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有機溶剤中毒予防規則とは?第1~3種の区分・局所排気・作業主任者の義務を施工管理の視点で整理

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けんせつる

けんせつる

「屋内で塗装工事をするとき有機溶剤の管理って何をすればいいの?第1種・第2種・第3種って何が違うの?

作業主任者は誰が選任するの?」

この記事の要点

有機溶剤中毒予防規則(有機則)とは、屋内で有機溶剤(シンナー・ラッカー・アセトン等)を取り扱う作業の健康障害を防ぐための規則のことです。

施工管理では次の3点を押さえましょう。

  • 3種類の区分:毒性の高い順に第1種・第2種・第3種に分類される。第1種が最も規制が厳しいが、使用禁止ではない(毒性が強く発がん性のある物質は2014年に特化則へ移行し、現在の第1種は2物質のみ)。
  • 換気義務:第1種・第2種は密閉設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のいずれかが必要。第3種はタンク等の内部の作業で全体換気装置等を用いる。屋外作業は有機則の適用が除外される。
  • 作業主任者の選任:有機溶剤を使う屋内作業には有機溶剤作業主任者(技能講習)の選任が必要。

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有機溶剤とは何か

有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物(炭素を含む化合物)の総称です。建設工事では次のような場面で使われます。

言い換えると「有機溶剤はシンナーのような揮発性の化学物質で、吸い込むと頭痛・めまい・意識障害・慢性中毒の原因になる」物質ですね。特に密閉空間・換気が悪い屋内での作業は危険度が高くなります。

第1種・第2種・第3種有機溶剤の区分

種類毒性主な物質例規制の概要
第1種有機溶剤毒性が高い(慢性障害が強い)1,2-ジクロロエチレン・二硫化炭素(現在この2物質のみ)密閉設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のいずれかが必要(最も厳しい)
第2種有機溶剤毒性が中程度トルエン・キシレン・アセトン・酢酸エチル等密閉設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のいずれかが必要
第3種有機溶剤毒性が比較的低いガソリン・石油ナフサ等タンク等の内部の作業で全体換気装置等を設置(屋内一般の規制は緩い)
有機溶剤の第1種・第2種・第3種の区分と換気対策の違いを示す図
図:有機溶剤の3区分(模式図)。第1種(毒性高)・第2種(中)・第3種(低)。第1・2種は密閉/局所排気/プッシュプル型のいずれかが必須で全体換気だけでは不可、第3種はタンク内等で全体換気等。建設で多いのは第2種。

建設工事で使う溶剤系塗料・接着剤の多くはキシレン・トルエン等の第2種有機溶剤を含むことが多いです。製品のSDSシート(安全データシート)で有機溶剤の種別を確認することが基本です。

第1種・第2種・第3種の有機溶剤の物質名一覧と区分は、厚生労働省の資料(下図)に示されています。

有機溶剤の種類と区分(第1種・第2種・第3種の物質名一覧)
出所:厚生労働省「有機溶剤を正しく使いましょう」p.3 有機溶剤の種類と区分(第1種・第2種・第3種の物質名一覧)

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換気装置の設置義務

有機溶剤を使う屋内作業(タンク内・地下室・密閉室内等)では、種別に応じた換気対策が義務付けられています。

「屋外だから適用外」と判断する場合は、実際に周囲が外気へ開放されているかどうかを確認することが必要です。周囲が塀や壁で囲まれている場合は実質的な屋内作業場として有機則の対象になることがあります。

作業主任者の選任と保護具

有機溶剤を使う屋内作業では次の管理者・保護具の確保が必要です。

有機溶剤作業主任者の選任義務と蒸気の発散源対策フローチャートは、同資料(下図)に示されています。

有機溶剤作業主任者の選任義務と発散源対策のフローチャート
出所:厚生労働省「有機溶剤を正しく使いましょう」p.5 作業主任者の選任義務と有機溶剤蒸気の発散源対策フローチャート

混同しやすい用語の整理

有機溶剤作業主任者 vs 酸素欠乏危険作業主任者

有機溶剤作業主任者:有機溶剤中毒予防規則に基づく技能講習修了者。屋内での溶剤使用作業を管理。


酸素欠乏危険作業主任者:酸素欠乏症等防止規則に基づく技能講習修了者。地下・タンク等の酸欠危険場所を管理。


→ 地下ピットで有機溶剤を使う作業は、両方の作業主任者が必要になる場合がある。

防毒マスク vs 防じんマスク

防毒マスク:有害ガス・有機溶剤蒸気を吸収缶(活性炭等)で除去する。有機溶剤作業・特定化学物質作業に使う。


防じんマスク:粉じん・微粒子を除去するフィルターを使う。溶接ヒューム・粉じん作業に使う。


→ 有機溶剤蒸気は気体のため防じんマスクでは除去できない。必ず有機ガス対応の防毒マスクを使う。

地下ピット・密閉空間は有機則と酸欠則の両方を確認する

建設現場でよくある見落としが「地下ピット・密閉空間での溶剤系塗装・防水作業」です。換気が悪く溶剤蒸気が滞留しやすいうえ、酸欠になるリスクもあります。

地下ピット等での溶剤系作業は、有機溶剤中毒予防規則と酸素欠乏症等防止規則の両方が適用になる場合があります。作業前に「有機溶剤の種別・換気設備・防毒マスクの種類・作業主任者の選任」をチェックシートで確認し、安全衛生担当者と共有しておきます。

理解度チェック

Q.

有機則で毒性が最も高く、最も規制が厳しい区分はどれか。また使用禁止か。

第1種有機溶剤(密閉設備・局所排気・プッシュプルのいずれかが必要)。使用禁止ではない。現在の第1種は1,2-ジクロロエチレンと二硫化炭素の2物質のみで、建設現場で多く使うのは第2種・第3種。

Q.

第2種有機溶剤を使う屋内作業で義務付けられる設備はどれか。

発生源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のいずれか。全体換気装置は原則として認められない(蒸気を希釈するだけで発生源対策にならないため)。

Q.

有機溶剤取扱い作業に必要な作業主任者の名称と資格要件は何か。

有機溶剤作業主任者(有機溶剤作業主任者技能講習の修了者)。屋内作業で選任が義務付けられる。

Q.

屋外での有機溶剤作業に有機則は適用されるか。

屋外作業は原則として有機則の適用が除外される。ただし周壁で囲われ通風が確保されない実質的な屋内環境では適用になる場合がある。

まとめ

法規の施工管理ポイントは法規にまとめています。

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参考資料

  • 有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)
  • 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
  • SDS(安全データシート)の確認を推奨(塗料・防水材メーカー各社)

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けんせつる

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務し、建築構造設計に従事。設計者として施工図確認・工程会議・検査立会いなど施工管理と協働してきた経験と、公共建築工事標準仕様書・JASS等の一次資料をもとに執筆しています。

「建築学生が学ぶ構造力学」(kentiku-kouzou.jp)を2010年より運営。著書「わかる構造力学」(工学社)。

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