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けんせつる
構造スリットって何のために入れるの?完全スリットと部分スリットはどう違う?現場で何を確認すればいい?
この記事の要点
構造スリット(耐震スリット)とは、RC造の壁と柱・梁の境界に設ける隙間(縁切り部)です。地震時に壁が柱・梁を拘束して「短柱化」が起きることを防ぐための部材で、構造設計上の必須要素です。
種類は完全スリット(縦スリット)と部分スリット(横スリット)の2種類。施工管理では配筋検査時のスリット材設置確認・コンクリート打設中のずれ確認・脱型後の仕上がり確認が3大チェックポイントです。
RC造の耐震性を左右する重要な部材でありながら、コンクリートに埋まってしまうため脱型後には確認できません。
「打設前に必ず確認する」という意識が、施工管理上もっとも重要です。
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RC造では柱・梁と壁がコンクリートで一体化しています。
地震時、柱は層間変形(水平方向に変形)しようとします。このとき壁が柱に取り付いていると、壁が柱の変形を邪魔して「短い柱」と同じ状態になります。
これが短柱化です。短柱化した柱はせん断力が集中し、ぜい性的(急激に)破壊される危険があります。
そこで、壁と柱・梁の間に意図的に「縁切り」の隙間を設けることで、地震時に壁が柱・梁の変形を拘束しないようにします。
言い換えると、「柱と壁を構造的にわざと切り離すことで、柱を地震から守る」のが構造スリットの目的です。
構造スリットには2種類あり、壁のどの端部に設けるかで分類されます。
| 種類 | 設置位置 | 目的 |
|---|---|---|
| 完全スリット(縦スリット) | 柱に接する壁の両端部(左右) | 壁が柱を水平方向に拘束しないよう縁切りする。短柱化を完全に防ぐ |
| 部分スリット(横スリット) | 梁に接する壁の上部または下部 | 壁が梁を拘束しないよう縁切りする。垂直方向の拘束を緩和する |
どちらのスリットを設けるかは構造設計図(構造図)に明記されており、施工管理者は設計図書で確認してから配筋・型枠工事に臨みます。
ここは混乱しやすいところですね。「縦スリット=柱との縁切り」「横スリット=梁との縁切り」と覚えるといいでしょう。
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スリットの隙間を作るために使う部材がスリット材です。
一般的には発泡ポリスチレン(EPS)などの軟質材が使われます。コンクリートを打設してもスリット材は圧縮されず、隙間(縁切り)を保持します。
スリット材は配筋後・型枠組立時に所定の位置に設置します。
設置後はコンクリートが固まるまで動かないよう、結束線等で固定します。
なお、スリット部分には後からシーリングを施すことが多く、仕上げ工事との取り合いも事前に確認が必要です。
構造スリットに関する施工管理の最重要タイミングは、コンクリート打設前の配筋検査です。
打設後に確認できないため、ここが唯一の現場確認機会です。確認項目は以下のとおりです。
打設中は、バイブレーターの振動でスリット材がずれていないかを目視確認します。
ずれが確認された場合は打設を一時停止し、スリット材を正規位置に戻してから再開します。
脱型後は、スリット部分にコンクリートが回り込んでいないかを確認します。
コンクリートが充填されていれば縁切り効果がなくなるため、是正措置(はつり撤去・再施工)が必要です。
混同しやすい用語の整理
構造スリット:壁と柱・梁の境界に設ける縁切り部材。耐震目的。柱・梁の変形を壁が拘束しないようにする。構造図で指定。
ひび割れ誘発目地:RC壁のコンクリート収縮によるひび割れを、計画的に目地部分に集中させるための目地。壁の一体性は保ちながら、ひび割れの位置を制御するもの。
→ どちらも「壁に意図的に作る溝・切れ目」ですが、目的が根本的に異なります。構造スリットは「縁切り(構造分離)」、ひび割れ誘発目地は「ひび割れ位置の誘導(構造は連続)」です。
構造スリットを設ける目的は何か。
地震時に壁が柱・梁を拘束して短柱化が起きることを防ぐため。壁と柱・梁を構造的に縁切りし、柱の変形能力を確保する。
完全スリット(縦スリット)はどの位置に設けるか。
柱に接する壁の両端部(左右)。壁が柱を水平方向に拘束しないよう縁切りする。
部分スリット(横スリット)はどの位置に設けるか。
梁に接する壁の上部または下部。壁が梁を拘束しないよう縁切りする。
構造スリットの施工管理で最も重要な確認タイミングはいつか。
コンクリート打設前の配筋検査。打設後は確認・修正ができないため、ここが唯一の確認機会。
スリット材として一般的に使用される材料は何か。
発泡ポリスチレン(EPS)などの軟質材。打設時の圧力でも圧縮されず隙間を保持する。
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参考資料
・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省
・JASS 5(鉄筋コンクリート工事)日本建築学会
・建築物の耐震改修の促進に関する法律(建築基準法)
※ この記事の法令確認日:2026年5月
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増し打ち壁・後打ち壁のスリット忘れに注意
現場でよく起きるのが「スリット材を設置するのを忘れた壁が存在する」という見落としです。
特に増し打ち壁・後打ち壁など、主要壁以外の小さな壁でスリットが見落とされやすいです。配筋検査では構造図とスリット指定位置を照合しながら全壁を確認する習慣をつけましょう。1箇所のスリット欠落が耐震性能に直結します。