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令和7年度 1級建築施工管理技士 No.7を解説、自然換気の効率は風上低位置→室内→風下高位置の流れが最良

けんせつる

けんせつる

換気口の「位置」がなぜそんなに大事なのか、風と熱の2つの力で考えると一気に整理できますよ。

この記事の要点

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.7は、自然換気の換気効率に関する図問題です。正解は選択肢3。風上側の低い位置から給気し、風下側の高い位置から排気する配置が、風圧力と温度差浮力の両方を有効に活かせるため換気効率が最良になります。

令和7年度 1級建築施工管理技士 第一次検定 No.7は、室の断面形状と開口部の位置を組み合わせた自然換気の問題です。

問題文と図は、建設業振興基金が公開している公式PDFで確認できます。

この問題では、左から右に風が吹いているとき、自然換気の換気効率が最も良い開口部の配置を4つの断面図から選びます。

正解:選択肢3

風上側の低い位置に給気口、風下側の高い位置に排気口を設けた配置です。風圧力と温度差(暖かい空気の上昇)が同じ方向に働き、換気効率が最も高くなるわけです。

この問題のポイント

自然換気は、機械を使わずに空気を動かす換気です。この問題を解くには、自然換気を引き起こす2つの力を理解することが先決です。

風圧力(風による換気)は、建物の風上側に正圧(押す力)、風下側に負圧(引く力)が生じることで空気を流す力です。

風上側に開口があると正圧で外気が室内に押し込まれ、風下側に開口があると負圧で室内の空気が吸い出されます。これが「風による換気」の原理なんです。

温度差換気(浮力換気)は、室温が外気温より高い場合に生じます。暖かい空気は密度が低くなるため上昇し、冷たい外気が下から入ってくる流れが発生します。

ザックリ言えば、「風は水平方向の圧力差、熱は上下方向の密度差」が換気を動かす2つのエンジンなんです。各選択肢の断面図は、給気口と排気口の高さと位置の組み合わせが異なります。

選択肢1

風上高位置・風下低位置の組み合わせでは、風圧力は機能しますが温度差と逆向きになります。暖かい空気が上昇しようとしているのに、排気口が低い位置にあるため浮力が活かせません。

風と熱の力が打ち消し合うため、換気効率は最良にはならないわけです。

選択肢2

同じ高さに両方の開口がある配置では、上下の浮力換気が起きにくく、風圧差だけが頼りになります。

暖かい空気の上昇を排気に活かせないため、換気効率は下がります。

選択肢3

これが正解の配置です。風上側の低い位置に給気口、風下側の高い位置に排気口を設けると、2つの力が同じ向きに働きます。

まず風圧力の観点から見ます。風上側に給気口があると、正圧で外気が室内に押し込まれます。風下側に排気口があると、負圧で室内空気が吸い出されます。給気と排気の両方に風が有効に作用するわけです。

次に温度差の観点から見ます。問題文では「室温は外気温より高い」とあります。暖かい室内の空気は上昇しようとする浮力を持ちます。排気口が高い位置にあれば、上昇した暖かい空気は自然に排気されます。給気口が低い位置にあれば、冷たい外気が下から入りやすくなります。

「低い位置から入れて高い位置から出す」という流れは、浮力が生む空気の動きと完全に一致しています。ここは混乱しやすいところですね。

風圧力と浮力が同じ向きに組み合わさるとき、換気量は最大になります。これが選択肢3が正解になる理由なんです。

選択肢4

風下側に給気口・風上側に排気口という配置では、風圧力の向きと逆行するため給気口側が負圧になり、外気が入りにくくなります。

風の流れに逆らう配置なので、換気効率は最良にはなりません。

なお「換気効率」は、換気回数が同じでも空気の入れ替えが効率よく行われているかどうかを示す指標です。給気口から入った外気が室全体を流れて排気口から出ていく流れを作れると、少ない換気量でも効率よく空気が入れ替わります。低い位置から入れて高い位置から出す配置は、室内を斜め上方向に空気が流れるため、室全体をよく通気できるわけです。

けんせつるのひとこと

現場でもよくあるのが「換気口を付けたのに換気が悪い」という話。多くは給気と排気が近い位置に並んでいて、空気が室内をショートカットしているケースです。設計段階で給排気の位置を離す、高低差をつけるという基本は、試験の知識が実務に直結する部分です。

覚え方

この問題には「室温は外気温より高い」という条件が明示されています。この条件が逆だった場合(室温が外気温より低い)は、浮力の向きが逆になります。「室温 > 外気温」なら浮力は上昇方向、「室温 < 外気温」なら浮力は下降方向、とセットで整理しておきましょう。

自然換気の効率最良配置は次の一文で覚えると整理しやすくなります。

風上・低から入れて、風下・高から出す。風と熱が両方味方になる。

「風上=正圧=外気を押し込む」「高い位置=浮力で上昇した空気の出口」という2点を結びつけると、なぜこの配置が最良なのか迷わず判断できます。

一問一答

Q.

室温が外気温より高い室で自然換気効率を最大にするには、給気口と排気口をどう配置するか。

給気口を風上側の低い位置、排気口を風下側の高い位置に設けます。風圧力と温度差浮力の両方が同じ向きに働くためです。

Q.

自然換気を引き起こす2つの力を答えよ。

風圧力(風による正圧・負圧の差)と温度差(室内外の温度差による空気密度の差=浮力)の2つです。

Q.

換気効率が低くなる原因のひとつを答えよ。

給気口と排気口が近い位置にあり、外気が室内をショートカットして排出されてしまうことです。

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出典

  • 一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級建築施工管理技術検定 第一次検定 問題」
けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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