ゼロから学ぶ建築施工管理

  1. HOME
  2. RC・鉄骨の施工管理
  3. > 構造スリット(耐震スリット)とは?

構造スリット(耐震スリット)とは?施工管理の確認ポイントと完全スリット・部分スリットの違いを整理

本ページはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

けんせつる

けんせつる

構造スリットって何のために入れるの?完全スリットと部分スリットはどう違う?現場で何を確認すればいい?

この記事の要点

構造スリット(耐震スリット)とは、RC造の壁と柱・梁の境界に設ける隙間(縁切り部)です。地震時に壁が柱・梁を拘束して「短柱化」が起きることを防ぐための部材で、構造設計上の必須要素です。

種類は完全スリット(縦スリット)部分スリット(横スリット)の2種類。施工管理では配筋検査時のスリット材設置確認・コンクリート打設中のずれ確認・脱型後の仕上がり確認が3大チェックポイントです。

RC造の耐震性を左右する重要な部材でありながら、コンクリートに埋まってしまうため脱型後には確認できません。

「打設前に必ず確認する」という意識が、施工管理上もっとも重要です。

これから受験する人は受験ガイド、教材選びはおすすめ参考書・過去問もどうぞ。

わかって合格る 1級建築施工管理技士 第一次検定 基本テキスト

テキスト本命わかって合格(うか)る 1級建築施工管理技士 第一次検定 基本テキスト

TAC出版/図解が多く全体像をつかみやすい定番。分野の用語は、この1冊で流れを押さえてから過去問に入ると解きやすくなります。

価格・在庫は各販売ページでご確認ください。1級2級の参考書・過去問の比較もどうぞ。

構造スリットのイメージ図。RC造の柱・梁と非構造の壁の間にスリット材で縁切りの隙間を設け、短柱化を防ぐ。柱との縦スリットが完全スリット、梁との横スリットが部分スリット
図:構造スリットのイメージ(模式図)。RC造で柱・梁と非構造の壁のあいだにスリット材で隙間(縁切り)を設ける。柱との縦の縁切りが完全スリット、梁との横の縁切りが部分スリットで、地震時の短柱化を防ぐ。

なぜRC造に構造スリットが必要なのか

RC造では柱・梁と壁がコンクリートで一体化しています。

地震時、柱は層間変形(水平方向に変形)しようとします。このとき壁が柱に取り付いていると、壁が柱の変形を邪魔して「短い柱」と同じ状態になります。

これが短柱化です。短柱化した柱はせん断力が集中し、ぜい性的(急激に)破壊される危険があります。

そこで、壁と柱・梁の間に意図的に「縁切り」の隙間を設けることで、地震時に壁が柱・梁の変形を拘束しないようにします。

言い換えると、「柱と壁を構造的にわざと切り離すことで、柱を地震から守る」のが構造スリットの目的です。

完全スリットと部分スリットの違い

構造スリットには2種類あり、壁のどの端部に設けるかで分類されます。

種類設置位置目的
完全スリット(縦スリット)柱に接する壁の両端部(左右)壁が柱を水平方向に拘束しないよう縁切りする。短柱化を完全に防ぐ
部分スリット(横スリット)梁に接する壁の上部または下部壁が梁を拘束しないよう縁切りする。垂直方向の拘束を緩和する

どちらのスリットを設けるかは構造設計図(構造図)に明記されており、施工管理者は設計図書で確認してから配筋・型枠工事に臨みます。

ここは混乱しやすいところですね。「縦スリット=柱との縁切り」「横スリット=梁との縁切り」と覚えるといいでしょう。

独学で二次検定(施工経験記述)の書き方に不安があるなら、添削が受けられる独学サポート事務局の通信講座で早めにたたき台を用意しておくと安心です。

スリット材とは

スリットの隙間を作るために使う部材がスリット材です。

一般的には発泡ポリスチレン(EPS)などの軟質材が使われます。コンクリートを打設してもスリット材は圧縮されず、隙間(縁切り)を保持します。

スリット材は配筋後・型枠組立時に所定の位置に設置します。

設置後はコンクリートが固まるまで動かないよう、結束線等で固定します。

なお、スリット部分には後からシーリングを施すことが多く、仕上げ工事との取り合いも事前に確認が必要です。

配筋検査で何を確認するのか

構造スリットに関する施工管理の最重要タイミングは、コンクリート打設前の配筋検査です。

打設後に確認できないため、ここが唯一の現場確認機会です。確認項目は以下のとおりです。

コンクリート打設中・脱型後の確認

打設中は、バイブレーターの振動でスリット材がずれていないかを目視確認します。

ずれが確認された場合は打設を一時停止し、スリット材を正規位置に戻してから再開します。

脱型後は、スリット部分にコンクリートが回り込んでいないかを確認します。

コンクリートが充填されていれば縁切り効果がなくなるため、是正措置(はつり撤去・再施工)が必要です。

増し打ち壁・後打ち壁のスリット忘れに注意

現場でよく起きるのが「スリット材を設置するのを忘れた壁が存在する」という見落としです。

特に増し打ち壁・後打ち壁など、主要壁以外の小さな壁でスリットが見落とされやすいです。配筋検査では構造図とスリット指定位置を照合しながら全壁を確認する習慣をつけましょう。1箇所のスリット欠落が耐震性能に直結します。

混同しやすい用語の整理

構造スリット vs ひび割れ誘発目地

構造スリット:壁と柱・梁の境界に設ける縁切り部材。耐震目的。柱・梁の変形を壁が拘束しないようにする。構造図で指定。


ひび割れ誘発目地:RC壁のコンクリート収縮によるひび割れを、計画的に目地部分に集中させるための目地。壁の一体性は保ちながら、ひび割れの位置を制御するもの。

→ どちらも「壁に意図的に作る溝・切れ目」ですが、目的が根本的に異なります。構造スリットは「縁切り(構造分離)」、ひび割れ誘発目地は「ひび割れ位置の誘導(構造は連続)」です。

理解度チェック

Q.

構造スリットを設ける目的は何か。

地震時に壁が柱・梁を拘束して短柱化が起きることを防ぐため。壁と柱・梁を構造的に縁切りし、柱の変形能力を確保する。

Q.

完全スリット(縦スリット)はどの位置に設けるか。

柱に接する壁の両端部(左右)。壁が柱を水平方向に拘束しないよう縁切りする。

Q.

部分スリット(横スリット)はどの位置に設けるか。

梁に接する壁の上部または下部。壁が梁を拘束しないよう縁切りする。

Q.

構造スリットの施工管理で最も重要な確認タイミングはいつか。

コンクリート打設前の配筋検査。打設後は確認・修正ができないため、ここが唯一の確認機会。

Q.

スリット材として一般的に使用される材料は何か。

発泡ポリスチレン(EPS)などの軟質材。打設時の圧力でも圧縮されず隙間を保持する。

まとめ

RC・鉄骨の施工管理はRC・鉄骨の施工管理にまとめています。

1級建築施工管理 第一次検定 問題解説集

過去問本命1級建築施工管理 第一次検定 問題解説集

地域開発研究所/用語を覚えたら過去問演習で定着。解説が丁寧な正統派。2級は2級のおすすめ参考書から。

独学がきつい・第二次の経験記述に不安があるなら、添削まで付く通信講座も選択肢です。経験記述の添削・独学サポート事務局を見る内容と料金の解説

独学の教材は1級のおすすめ参考書・過去問に、試験のしくみ・勉強法は受験ガイドにまとめています。

参考資料

・公共建築工事標準仕様書(建築工事編)国土交通省

・JASS 5(鉄筋コンクリート工事)日本建築学会

・建築物の耐震改修の促進に関する法律(建築基準法)

資格を取ったら、次はキャリアと年収

施工管理は人手不足で売り手市場です。今の待遇に不満があるなら、建設業界に強い転職エージェントに相談だけでもしておくと、自分の市場価値と選択肢が見えます。

建設業界専門の転職エージェント【RSG建設転職】▶

登録・相談は無料

独学で合格をめざすなら

使うテキスト・過去問で迷ったら、定番をまとめたこちらもどうぞ。

けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

経験記述の添削・通信講座

独学がきつい、第二次の経験記述が不安。そんな人は添削まで付く通信講座も選択肢です。

独学サポート事務局を見る ▶

内容・料金は公式で確認

けんせつる

けんせつる

施工管理の用語・過去問・受験ガイドを、初心者向けにやさしく案内します。

Topへ >>