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給排水設備とは?トラップと通気管の役割・封水深・給水方式の違い

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けんせつる

けんせつる

トラップって、空気を通すためのものだっけ?

直結直圧方式と直結増圧方式も、どっちがどっちだか……

この記事の要点

トラップは封水で臭気を防ぎ、通気管は空気を通して封水切れを防ぐ。役割が逆で、これを入れ替える引っかけが最頻出です。

数値は2つ。排水トラップの封水深は5〜10cm給水タンクのマンホールは直径60cm以上です。

給水方式は給水方式の種類、封水深の根拠は排水トラップ、桝は屋外排水工事にまとめています。

建物の給排水設備とは、水を建物内に供給する給水設備と、使った水や雨水を建物外へ流す排水設備をまとめた呼び方です。

試験でねらわれるのは、似た役目の設備を入れ替える引っかけです。まず最頻出のトラップと通気管を図で押さえます。

排水トラップと通気管の役割を比べる模式図。排水トラップはU字の底に封水をため、封水でフタをして臭気・下水ガスの侵入を防ぐ(封水深5〜10cm)。通気管は空気を通して封水切れ(破封)を防ぎ、排水を円滑にする。2つは役割が逆。
トラップは封水でフタをして臭気を防ぎ、通気管は空気を通して封水切れを防ぐ。役割が逆。※関係をつかむための模式図。
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トラップと通気管は役割が逆

この分野の最頻出です。1級・2級とも繰り返し出ます。

トラップ(排水トラップ)は、排水管の途中に封水(水のたまり)をつくり、下水の悪臭やガスが室内へ侵入するのを防ぐものです。水でフタをするイメージです。

通気管は、排水管に空気を通して、サイホン作用などによる封水切れ(破封)を防ぐものです。あわせて排水の流れを円滑にします。

試験は、この2つを入れ替えてきます。「トラップは排水管内の空気を流通させて換気を行うために設ける」は誤り。空気を通す(換気する)のは通気管の役目で、トラップは封水で臭気をふさぐのが役目です。

数値も1つ押さえます。排水トラップの封水深は5〜10cm(阻集器を兼ねるものを除く)です。浅すぎると破封しやすく、深すぎると自浄作用が落ちます(排水トラップ)。

給水方式は「直結直圧」と「直結増圧」を分ける

給水方式でも、似た名前の入れ替えが出ます。

給水方式 仕組み・特徴
水道直結直圧方式 水道本管の圧力でそのまま各所へ給水する。低層の建物向き。圧力の足りない高層には不向き
水道直結増圧方式 水道引込み管に増圧給水装置を直結して、より高い階まで給水する
高置(高架)水槽方式 いったん揚水した水を屋上の水槽にため、重力で各所へ給水する
圧力水槽方式 加圧した空気の圧力で給水する。給水圧力の変動が大きく、停電時は給水できない

試験のねらいは2つです。「増圧給水装置を直結する」のは直結"増圧"方式で、これを直結直圧方式の説明とすると誤り。もう1つ、直結直圧方式は低層向きなので「水圧が高すぎて2階建住宅には採用できない」は誤りです(不向きなのは高層側)。方式ごとの詳細は給水方式の種類にまとめました。

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給水タンクとマンホールの数値

給水タンク(受水槽)にも、覚える数値があります。

  • マンホールの最小内法直径:内部の保守点検を行うために設けるマンホールは、直径60cm以上の円が内接できるものとします。45cmとする肢は誤りです。
  • 6面点検:飲料水用の給水タンクは、外部からタンクの天井・底・周壁の保守点検ができるように設けます(周囲に点検スペースをとる)。
  • タンク容量:給水タンクの容量は、1日の予想給水量をもとに、給水能力や使用時間などを考慮して決めます。
  • ウォーターハンマー対策:給水管内に生じるウォーターハンマー(水撃圧)を吸収するために、エアチャンバーを設けます。

排水方式と桝

  • 合流式と分流式:公共下水道の排水方式には、汚水と雨水を同一系統で流す合流式と、別々の系統で流す分流式があります。
  • 雨水桝と汚水桝:地中埋設の排水管に桝を設けるとき、雨水桝には泥だめを、汚水桝にはインバートを設けます(屋外排水工事)。
  • 中水道:水の有効利用のため、排水を回収・処理再生して、便所洗浄などの雑用水に再利用する水道のことです(飲用ではありません)。

混同しやすい用語の整理

トラップ と 通気管

役割が逆です。

トラップは、封水で臭気・下水ガスをふさぐもの。空気を通すためのものではありません。

通気管は、空気を通して封水切れ(破封)を防ぐもの。あわせて排水を円滑にします。

直結直圧方式 と 直結増圧方式

増圧装置の有無で分かれます。

直結直圧方式は、水道本管の圧力でそのまま給水する低層向きの方式です。

直結増圧方式は、増圧給水装置を直結して高い階まで給水する方式です。「増圧装置を直結」は増圧方式のほうです。

過去問でどう問われたか

給排水設備は、平成28年度から令和にかけて、主に2級で繰り返し問われています。引っかけは3つのパターンです。

  • トラップと通気管の役割の入れ替え……トラップを「空気を流通させて換気するもの」とする。正しくは通気管の役目。
  • 給水方式のすり替え……「増圧給水装置を直結する」を直結直圧方式とする(正しくは直結増圧方式)。直結直圧方式を「高すぎて低層に不向き」とする(正しくは低層向き)。
  • 数値のすり替え……給水タンクのマンホールを直径45cm(正しくは60cm以上)。排水槽の底の勾配を1/100(正しくは1/15〜1/10)。
年度・級・No. 問われ方/引っかけ
2級 平成28年 No.17 トラップは空気を流通させて換気を行うために設けるとした → それは通気管の役目 ←①役割
2級 平成30年 No.17 増圧給水装置を直結する方式を「直結直圧方式」とした → 直結増圧方式 ←②給水方式
2級 令和3年前期 No.17 直結直圧方式は2階建住宅に不向きとした → 低層には適する(不向きは高層) ←②給水方式
1級 平成29年 No.18 給水タンクのマンホール最小内法直径を45cmとした → 60cm以上 ←③数値
1級 令和5年 No.18 排水槽の底の勾配を1/100とした → 1/15〜1/10 ←③数値

安定して問われるのはトラップは封水で臭気を防ぐ(換気は通気管)、封水深5〜10cm、マンホール60cm以上です。各行は該当する過去問解説にリンクしています。

理解度チェック

Q.

排水トラップと通気管は、それぞれ何のためのものか。

トラップは封水で下水の臭気・ガスの侵入を防ぐためのもの、通気管は空気を通して封水切れ(破封)を防ぎ排水を円滑にするためのものです。「トラップで換気する」は誤りで、換気(空気の流通)は通気管の役目です。

Q.

排水トラップの封水深はいくつか。

5〜10cmです(阻集器を兼ねるものを除く)。浅いと破封しやすく、深いと自浄作用が落ちます。

Q.

増圧給水装置を直結する給水方式は何か。

水道直結増圧方式です。水道本管の圧力でそのまま給水するのが直結直圧方式で、こちらは低層向きです。両者を入れ替える肢が出ます。

Q.

給水タンクのマンホールの最小内法直径はいくつか。

直径60cm以上の円が内接できるものとします。45cmとする記述は誤りです。飲料水用タンクは天井・底・周壁を外部から点検できるように設けます。

まとめ

  • トラップは封水で臭気を防ぐ。通気管は空気を通して封水切れ(破封)を防ぐ。役割は逆。
  • 排水トラップの封水深は5〜10cm。給水タンクのマンホールは直径60cm以上。
  • 給水方式:直結直圧=低層向き、直結増圧=増圧装置を直結、高置水槽=重力給水、圧力水槽=停電時は給水不可。
  • 公共下水道は合流式(汚水+雨水)と分流式(別系統)。雨水桝は泥だめ、汚水桝はインバート。
  • ウォーターハンマー対策はエアチャンバー。中水道は雑用水への再利用。

> 給水方式の詳細は給水方式の種類を確認する
> 封水深の根拠は排水トラップを確認する
> 雨水桝・汚水桝は屋外排水工事を確認する

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参考資料

  • 建設省告示第1597号(建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件):給水タンク等のマンホールは直径60cm以上の円が内接できるもの、排水トラップの封水深は5cm以上10cm以下(阻集器を兼ねるものを除く)、給水タンクの天井・底・周壁の保守点検
  • 建築設備の解説(トラップは封水で臭気・下水ガスの侵入を防ぐ、通気管は封水切れ(破封)を防ぎ排水を円滑にする、雨水桝は泥だめ・汚水桝はインバート)
  • 公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)/給水・排水の各方式
  • 一般財団法人 建設業振興基金「1級・2級 建築施工管理技術検定 第一次検定(学科)試験 問題」(給排水設備の出題)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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