去問でどう問われたか

換気は、1級では平成27年度からNo.1(近年はNo.7)で毎年のように出ています。2級でも頻出です。引っかけは大きく3つのパターンです。

  • ショートサーキット……「換気経路を短くするほうが効率がよい」とする。正しくは短いと効率が落ちる。1級で3回。
  • 自然換気の比例関係……温度差換気の換気量を「高低差に比例/反比例」とする(正しくは平方根に比例)。中性帯を「小さい方に近づく」とする(正しくは大きい方)。
  • 数値・向きのすり替え……CO「100ppm」(正しくは10ppm)、CO2「1.0%」(正しくは0.1%)、必要換気量が「室容積で変わる」、第3種が「正圧」。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和7年 No.7 必要換気量の式(汚染質発生量÷(許容濃度-外気濃度))・温度差換気は高低差の平方根に比例 ←②比例
1級 令和6年 No.7 温度差換気の換気量を「高低差に反比例」とした → 高低差が大きいほど増える ←②比例
1級 令和4年 No.1 「換気経路を短くするほうがよい」とした → ショートサーキットで効率低下 ←①効率
1級 令和3年 No.1 中央管理方式のCOを「100ppm以下」とした → 10ppm以下 ←③数値
1級 令和元年 No.1 室内のCO2を「1.0%以下」とした → 0.1%以下 ←③数値
2級 令和6年 No.5 第3種機械換気を「室内を正圧に保つ」とした → 第3種は負圧 ←③向き

安定して問われるのは換気経路を短くすると効率が落ちる(ショートサーキット)、必要換気量は室容積によらない、温度差換気は高低差の平方根に比例、中性帯は開口部の大きい方、CO10ppm・CO2 0.1%です。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

必要換気量は、同じ汚染質発生量でも部屋が大きいほど増えるか。

増えません。必要換気量は「汚染質発生量÷(許容濃度-外気濃度)」で、室容積が式に入らないため、部屋の大小では変わりません。室容積で割るのは換気回数のほうで、こちらは室容積が大きいほど少なくなります。

Q.

給気口から排気口までの換気経路は、短いほうが効率がよいか。

悪くなります。経路が短いと新鮮な空気が室内を巡らずに抜けてしまい(ショートサーキット)、換気効率が落ちます。給気口と排気口は離して、空気が室内を通る経路をつくります。

Q.

温度差による自然換気で、上下開口部の大きさが違うと中性帯はどちらに寄るか。

開口面積の大きい方に近づきます。中性帯は室内外の圧力差がゼロになる高さで、ここに開口部を設けても換気はほとんど起こりません。換気量は上下開口部の高低差の平方根に比例します。

Q.

第3種機械換気方式は、室内を正圧・負圧のどちらに保つか。

負圧です。第3種は排気側だけに送風機を置き自然給気なので、室内は負圧になり、においや湿気を外へ引きます。浴室・便所向きです。正圧になるのは給気側だけの第2種です。

まとめ

  • 必要換気量=汚染質発生量÷(許容濃度-外気濃度)。室容積では変わらない。成人1人あたり約30m³/h(CO2 0.1%基準)。
  • 換気回数=換気量÷室容積。室容積が大きいほど換気回数は少ない。
  • 温度差換気の換気量は上下開口部の高低差の平方根に比例。中性帯は開口部の大きい方に近づく。
  • 風力換気は風圧係数の差の平方根に比例。風圧力は風速の2乗に比例。
  • 換気経路を短くするとショートサーキットで効率低下。全熱交換器は熱損失・熱取得を軽減。置換換気は全般換気より効率がよい。
  • CO 10ppm以下・CO2 0.1%以下。第3種は負圧(浴室・便所)、第2種は正圧(クリーンルーム)。

> 機械換気の第1〜3種の使い分けは換気設備の3種類を確認する
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参考資料

  • 建築基準法施行令(中央管理方式の空気調和設備等の空気環境の基準):浮遊粉じんの量0.15mg/m³以下、一酸化炭素の含有率10ppm以下、二酸化炭素の含有率0.1%(1,000ppm)以下、相対湿度40%以上70%以下、気流0.5m/s以下 ※建築物衛生法(ビル管法)では令和4年から一酸化炭素の基準を6ppm以下に改正
  • 建築環境工学の解説(必要換気量=汚染質発生量÷(許容濃度-外気濃度)で室容積によらない、換気回数=換気量÷室容積、成人1人あたり必要換気量約30m³/h、温度差換気の換気量は上下開口部の高低差の平方根に比例、中性帯は開口面積の大きい方に近づく、風圧力は風速の2乗に比例)
  • 換気設備の解説(第1種=給排気とも機械・第2種=給気機で正圧・第3種=排気機で負圧、全熱交換器・置換換気、ショートサーキット)
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級・2級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(換気の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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