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日照・日射・日影とは?可照時間・ルーバー・隣棟間隔を過去問で整理

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けんせつる

けんせつる

南向きの壁に日が当たる時間って、がいちばん長いんじゃないの?

ルーバーは、横向きと縦向きでどっちがどっち……?

この記事の要点

南面の垂直壁面の可照時間は、太陽高度の高い夏至が最も短く、冬至が最も長い。「夏が長い」と思い込むと外します。最大の引っかけです。

水平ルーバーは南面、縦(垂直)ルーバーは東西面の日射遮蔽に効きます。この2つを入れ替えてきます。

昼光率や全天空照度は採光及び照明、音はにまとめています。

日照は太陽の光としての効果、日射は太陽の熱としての効果を指し、日影は建物などがつくる影のことです。試験(1級はNo.1〜2、2級でも頻出)でねらわれるのは、季節による可照時間の違いと、日射を遮る手法です。まず可照時間を図で押さえます。

太陽の通り道と南面の可照時間を表す模式図。北緯35度で、夏至は太陽の南中高度が約78度と高く、朝夕は北寄りから昇るため南向きの垂直壁に日が当たる時間は短い。春分・秋分は南中高度約55度。冬至は南中高度約31度と低く、太陽が一日中南寄りを通るため南向きの垂直壁に日が当たる時間が最も長い。南面垂直壁の可照時間は冬至が最長、夏至が最短。
太陽高度が高い夏至は南面に当たる時間が短く、低い冬至が最も長い。南面垂直壁の可照時間は冬至>春秋分>夏至。※考え方をつかむための模式図。
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可照時間と日照時間の違い

まず用語を区別します。ここを入れ替える肢が出ます。

  • 可照時間日の出から日没までの、理論上日が照りうる時間。「日の出から日没までの時間を日照時間という」とするのは誤りで、それは可照時間です。
  • 日照時間:雲や地形の影響を除いた、実際に日が照った時間。ふつう可照時間より短くなります。

そして最大の引っかけが、南面の垂直壁面の可照時間は、夏至が最も短く、冬至が最も長いことです。夏至は太陽高度が高く(北緯35°で南中高度約78°)、朝夕は北寄りから昇るため、南向きの壁に日が当たる時間はかえって短くなります。逆に冬至は太陽が低く一日中南寄りを通るので、南面に当たる時間が最も長くなります。「南面の可照時間は夏至が長い」は誤りです。

日射を遮る:水平ルーバーと縦ルーバー

日射遮蔽の手法も、向きの入れ替えでねらわれます。

  • 水平ルーバー:太陽高度が高い南面の日射を遮るのに効果があります。
  • 縦(垂直)ルーバー:太陽高度が低い朝夕の東西面の日射を遮るのに効果があります。
  • ライトシェルフ:窓の中間に取り付けた庇で、直射日光を遮りつつ、庇の上部で反射させた自然光を室内の奥まで取り入れる装置です。

「水平ルーバーは東西面、縦ルーバーは南面」と逆にする肢が誤りです。高い太陽(南)には水平、低い太陽(東西)には縦、と覚えます。

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日影と隣棟間隔

  • 終日日影・永久日影:一日中影になる部分が終日日影。夏至に終日日影となる部分は、一年を通して直射日光が当たらない永久日影です。
  • 等時間日影線:建物によって影になる時間が等しい点を結んだ線です。
  • 日影規制:中高層建築物が生じさせる、冬至日の日影の時間を制限するものです。
  • 隣棟間隔:同じ日照時間を確保するには、緯度が高くなるほど南北の隣棟間隔を大きくとる必要があります(太陽高度が低いため)。「緯度が高いほど間隔を小さく」は誤りです。
  • 建物の幅:高さが同じなら、東西に幅が広い建物ほど日影の影響範囲が大きくなります。

日射量と全天日射

  • 日射の種類:太陽から直接届く直達日射と、大気で散乱した天空日射に大別され、両者を合計したものが全天日射です。
  • 方位・季節と日射量:北緯35°付近の終日快晴で、夏至の終日日射量は南向き鉛直面より水平面のほうが大きくなります(夏は太陽が高いため)。春分では、南向き鉛直面のほうが東向き鉛直面より大きくなります。
  • 昼光率:昼光率は全天空照度に対する天空光による照度の比で、直射日光は含みません採光及び照明)。

混同しやすい用語の整理

可照時間 と 日照時間

理論値か実測かが違います。

可照時間は、日の出から日没までの理論上日が照りうる時間。

日照時間は、雲や地形の影響を除いた実際に日が照った時間。「日の出から日没を日照時間」とするのは誤りです。

水平ルーバー と 縦ルーバー

効く方位が違います。

水平ルーバーは、太陽高度が高い南面に効く。

縦(垂直)ルーバーは、太陽高度が低い東西面に効く。逆にするのは誤りです。

過去問でどう問われたか

日照・日射は、1級ではNo.1〜2、2級でも毎年のように出ます。引っかけは3つのパターンです。

  • 可照時間の季節……南面の可照時間を「夏至が長い(春分より夏至が長い)」とする。正しくは夏至が最短。最頻出。
  • ルーバーの向き……水平ルーバーを東西面、縦ルーバーを南面とする。正しくは水平=南、縦=東西。
  • 用語・数値のすり替え……可照時間を「日照時間」とする、緯度が高いほど隣棟間隔を「小さく」とする、昼光率に「直射日光を含む」とする。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
1級 令和7年 No.1 「緯度が高いほど隣棟間隔比を小さくする」とした → 大きくする ←③数値
1級 令和5年 No.1 「水平ルーバーは東西面、縦ルーバーは南面」とした → 水平=南、縦=東西 ←②ルーバー
1級 令和2年 No.2 「昼光率は直射日光による照度を含む」とした → 直射日光は含まない ←③用語
1級 平成30年 No.2 「水平ルーバーは西日、縦ルーバーは夏季の南面」とした → 水平=南、縦=東西 ←②ルーバー
1級 平成27年 No.2 「南面の可照時間は春分より夏至のほうが長い」とした → 夏至のほうが短い ←①可照時間
2級 令和6年前期 No.1 「日の出から日没までの時間を日照時間という」とした → それは可照時間 ←③用語

安定して問われるのは南面垂直壁の可照時間は夏至が最短・冬至が最長、水平ルーバーは南面・縦ルーバーは東西面、可照時間と日照時間は別、緯度が高いほど隣棟間隔は大きくです。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

南面の垂直壁面の可照時間は、夏至と冬至のどちらが長いか。

冬至のほうが長く、夏至が最も短くなります。夏至は太陽高度が高く、朝夕は北寄りから昇るため南面に当たる時間が短く、冬至は太陽が低く一日中南寄りを通るため南面に長く当たります。「夏至が長い」は誤りです。

Q.

水平ルーバーと縦ルーバーは、それぞれどの面の日射遮蔽に効くか。

水平ルーバーは太陽高度が高い南面、縦(垂直)ルーバーは太陽高度が低い東西面に効きます。逆にする肢が出ます。

Q.

可照時間と日照時間の違いは何か。

可照時間は日の出から日没までの理論上日が照りうる時間、日照時間は雲や地形の影響を除いた実際に日が照った時間です。「日の出から日没を日照時間」とするのは誤りです。

Q.

同じ日照時間を確保するとき、緯度が高いほど南北の隣棟間隔はどうするか。

大きくとります。緯度が高いほど太陽高度が低く影が長くなるため、隣棟間隔を広げる必要があります。「小さくする」は誤りです。

まとめ

  • 南面垂直壁の可照時間は、太陽高度が高い夏至が最短、冬至が最長。最頻出の引っかけ。
  • 可照時間は日の出から日没までの理論値、日照時間は実際に日が照った時間。
  • 水平ルーバーは南面、縦ルーバーは東西面。ライトシェルフは反射光を室内の奥へ。
  • 夏至に終日日影となる部分は永久日影。日影規制は冬至日の日影時間を制限。緯度が高いほど隣棟間隔は大きく。
  • 全天日射=直達日射+天空日射。夏至の終日日射量は南向き鉛直面より水平面が大きい。

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  • 建築環境工学(日照・日射・日影)の解説:北緯35°の南中高度は夏至約78°・春秋分約55°・冬至約31°。南面の垂直壁面の可照時間は太陽高度の高い夏至が最も短く、冬至が最も長い。可照時間は日の出から日没までの理論上の時間、日照時間は実際に日が照った時間(可照時間より短い)
  • 日射遮蔽の解説:太陽高度が高い南面には水平ルーバー、太陽高度が低い東西面には縦(垂直)ルーバーが有効。ライトシェルフは反射光を室内の奥へ導く
  • 日影・隣棟間隔の解説:夏至に終日日影となる部分は永久日影。日影規制は冬至日の日影時間を制限。同じ日照時間の確保には緯度が高いほど隣棟間隔を大きくとる。全天日射=直達日射+天空日射
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級・2級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(日照及び日射の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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