けんせつる
「空調ダクトの横走り配管って勾配が必要なの?吊りボルトの間隔や漏気試験の確認ポイントを知りたい。」
この記事の要点
空調設備のダクト工事は天井内に施工されることが多く、竣工後に確認・修正が困難です。施工管理では次の3点が特に重要です。
ダクトとは、空調設備(冷暖房・換気)の空気を搬送するための通路(管路)です。建物の天井内・壁内を通り、各部屋の吹出し口・吸込み口に接続されます。
ダクトの材料は主に亜鉛鉄板(JIS G 3302・溶融亜鉛めっき鋼板)です。断熱材(グラスウール保温材)で覆われることが多く、省エネ性の確保と結露防止のために施工されます。
ザックリ言えば、ダクトは「建物の呼吸器系」とも言えるものです。一度天井内に隠れてしまうと修正が大変なので、施工中の確認が重要ですね。
冷房時に冷たい空気を搬送するダクトでは、ダクト外面に結露が生じることがあります。この結露水がダクト内に入り込むと、カビ・腐食・水漏れの原因になります。
そのため、横走りダクトには1/100以上の下り勾配を設けて、結露水がドレン排水口に向かって流れるようにします(空気調和・衛生工学会規格 SHASE-S 009)。
施工管理では、ダクトの吊り高さ(レベル)を確認することで勾配が保たれているかを確認します。天井内でのレベル調整は吊りボルトのナット位置で行うので、施工前に高さの設計値を確認しておくのが重要ですね。
ダクトは天井スラブから吊りボルト(全ネジボルト)で支持します。吊りボルトの支持間隔が広すぎるとダクトがたわんで勾配が確保できなくなり、振動の原因にもなります。
SHASE-S 009(空調設備の施工規準)では、横走りダクトの吊り支持間隔は一般部で3,640mm以内を基本としています。なお、重量ダクト・大断面ダクトでは間隔を短くする場合があります。
施工管理の確認ポイントは次のとおりです。
アンカーの引抜き強度は施工後に確認できなくなるので、施工中の確認が唯一の手段となるでしょう。
ダクトの継目の接続方法は主に次の2種類です。
| 接続方法 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| フランジ接続 | 板金加工したフランジ同士をボルト・ナットで締め付ける。気密性が高い。 | 角ダクト(長方形断面)の主流 |
| スリップオン(共板フランジ) | ダクト本体を差し込んでクリップで固定する。工期が短い。 | 角ダクトで多用 |
| スパイラルダクト接続 | 差し込み部分をビス止め・テープ巻きで固定。丸ダクト。 | 排気系・換気系ダクト |
ダクト施工後には漏気試験(気密試験)を実施します。ダクト内を加圧してフランジ部分・ジョイント部分からの空気漏えいを確認する試験です。
漏えいが見つかった場合はシーリングテープや補修で対処してから再試験します。
漏気試験は天井内が閉じられると実施できないため、天井下地施工前に行う必要がありますね。
外気に近い場所を通るダクトや冷温水管には断熱材(グラスウール保温材・ポリエチレン保温材等)を巻く必要があります。断熱施工の確認ポイントは次のとおりです。
混同しやすい用語の整理
換気ダクト:外気の取入れ・排気のためのダクト。建基法の換気設備(24時間換気)に対応。
空調ダクト:冷暖房・調湿した空気を各部屋に届けるダクト。断熱処理が必要。
排煙ダクト:火災時の煙を排出するためのダクト。防火ダンパー・不燃材料が必要。
法的要求が最も厳しい。
どちらもほぼ同じ意味で使われる。ダクト内部に空気圧をかけて、継手・フランジ部からの空気漏れを確認する試験のこと。
Q1. 空調設備の横走りダクトに設ける下り勾配の最小値はいくらか。
A. 1/100以上(SHASE-S 009 空気調和・衛生工学会規格)。結露水が逆流しないよう排水口方向に流す。
Q2. ダクトの漏気試験はいつ実施するのか。
A. 天井下地施工前(天井が閉じられる前)に実施する。天井内に隠れた後では確認・補修が困難なため。
Q3. 空調ダクト・換気ダクト・排煙ダクトの中で、法的要求(不燃材料等の仕様要件)が最も厳しいのはどれか。
A. 排煙ダクト。火災時に機能することが求められるため、不燃材料または耐火仕様が義務付けられている。
設備工事の施工管理は施工管理の視点でまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
空調ダクト工事で最もトラブルになるのは「天井内での他工種との干渉」です。空調ダクト・換気ダクト・排煙ダクト・スプリンクラー配管・照明器具・梁がすべて同じ天井内に収まる必要があり、施工前の総合図(コーディネーション図)での調整が不可欠です。
また、消防用の排煙ダクトは不燃材料または耐火仕様が必要で、一般換気ダクトとは別のルートで施工しなければなりません。施工管理者はダクトの種別(空調・換気・排煙)を確認し、それぞれの仕様を混在させないよう注意が必要です。