けんせつる
スリーブって何?梁に入れるときに何に注意するの?
この記事の要点
スリーブとは、RC造の梁・スラブ・壁を設備配管が貫通するために、コンクリート打設前に型枠内に設置する筒状の貫通孔用部材です。
施工管理で特に重要なのが梁スリーブの径・位置・間隔の制限と、梁スリーブへの紙チューブ使用禁止です。スリーブは打設後に変更できないため、打設前の全数確認が鉄則です。
スリーブの設置は設備業者が担当しますが、確認責任は施工管理者にあります。
梁のスリーブは構造上の弱点になりやすく、配筋検査と合わせて打設前に必ず確認が必要なんです。
スリーブは、設備の配管・ダクトをコンクリート部材(梁・スラブ・壁)に通すために、コンクリート打設前に型枠の中に設置する筒状の部材です。
打設後のコンクリートはドリルで穴をあける(コア抜き)こともできますが、構造体を傷める原因になります。スリーブを先に設置しておくことで、コンクリートに最初から孔が形成されるわけです。
| スリーブの種類 | 主な材料 | 設置部位 |
|---|---|---|
| 床スリーブ(スラブ縦貫通) | 硬質ポリ塩化ビニル管・鋼管 | 床スラブ |
| 梁スリーブ(梁横貫通) | 硬質ポリ塩化ビニル管・鋼管 | 梁(紙チューブ使用禁止) |
| 壁スリーブ | 硬質ポリ塩化ビニル管・鋼管・合成樹脂管 | 壁 |
ザックリ言えば、「配管の通り道を先に確保しておく部材」です。スリーブがないと後からコア抜きが必要になり、構造体に影響が出るんです。
梁へのスリーブ設置は構造に直接関わるため、制限が最も厳しい部位です。
梁スリーブの径は、梁せい(梁の高さ)の1/3以下でなければなりません(JASS 5)。
例えば、梁せい600mmの梁であれば、スリーブ径は200mm以下が上限になります。
なぜ端部を避けるのかというと、梁端部は曲げモーメントが最大になる箇所であり、ここにスリーブを設置すると梁の断面欠損が応力集中に直結するためです。
スリーブを複数設置する場合、隣り合うスリーブ同士の間隔(スリーブ中心間距離)は、スリーブの平均直径の3倍以上確保します。
例えば、直径150mmと100mmのスリーブが隣り合う場合、平均直径125mmの3倍=375mm以上の中心間距離が必要です。
スリーブは梁の鉄筋を切断した形になるため、スリーブ周辺に補強筋を配置しなければなりません。
補強筋の種類・サイズ・本数は構造設計者が指定します。施工管理者は設計図書(配筋図)に指定された補強筋が正しく配置されているか確認します。
ここが試験でも現場でも最も間違えやすいポイントです。
梁貫通スリーブに紙チューブを使用してはいけません。
紙チューブは軽量で加工しやすい素材ですが、コンクリートの水分で変形・崩壊する可能性があります。梁は構造上重要な部材であり、スリーブ部分の孔形状が変形すると断面欠損が設計と異なってしまうわけです。
梁スリーブには硬質ポリ塩化ビニル管または鋼管を使用します。スラブの床スリーブは紙チューブも使用可能です。
梁貫通スリーブの材料規定(紙チューブ禁止・硬質ポリ塩化ビニル管等の使用)は、公共建築工事標準仕様書(下図)の表6.8.1に定められています。
スラブスリーブは梁スリーブより制限が緩いですが、確認すべき事項があります。
例えば、設備業者がスリーブを設置した後に配筋担当が「邪魔だ」と位置を動かしてしまうケースがあります。スリーブ位置の変更は構造設計者の承認が必要です。施工管理者は打設直前に設計図書と照合して全数確認することが大切です。
混同しやすい用語の整理
スリーブはコンクリート打設前に型枠内に設置する貫通孔用部材(計画的な孔)。コア抜きは硬化後のコンクリートにドリルで後から孔をあける工法(やむを得ない追加処置)です。
スリーブが適切に設置されていればコア抜きは不要です。コア抜きは構造体を傷めるため、できる限り回避します。
梁スリーブは制限が厳しい(径・位置・材料・補強が設計図書で厳格に規定)。スラブスリーブは相対的に制限が緩いが、径・間隔・補強の確認は必要です。
材料の違いが特に重要で、梁には紙チューブ使用禁止・スラブは使用可能という点は試験でも問われます。
梁貫通スリーブの材料として紙チューブ(紙製型枠)を使用することは適当か?
不適当。梁貫通スリーブには硬質ポリ塩化ビニル管または鋼管を使用しなければならない。紙製型枠(紙チューブ)は床スラブへの使用のみ認められている(公共建築工事標準仕様書 表6.8.1)。
(出題例:二級建築士 令和4年学科4 問9)
梁スリーブの径の上限は梁せいのどのくらいか?
梁せいの1/3以下(JASS 5)。梁せい600mmの場合、スリーブ径の上限は200mm以下になる。
複数のスリーブを梁に設置する場合、スリーブ間の中心間距離はどれだけ確保するか?
スリーブの平均直径の3倍以上(中心間距離)。平均直径125mmの場合、中心間距離は375mm以上。
スリーブを打設後にコア抜きで追加する場合、何が問題か?
硬化したコンクリートに後から孔をあけるため、構造体を傷める。設計者の確認と補強計画が必要になり、工程遅延・追加費用が発生する。そのためスリーブは打設前の全数確認が必須。
梁スリーブを端部(柱際)に設置してはいけない理由は?
梁端部は曲げモーメントが最大になる箇所であり、ここにスリーブ(断面欠損)を設置すると応力集中が生じて梁の耐力が著しく低下するため。スリーブはスパン中央1/3の範囲内に設置することが原則。
RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。
> 型枠工事では何を見る?を確認する
> 鉄筋工事では何を確認する?を確認する
参考資料
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和4年版 6.8節 スリーブ(国土交通省)
・JASS 5 鉄筋コンクリート工事(日本建築学会)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
現場で最も多いスリーブのトラブルが「後からコア抜きが発生する」ケースです。
スリーブが漏れた、位置がズレたという理由でコア抜きをすると、その箇所の構造的な保証がなくなります。
コア抜き補修は設計者の確認と補強計画が必要になるため、工程遅延と追加費用が確実に発生します。スリーブは打設前の確認に時間をかけるほど、後のトラブルが減るわけです。
また、紙チューブを梁に使ってしまう事例は今でもゼロではありません。設備業者に「梁の場合は必ず硬質塩ビ管か鋼管」と明示して周知することが、施工管理者としての基本的な役割です。