けんせつる
「防火ダンパーって何℃で閉まるの?防煙ダンパーとの違いは?
どこに設置しないといけないの?」
この記事の要点
防火ダンパー(FD:Fire Damper)は、空調・換気ダクトが防火区画を貫通する箇所に設置する火災時の延焼防止装置です。施工管理では次の3点が重要です。
空調・換気ダクトは建物の天井・壁を貫通して各部屋を結んでいます。防火区画(火災時に火・煙の延焼を防ぐための区画壁・床)をダクトが貫通すると、火災時にダクトが「延焼の通路」になってしまいます。
防火ダンパー(FD)は、火災の熱でヒューズが溶断するとダクト内の羽根(ダンパー板)が閉鎖し、火の延焼路をふさぐ装置です。ザックリ言えば「ダクトの中の防火扉」ですね。
設置根拠は建築基準法施行令第112条(防火区画の規定)と、これに基づく国土交通省告示です。
| 種類 | 略称 | 閉鎖の仕組み | 溶断温度・動作温度 | 主な設置場所 |
|---|---|---|---|---|
| 防火ダンパー | FD | 温度ヒューズが溶断すると羽根が閉鎖する | 72℃(一般)、120℃(高温部位) | 一般の空調・換気ダクトの防火区画貫通部 |
| 防煙ダンパー | SD | 煙感知器の信号を受けて電動で閉鎖する | 煙感知器連動(温度による動作なし) | 排煙区画のダクト貫通部 |
| 防火防煙ダンパー | SFD | 温度ヒューズ溶断または煙感知器信号で閉鎖 | 72℃または煙感知器連動 | 防火区画かつ防煙区画を兼ねる貫通部 |
厨房排気ダクトは常時高温(100℃近く)になることがあるため、72℃用の温度ヒューズでは誤作動してしまいます。そのため厨房排気専用のダクトには120℃用の防火ダンパーを使用します。
設計図書に溶断温度の指定があるので、施工管理で取り違えがないか確認すべきでしょう。
防火ダンパーの設置が義務付けられるのは、次の区画をダクトが貫通する場合です(建基令112条)。
施工管理では、設計図書(建築図・設備図)の防火区画図とダクトルートを照合し、貫通箇所に全てダンパーが設置されているかを確認します。設置漏れが1箇所あるだけで防火区画の性能が全て失われます。
各貫通箇所を設計図書と照合して確認するのが基本ですね。
防火ダンパーの施工管理では、次の点を天井を閉じる前に確認します。
混同しやすい用語の整理
FD(Fire Damper):温度ヒューズが溶断(72℃または120℃)すると閉鎖する。火の延焼を防ぐ。
SD(Smoke Damper):煙感知器の信号で電動閉鎖する。煙の伝播を防ぐ。
電源・制御線が必要。
SFD(Smoke-Fire Damper):両方の機能を持つ。
防火区画かつ防煙区画を兼ねる箇所に使用する。
FD:ダクト(空洞の管)が区画を貫通する場合の対応。ダンパーで空気の流れを遮断する。
耐火充填:電線管・給排水管(中身が詰まっている管)が区画を貫通する場合の対応。隙間を耐火材で充填する。
→ 「貫通物の種類」によって対応が異なる。
Q1. 一般の空調・換気ダクトに設置する防火ダンパー(FD)の温度ヒューズの溶断温度はいくらか。
A. 72℃。ただし厨房排気等の高温部位には120℃用を使用する。
Q2. 厨房の排気ダクトに72℃用でなく120℃用の防火ダンパーを使用する理由は何か。
A. 厨房排気は調理時に100℃近くになる場合があり、72℃用では火災でなくても温度ヒューズが溶断して誤作動するため。
Q3. 防火ダンパーの近傍に天井点検口を設置しなければならない理由は何か。
A. 竣工後の消防定期点検でダンパーの動作確認が義務付けられており、点検口がないとダンパーに近づいて確認・操作ができないため。
Q4. 防煙ダンパー(SD)と防火ダンパー(FD)の動作の違いは何か。
A. FD:温度ヒューズの溶断(72℃等)で機械的に閉鎖する。電源不要。
SDは煙感知器の信号(電気信号)で電動閉鎖する。電源・制御配線が必要。
設備工事の施工管理は施工管理の視点でまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
防火ダンパーで最も多いトラブルは「設置後の点検口が確保されていない」ことです。天井を張ってから「ダンパーのそばに点検口がない」と発覚すると、天井を開口するのか点検口を追加設置するのかという工事が必要になります。
また、竣工後の消防定期点検(年1回)でダンパーの動作確認が求められます。点検口の位置はダンパーの真下・または真横が理想で、設備施工図に点検口の位置を明記して他工種と調整しておくことが重要です。
設計担当者・設備業者・内装業者の三者間で「点検口のとりまとめ」を誰が行うか着工前に決めておきましょう。