けんせつる
「地下の掘削現場やピット内で作業するとき、酸欠の危険って何で管理するの?第1種・第2種の違いは?
作業前に何をしなければいけないの?」
この記事の要点
酸素欠乏危険作業は、酸素欠乏症防止規則(酸欠則)と労働安全衛生法に基づく安全管理が必要です。施工管理では次の数値と手順を押さえましょう。
通常の大気中の酸素濃度は約21%です。この濃度が18%未満になると「酸素欠乏状態」と定義され、作業者が酸素欠乏症(意識障害・痙攣・死亡)のリスクにさらされます。
地下空間・ピット・タンク内・マンホール・土の中など、酸素が消費されやすく換気しにくい場所で起こりやすい労働災害です。
ザックリ言えば「密閉・半密閉空間で空気が入れ替わらないと酸素が減り、知らないうちに意識を失う」というのが酸欠災害のメカニズムですね。見た目で判断できないのが特に危険です。
| 種類 | 危険の内容 | 代表的な場所 | 作業主任者 |
|---|---|---|---|
| 第1種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏(酸素濃度18%未満)のみ | 地下タンク内・地下ピット・土砂崩れ後の坑内等 | 酸素欠乏危険作業主任者(技能講習) |
| 第2種酸素欠乏危険作業 | 酸素欠乏+硫化水素中毒(硫化水素10ppm超) | 汚水ます・下水道マンホール・有機物が腐敗する場所 | 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(技能講習) |
第2種は「硫化水素が発生する場所での作業」で、下水道工事・汚水処理施設・廃棄物処理施設等で起こりやすいです。建設工事では、下水道の接続工事・マンホール内作業・地下ピット内作業が該当することがあります。
酸欠の管理と硫化水素の管理の両方が必要ですね。
酸素欠乏・硫化水素中毒の発生場所と原因の概要は、佐賀労働局の資料(下図)に示されています。
酸素欠乏危険作業を行う前に、次の措置を行う義務があります(酸欠則第3条・第5条等)。
酸欠状態への対処として、酸素濃度を上げるために純酸素をそのまま吹き込むことは禁じられています(酸欠則第5条第2項)。理由は、純酸素を吹き込みすぎると空間内の酸素濃度が上がりすぎ(酸素過剰)、引火・爆発のリスクが高まるためです。
換気は必ず新鮮な外気(大気)で行います。
業種別・場所別の酸素欠乏症・硫化水素中毒の災害事例は、同資料(下図)にまとめられています。
混同しやすい用語の整理
酸素欠乏症:酸素濃度18%未満の空気を吸って酸素不足になる状態。意識障害・窒息。
硫化水素中毒:硫化水素(H?S)を吸入して引き起こされる中毒。腐卵臭のある有毒ガス。
10ppm超で危険(酸欠則の基準値)。高濃度(100ppm超)では嗅覚が麻痺して気づかずに倒れる。
→ 下水・汚水系の作業では両方が同時に発生するため、第2種作業として管理する。
酸素欠乏危険作業主任者(技能講習):地下・ピット・タンク等の酸欠場所での作業を管理。
有機溶剤作業主任者(技能講習):塗装・防水工事等で有機溶剤(シンナー等)を使う作業を管理。
→ 地下ピットで防水工事(溶剤系)を行う場合、両方の管理が必要になることがある。
Q1. 酸素欠乏の定義は何か(酸欠則第2条)。
A. 空気中の酸素濃度が18%未満の状態。通常の大気は約21%で、18%未満になると酸素欠乏状態となる。
Q2. 第2種酸素欠乏危険作業の対象となる硫化水素濃度の基準値はいくらか。
A. 硫化水素濃度10ppmを超える場所での作業が第2種酸素欠乏危険作業に該当する。
Q3. 酸素欠乏危険作業で換気に純酸素を使ってはいけない理由は何か。
A. 純酸素を吹き込むと空間内の酸素濃度が過剰になり、引火・爆発のリスクが高まるため禁止(酸欠則第5条第2項)。換気は新鮮な外気(大気)で行う。
Q4. 第1種と第2種の酸素欠乏危険作業主任者の名称の違いは何か。
A. 第1種:「酸素欠乏危険作業主任者」(技能講習)。第2種:「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者」(技能講習)。
名称が異なる別の資格。
法規の施工管理ポイントは法規にまとめています。
参考資料
※ この記事の法令確認日:2026年5月
管理人からのコメント
建設現場での酸欠災害で多いのは「点検のために一人で地下ピットに入った」「救助しようとして二人目・三人目が続けて倒れた」というパターンです。酸欠は数秒で意識を失うことがあり、自覚症状なく倒れます。
施工管理者は「地下空間・密閉空間への立入前に必ず測定・換気・複数体制を確保する」ことをルール化し、一人作業を禁止することが重要です。酸欠危険場所のリストを工事着工前に作成し、関係作業員全員に周知するのが実務のポイントです。